表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
14/18

第14話:ファフニール討伐戦 その1

「ゴールデンアイアンゴーレム?」

「フンガー!」


 2メートルを超える巨大な黄金モアイは、いかにも、という感じで叫んだ。

 金ピカのモアイから手足が生えたような矛盾の塊を、カロンは訝しげに眺める。


「ゴールデンアイアンゴーレムさん……長いのでゴルゴさんと呼びますが、彼もまた、モンスターストリップの世界に存在していた魂です。なんと、☆4です」

「なんとまあ」


 これはカロンも少し驚きだった。今まで送られてきた奴は最高でもアイリの☆3だ。

 あらゆるソシャゲの魂を救うという方向性に、ボインプルンも切り替えたのかもしれない。


「さて、それと今回のアップデートでは、ステータスとスキルが見られるようにしました。ファフニールさんと戦う際に必要でしょう。本当は、能力を数値化するという行為には反対なのですが」

「でもあなた、幸福度とか前に実装してましたよね?」

「さあ、早速ゴルゴさんのステータスを確認してみましょう」


 例によってカロンの話をスルーし、ボインプルンはゴルゴのステータス確認を迫る。

 釈然としないが、カロンもゴルゴに向けて手を伸ばし、ステータス画面を開く。


【ゴールデンアイアンゴーレム】

 レアリティ:☆4

 レベル:1

 体力:50

 アイアンゴーレムが錬金術師の手によって黄金に変化したゴーレム。

 全身が金になり美術品としての価値は上がったが、強度と耐性は落ちた。


「弱くなってるじゃん!」

「確かに、通常のアイアンゴーレムより弱いでしょう。ですが、ゴルゴさんの真骨頂はスキルにあります。その下に書かれている文言を見て下さい」


 ボインプルンに促され、カロンは空中に表示されたステータス画面をスライドさせる。

 下の方には、前に実装された幸福度のステータスバーがある。

 さらにその下に、「所持スキル」という項目が出来ていた。


 【スキル1】かばう

 ・味方全体の攻撃を一度だけ受け止める。

 【スキル2】食いしばり

 ・体力が最大値であれば、体力以上のダメージを食らっても体力1で耐える事が出来る。


「どうです? なかなかの能力でしょう?」

「まあ、防御系としては……」


 ボインプルンは自信ありげに宣言する。

 確かに、これだけ見ると状況によっては使えない事も無さそうではある。


「さて、次にカロンに付与した能力について説明しましょう。カロン、あなたの頭上を見て下さい」


 言われた通りカロンが上を見ると、頭の上に天使の輪のようなものがいつの間にか付いていた。


「それがあなたの魔力ゲージです。『プロテクション』と唱えれば、あらゆる攻撃を防ぐ壁が現れます。さあ、やってみるのです」

「プ、プロテクション!」


 カロンが叫ぶと、ヴン、という音と共に薄いガラスのような壁が張り巡らされた。


「上手く行ったようですね。では、早速効果を試しましょう」


 ボインプルンは慈愛の笑みを浮かべながら、乳の谷間からバールのような物を取り出した。


「では、行きますよ。避けないでくださいね」

「え、あ、ちょっ……!」

「たあああーーーっ!!」


 ボインプルンはバールのような物を思いっきり振りかぶり、カロンの脳天めがけて振り下ろす。


「うわぁっ!」


 それを、カロンは地面を転がりながらぎりぎりで回避する。


「何故避けるのです!?」

「避けなきゃ当たるじゃないですか!」

「当てるためにバールのようなものを出したのです。プロテクションの効果を試すのです!」

「ウワーッ!」


 ボインプルンは笑顔で再びバールで殴りかかる。カロンは両腕で頭をガードするが、張り巡らされたプロテクションの壁にひびが入り、そして消滅した。


「という感じで、攻撃を完全にカットできます。ただし、強力な攻撃だけではなく、今のようにか弱い私の攻撃も一回でカウントされてしまうので、使いどころに注意をして下さいね」

「か弱い……?」

「さて、再び頭上を見てみましょう。天使の輪の輝きが薄くなっていませんか?」


 未だに心臓がバクバク言っているが、カロンは言われるがまま頭上を見た。

 確かに、先ほどは蛍光灯のように輝いていた天使の輪は、少しくすんでいた。


「プロテクションを打てるのは二回まで。それから先は時間経過で回復するのを待つしかありません。使うタイミングには気を付けて下さいね」

「ええ……戦闘中に二回しか使えないんですか?」

「そこで、ゴルゴさんの出番です。ゴルゴさんは実質、カロンのプロテクションの代行をしてくれます。とても強力な助っ人になるでしょう」

「でも、二回が三回になるだけですよね?」

「勝負という物は、紙一重で決まるものなのです」


 ボインプルンは真顔でそう言い放つ。


「あと、もう一つプロテクションを発動させる方法があります」

「えっ!? それを先に言って下さいよ……」


 そんな方法があるならさっさと教えて欲しい。


「それは……課金です!」

「課金とな」

「はい。私はソシャゲと乳を司る女神。炎の魔人イフリートが炎で強化されるように、ソシャゲの女神である私は、金によって神の力が発揮できるのです。カロンが課金する事で、天使の輪の輝きを取り戻す事も可能です」

「でも、高いんでしょう?」

「マックスまで回復するのに、一回500円です」


 微妙に高い。


「なるべく課金しないように頑張ります」

「そうですか……ですが、私はソシャゲの女神。カロン……あなた達が力を合わせ、ファフニールさんを倒す事に、いつでも協力しますよ」


 微笑みながら、ボインプルンの姿は徐々に透明になり、やがて完全に消えた。

 遠まわしに課金しろと言っているような気がした。


「じゃあ、よろしく。ゴルゴ」

「フンガー!」


 フンガーしか言わないのでよく分からないが、頷いているから多分やる気なのだろう。

 安息地にゴルゴを連れていった後、アイリ、ジーパン、アーノルディでパーティを組み、ファフニールを討伐せねばならない。


「あ、そうだ」


 安息地に向かう前に、せっかくなのでカロンはパソコンでモンスターストリップの情報を調べておく事にした。ファフニールのステータスは目の前にいないので確認できないが、ゲーム内の情報を知っておけば、立ち回り方も考えられるだろう。


「あ、出た出た!」


 カロンは、モンスターストリップ(故)の廃墟のような攻略ページを発見し、ファフニールのステータスを見つけた。


【ファフニール】

 レアリティ:☆10

 レベル:30

 体力:5000

【スキル1】薙ぎ払い

 ・巨大な尻尾での全体物理攻撃。パーティ全員に500~800ダメージ

【スキル2】ヘルフレイム

 ・燃え盛る火炎を口から吐く。パーティ全員に火属性800~1000ダメージ


「どないせぇっちゅうねん!」


 いきなりの無理ゲーに、カロンは思わずキーボードを叩いた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ