第5話 睡眠学習をしてみた
ゴブリン召喚士まだ頑張ってます。いや~いい夢みました。皆さんありがとうゴブ!
完結済み小説 日間60位 週間29位 月間166位
ハイファンタジー部門 日間75位 週間54位ごぶ!
毎日温泉ばっかりに入っているオーガがやって来た。
「今上に上がったのは、ゴブリンの船だろ?」
「そうだ、修理が終わったんで帰ったぞ。気になるか?」
「気にならないと言えば嘘になるな、だが最近はどうでも良くなってきた。」
「どうした?偉く変わったじゃないか。」
「ここで、人間とゴブリン達が仲良く暮らしてるのを見たからな。我々の帝国は種族間の戦争ばかりだ、もう何千年も戦ってるのだ。ばからしい事だ。」
こいつも俺の街を見て何かを感じ取ったらしい。俺の街に始めて来た連中は皆人間とゴブリンと人魚が仲良く暮らしているのを見ると不思議がるのだ。俺から言わせると普通なんだが。皆良い奴なんだから仲良くするのは当たり前だ。
「男爵、私の船に睡眠学習装置が有るのだが、試して見ないか?」
「何だそれは?」
「寝ている間に、色々な知識を覚えられる装置だ。」
「へ~、楽に勉強出来るんだな。よし、やって見よう。」
すっかり協力的になったオーガに勧められて睡眠学習とやらをやってみる事にした。機械が2個あるそうなのでゴブ吉も一緒にやる事になった。アーサーが一応警戒して一緒に行くそうだ。この機械を使うと40時間分の学習を1時間で出来るのだそうだ、ただし表層記憶層に覚えさせるので必要がなかったり印象が薄いと直ぐに忘れてしまうのだそうだ。人間の記憶する場所や能力にはいくつかの領域が有ってそれぞれ記憶する長さが違うのだそうだ。そしてその記憶を色々な知識と組み合わせる能力が高いほど頭が良いと言うらしい。
「ほえ~、なんか初めて聞く難しい話だな。オーガ頭良かったんだ。」
「いえ、頭が言い訳では有りません。知識の量が多いだけですよ。」
「頭が良いのと色々知ってるのは同じじゃないのか?」
「それは全然別物です。」
「なかなか奥が深そうゴブね。」
それから俺とゴブ吉は睡眠学習に入った。3時間ほどの学習?というか昼寝だ。そして目が覚めたら色々な事を知ったような気がする。夢と同じで何だかつかみ所が無いのだ。
「オーガの歴史は何だか分かった気がする・・多分。」
「ゴブリンは全然出てこないゴブな。」
「まだ初めてだから知識にギャップが有って上手く情報を扱えないだけですよ、男爵。」
それからも俺はオーガに頼んで色々な学問を学習させてもらった。物理・科学・算数・数学・医学・化学・人工知能学・量子力学等だ。宇宙に出るには最低限このくらい知らねばならないらしい。まともに学習すると15年位掛かるそうだ。
俺とゴブ吉は毎日頑張って10時間寝てドンドン知識を増やしていった。俺とゴブ吉は寝るのは昔から上手かったのだ。オーガの名前もエミリーだという事が分かった。そして宇宙船はエンジンが完全に破壊されているのでもう飛べそうもない事が分かった。
「エミリー、宇宙船は壊して悪かったな。」
「まあ仕方無いですね、いきなり来たらビックリしますよね。でも破壊されるとは思いませんでしたよ。あれは最新の戦闘艦なんですけどね。」
「脆かった、ゴブ!」
「そこが分からないのですよ、レーザー等は反射コーティングが有るし、核攻撃の直撃でなければ破壊されるはず無いんですが・・それに内部から破壊されてますからね。移送兵器は理論は有りますがまだどこも実用化には至って無いのですが・・・」
「やっぱり魔法が有るのは俺達の星だけなのか?」
「そうですね、聞いた事がないです。有ったとしたら超機密事項で一般の人間には教えないでしょうからね、将軍クラスなら分かるかもしれません。」
「そうか、色々有るな~、知れば知るほどややこしい。」
「そうでしょう?知識が多いほど選択肢が増えて行動が遅れるのですよ普通。」
俺は沢山得た知識を皆に分ける事にした。学校の教科書を作り直したのだ。読み書き足し算・引き算から簡単な物理・化学・算数に移行した。エミリーやゴブ吉に手伝って貰ったので1か月程で簡単な教科書が出来た。本来はこういうオーバーテクノロジーを原住民に教えるのは犯罪なのだがエミリーは何故か俺達に賭けた様だった。自分が正しいと信じている感じだった。
「ふふ、これが本国にバレたら私は永久追放です。」
「大丈夫だエミリー、俺達が守ってやる。」
「そうゴブ。ここで暮らすと良いゴブよ。」
「そうですね、ここは居心地が良いです。宇宙船は何時事故か戦闘で死ぬか分からないので、毎日不安でした。」
基礎学習が終わった俺達はアーサーとエリカ等俺の配下の幹部にも睡眠学習を開始した。多分これから俺達は激動の宇宙にかかわりを持つ事になるだろう。ゴブリン達の船は行ってしまったのだから。このまま平和が続くと思う程俺は馬鹿ではなかった。
「なあエミリー、クラスチェンジに興味あるか?」
「ええ私も子供の頃憧れた事が有りますよ。現実には無かったですけどね。」
「そうか、それじゃあ夢を見に行こうかエミリー。」
「ふふ、いい夢見せてやるゴブよ!」
エミリーが命がけで俺達に知識を分けてくれているので、俺もエミリーに経験値をプレゼントすることにした。そしてダンジョンのなかでエミリーが悲鳴を上げ続けて1週間。トロルを20匹程倒したところでエミリーはハイオーガからプリンセス級オーガになった。
「こんな事が有るなんて・・信じられない・・・」
「ふふイイ女になったな!エミリー!」
「ほんの少し強くなったゴブな!」
エミリーは進化して、凄くプロポーズの良いオーガのお姉さんになった。目つきは相変わらずキツかったけど、なかなか綺麗だった。角の生えた美人って言うもの結構ありかも知れない。