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 私は演奏を終え、周囲を見渡す。

 すごいわ!皆、驚いてぽかーんって顔してるわ!ふふっ、

 インパクト大ってことね。よかった、横笛吹いて。ご清聴くださりありがとうございます。

 私は一礼する。

「こんにちは、今日は私の誕生日パーティーにお越しくださりありがとうございます。アンリエッタ・ユリエスですわ。」

 淑女らしい笑顔も忘れずに!

 私は二階から一階に降りる。

 会場にいる人々の視線をひとりじめしていた。

 見られているなら堂々と、背筋を伸ばして歩くのよ!


 まずはこの場で最も地位の高く、なおかつ婚約者であるシリウスの元へ挨拶だ。

 私はシリウスの前まで行くと、ドレスの裾をすっと持ち上げてお辞儀する。

「ごきげんよう、シリウス殿下。この度はわたくしのためにお越しくださりありがとうございますわ」

 シリウスは面を食らったように「あ、あぁ」と小さく返事をした。

 まぁ、仕方のないことだろう。

 いつものアンリエッタなら「きゃー!シリウス様、わたくしのために来てくださったのね!!嬉しい」ともう突進していただろうから…。

 でも将来、この国を背負う者として小さなことへの動揺はあまり顔に出さないことをおすすめするわ。

 さて、王子にはお願いしたいことがあったのよね。

 戸惑わせてしまったみたいだけど、慣れてもらわなきゃ。<黒き白百合>なんて不名誉な呼び名は撤回してほしいもの。

 私は、さらに笑顔を深めてシリウスに詰め寄る。

「突然で申し訳ないのですが、貴方様の師、ディリオン様に面会の申し込みをお願いしたいのです。」

「あぁ、分かった」

 なぜかディオンへの面会をお願いしたらシリウスは納得したように平静になった。

 解せぬ。

 どうにも平静に戻ったのが私の態度に順応したためだとは思えなかった。

 なんだか失礼なことを考えている気がするぞ。例えば、ディリオンに会いたいから私が大人しくしているみたいな…。

 確実にそれな気がして嫌なのだが。

 そう簡単には人からの印象は変えられないわよね。

 だって、周りにいるご令嬢やご子息たちが今影で「やっぱり、<黒き白百合>ですわ。」と言っているのが聞こえたもの。

 あらかた私の予想どおりのことを思ったのでしょうね。

 

 いえ、でも。横笛の演奏によって少しは印象も変わったのではなくて?


 そんなことを期待して私はシリウス第3王子の元を離れた。

 

 主催者だもの、自分より上の者の元へ挨拶に回らなくてはいけないわ。

 大忙しね。あぁ、でも挨拶回りが終わればもうパーティーも終わりみたいなものよ。

 九歳の令嬢の誕生日パーティーなんてコネクション作りのための社交場だもの。

 

(さて、頑張りますか。)

 深呼吸をして背筋を伸ばし、気合いを入れた。


 そんなわけで特に何もなく(?)誕生日パーティーは終わった。


▪▪▪▪▪▪▪


 ディリオンというのは、第3王子の教育係の年齢不詳のエルフ族の男だ。

 またの名を、<生きる伝説>。

 なぜ彼がこう呼ばれているのか、またなぜ私が真っ先に会いたいと頼んだのか。

 それは簡単だ。

 お察しの通り、ディリオンはスフィーリア王国の英雄。

 アリアと共に魔王を倒した仲間の一人なのだ。

 私の見立てでは今現在まで生きている仲間は三人くらいいる気がするのだが、公に生きていると分かっているのは大魔術師ディリオンだけである。

 生まれ変わったのだ。

 せっかくだからディリオンを驚かしてみるのも一興。

 彼が驚く顔を見てみたいのよねー!

 だってあの人いつもヘラヘラしているんだもの、なんでも見透かしているみたいにさ。

 からかって遊ぶのも楽しいわよね。


 しかし、仮にも彼は英雄。

 一方私はただの公爵令嬢。

 だから通常なら面会をするにも最低3ヶ月はかかる。

 ゆえに私はその教え子であるシリウスに目をつけた。

 シリウスからのお願いがあれば少しは早く面会できると思うのよね。

 

 ちなみにこれを思ったのは横笛を受け取って歩いている間のことだったので、思い立ったらすぐ実行というまま王子にお願いした。

 まぁ、後でお父様にとがめられたけれど。気にしません!

 


「お嬢様、シリウス第3王子様からお手紙が届いております」

 

 レティーシアが手紙を持ってやって来る。

 あぁ、届いたみたい。

 いつ会えるのかしら?楽しみね!


パーティー中

(ロイドは、まぁ…。平常を装って挨拶したらしいです。ちなみに女神フィルターかかりっぱなし。)


ブクマいただけたら嬉しいです!

たぶん次回は昔の仲間に会いますね。


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