第38話 ダンジョンから来る者
さてそろそろフィナーレですね。
ここまで見て頂いた読者の皆様あと少しお付き合いして下さいませ。
やられた、宇宙空間の敵はおとりか?首都の近くにダンジョンが出来たら宇宙船からは狙えない、宇宙船の主砲は威力が有り過ぎるのだ首都も一緒に吹き飛ばしてしまう。それに首都の傍なら白兵戦になってしまう。戦艦のアドバンテージはゼロだ。
「やられたな皇帝!こっちは陽動なのかな?」
「陽動では無いな、同時攻撃だ!両方迎撃しなければ不利になる飽和攻撃に近いな。」
「そうか、どっちにしても宇宙の敵を殲滅して星を守ろう。今は目の前の敵に専念だ。」
「全軍気合を入れなおせ!俺達の星がダンジョンから出て来た奴らに襲われてる。早く目の前の連中を叩き潰せ。」
俺達の宇宙艦隊は全力でホワイトホールからの敵を殲滅して行く、ここからは時間との戦いだ。スキルと魔法を使う連中がダンジョンから出て来ているのだ。
「魔法で防御している艦は同時攻撃で魔法障壁を破壊しろ!硬い場合は魔力が切れるまで攻撃しつづけろ!」
「CIC、ダンジョンの情報を寄越せ!」
「現在、情報確認中。新しい情報はありません。」
「焦るな男爵、この日の為に我々は鍛えて来たのだ。本星には新型バトルドレスが大量にある、味方を信じろ。」
「うん、俺の星は大丈夫だと思うが他の星がな・・・」
「ふ・・優しい帝王だな、お主は。」
それから5時間後俺達連合艦隊はホワイトホールから出て来た宇宙船を全て破壊した。大型戦艦とオリハルコン弾の勝利だった。
「よし、全艦回頭、本星に戻る。」
大型戦艦は地上戦では役に立たないが急いでダンジョンに向かう。なぜなら最高の戦士達は全員戦艦に乗っているのだ、早く地上に降りて白兵戦に参加しなくてはならない。今地上に居る連中は少しレベルが落ちる兵士達なのだ。
「まさか、ダンジョンが急に出来てそこから来るとは思わなかったな。」
「そうだな、宇宙から来ると決めつけていたな。ダンジョンも又深淵なのだな。」
「そうしてみるとダンジョンはホワイトホールと似たようなものか?次元の違う何かなのかな?」
「だとしたら厄介だ、衛星軌道からの砲撃でもダンジョンは破壊出来ないかもしれん。次元が違うのだからな。」
「ダンジョンについての情報入りました!」
「全艦に通信回せ!ダンジョン情報を報告せよ!」
「現在、ダンジョンは4か所に発生。男爵の星の首都、ゴブリン王国首都、オーク共和国首都、オーガ帝国首都の4か所です。現在バトルドレスで迎撃中。」
ダンジョンが4か所出来たが俺は自分の星に帰る事にする。なにせスキルと魔法が有るとはいえ俺達はカテゴリー1なのだ、一番機械化が遅れているのだ。戦艦も俺のアークロワイアル改1隻しかない星なのだ。
「皇帝、俺は自分の星に帰るぞ、皆も自分の星に帰って自分の仲間たちを守るのだ。」
「うむ、了解だ。健闘を祈る。」
それから2日後俺達はやっと自分の星の首都に帰りついた。首都のすぐ傍の海に着水した俺達は直ぐにダンジョンの方へ向かった。
「男爵様、応援ありがとうございます。」
「王よ、良く頑張ってくれた。宇宙の敵は全部やっつけたぞ。」
「ならば後はこの不埒者達だけですな。」
「任せろ王よ、俺達ゴブリンの強さを見せてやる。」
アークロワイアル改から降り立った俺達は無敵だ、特級魔導士1000人、特級ヒーラー1000人それにゴブ吉とアーサーとヘラクレスが居るのだ。俺の領地からももう直ぐ応援が来る頃だ、化け物達がダンジョンを壊しに集まって来るのが俺には分かる。
「ゴブ吉、アーサー。無双の時間だ。」
「任せるゴブ。」
「久しぶりに楽しめます、主殿。」
王都を守っていた聖騎士や重騎士、冒険者達に代わって俺達ゴブリン軍団が前に出る。彼らも十分以上に戦っていたがダンジョンから出て来るモンスターの数が多いので、ダンジョンを囲んで周辺に逃がさない様にするので精いっぱいだ。
「ワハハハ~弱い!弱すぎる!」
ゴブ吉のイージスで周りにいたモンスター達の頭が、同時に何百と吹き飛んでいく、アーサーが通った後にはバラバラに成ったモンスターが地面にばらまかれて行く。魔道部隊の広域魔法で囲まれたモンスター達は骨まで焼き尽くされ後には何も残らない。そしてヒーラー達の防御魔法が俺達を完全に守っている。
「相変わらずスゲ~な、ゴブリン軍団。」
「無双ってあんな感じなんだな。俺達がチームでスライムと戦う感じかな?」
「あいつ等今まで宇宙に居て、デッカイ船を壊してたらしいからな。それから比べたらモンスター達なんかスライムみたいな物なのだろうな。」
俺達ゴブリン軍団の強さを見て周りの人間達は既に諦めの域に入っている。俺達にとってモンスター等、ただのハエや蚊みたいなものなのだ。鬱陶しいだけだ脅威にはならないのだ。
「マスター!遅くなりました。」
「おう、お前ら来たか。」
俺の領地から船に乗って応援に駆け付けたキングゴブリンやキングソード・ゴブリン達が集まって来た。ダンジョンの知らせを聞いて直ぐに兵士を集めて来たが、流石に時間がかかって今になったのだ。
「あの、マスター?敵はどこでしょうか?」
「もう全部やっちまった。」
「・・・折角大急ぎで来たのに・・・」
俺の領地の戦士達がしょんぼりしている、久々に活躍する事が出来ると張り切ってやって来たのにもうダンジョンのモンスターは居ないのだ。
「よし、お前ら。全員でダンジョンに潜れ!一番奥のコアとか言うヤツをぶち壊せ。」
「え、良いんですか?俺達がやっても。」
「応、俺達は十分暴れたから、ダンジョンの破壊はお前らに任せるぞ!」
遅れてやって来たゴブリン達は嬉しそうにダンジョンに潜って行った。このダンジョンの一番奥は何階層か知らないが、一人一人が50階の階層主の様な連中が千人単位で降りて行ってるから大丈夫だろう。
「男爵様、何とかなりそうですな。」
「そうだな、後はあいつ等に食料とかの支援を送れば良いだけだな。」
「ならば支援は我々が行いましょう。男爵様はまだ他で必要とされているのでしょう?」
「うん、他の3か所のダンジョンが心配だ。応援に行かなくてはならないな。」
少し余裕の出て来た俺は他の3か所の首都と連絡を取って見た。ゴブリン王国首都ではエリザベスが頑張ってダンジョンモンスター達と戦っていた。
「大丈夫かエリザベス?」
「ふふふ、大丈夫ですわ。巨大バトルドレス50体でタコ殴りですわ。この日の為に密かに巨大バトルドレスを増産してましたの。」
「そ、そうか中々良い心掛けだな。」
ゴブリン王国は大丈夫そうだ。50メートル級のバトルドレス50体もあればモンスター達には負けないな。ただ踏みつぶせば良いだけだもんな。次にオーク共和国首都に連絡を取った。
「どうだ状況は?」
「現在首都を放棄して衛星機動からの砲撃で対応中です。首都さえ放棄すればモンスター等楽勝です。」
「そ・・そうだな、楽勝だな。健闘を祈る。」
オーク共和国も大丈夫な様だ、穏健派に代理王をやらせていたが全然穏健じゃないようだ、首都放棄とは思い切った事をする。だが放棄さえすれば衛星軌道からの砲撃でモンスター等は蒸発するだろう。壊れた首都は又造れば良いだけだ。最後にオーガ帝国首都に連絡だ。
「どうだ皇帝?」
「現在、新型バトルドレスで迎撃中だ。オリハルコン装備が活躍している。」
「そうか、大丈夫そうだな。」
「男爵の方はどうだ?全然心配はしておらんがな。」
「こちらはダンジョンの破壊を試みてる所だ。最深部のコアを狙って部隊を送り込んだ。」
「ほう、結果が分かったら教えてくれ。こちらもやって見る。」
何とか成りそうだった、やはり深淵に備えて日々訓練していたのが役に立った様だ。それぞれの種族が自分たちのやり方でダンジョンからのモンスターに対抗していた。
「ふ、大した事なかったなゴブ吉。」
「あちゃ~、何でフラグを立てるかな!ゴブ!」
「え!フラグなの?」
ダンジョンから俺のキングゴブリンやキング・ソードゴブリン達が慌てて飛び出して来た。一体何事だ俺のゴブリン達が逃げ出すとは?
「男爵さま大変です!勇者とか名乗る変な奴が現れました!」
「勇者だと?」
「魔法も打撃も全然効かない奴です!」
「くそ!変な奴が出て来たな!嫌なフラグだ!」




