第33話 宇宙の帝王になった
乱戦になり弩級戦艦が入り乱れている状況でアーサーの巨大バトルドレスとヘラクレスのバトルドレスが参戦した。アーサーは素早い機動と遠隔攻撃スキルで親衛隊の戦艦のオリハルコン製のコーティングをズバズバ切っていた。ある程度切ると戦艦を蹴りながら次の戦艦に攻撃を仕掛けていた。ヘラクレスは重さ超重量のドリル付きハンマーで戦艦の装甲をぶっ叩いていた。ロケットブースターで加速されインパクトの瞬間にドリルが装甲に深く食い込む力技だった。仲に居る者達は物凄い轟音でビックリしてるだろう。
「イージスで2隻捕まえたゴブ!」
「やれゴブ吉!」
アーサーとヘラクレスの働きでオリハルコンのコーティングを剥がされた親衛隊の戦艦はゴブ吉のイージスと魔同部隊の攻撃魔法の餌食へと変わった。
「2隻やったゴブ!」
「黄色の種族の戦艦大破。」
「敵艦1隻轟沈!」
これで5対7で数の上ではこちらが有利だが黒の種族の2隻とオーガのステルス戦艦は攻撃力が無いので実はこちらが不利だ。
「黒種族の戦艦2隻、衝突コースです。特攻に入りました。」
「無茶する連中だな。」
「ふ、どうせ死ぬなら道ずれですな。何時かは死ぬ身、お役にたちますぞ男爵。」
「ヘラクレスのバトルドレス大破。」
「アークロワイアル装甲損傷、防御力3割ダウンです。」
「敵艦、緊急離脱します。」
「逃げたか?」
「違いますな、編隊を組み直すつもりでしょう。全宇宙に放映してますから絶対に逃げません。」
「よしチャンスだ、ヒーラー部隊大破した戦艦を治すのだ。」
乱戦の為にヒーラー部隊は全力でアークロワイアルに防御魔法を掛け続けていたが、今なら戦艦の修復が行える。大破した戦艦が回復したのを知ったら相手は士気が大いに下がるだろう。
「エリカ、他の大破した戦艦の修復も出来るか?」
「出来ますが、魔力が空になりそうです。」
どうする?直して見方戦艦を増やして戦うか?それとも温存して自分たちの防御に使うか?俺はどちらかを直ぐに選ばなければならない。
「大破した戦艦を治してくれエリカ。」
「分かりました、ヒーラー部隊合唱用意!」
俺は味方を増やす事にした、俺の作戦はこうだ。俺の戦艦は防御力に物を言わせ相手の旗艦に体当たりする。ステルス艦と黒の戦艦は遠隔操作を行い3隻で1隻の親衛隊戦艦にぶつける。そして残りの親衛隊弩級戦艦は直したこちらの弩級戦艦で一騎打ちを行う。
「各艦、自分の目標を決めろ!必ず相手を倒せ!」
「「「お~!!!」」」
「燃えるな!我が夫よ。最高だ。」
「全宇宙に我らの根性を見せるのだ!勝てば我々は英雄だぞ!皆の者戦え!」
「結局最後は突撃ゴブな。」
「だな。泥くさい戦いになったな。」
敵の艦隊が綺麗なターンを決めてこちらに向かって来た。やはり旗艦が一番後ろ、前に4隻の親衛隊戦艦で守っている。こちらは前回同様俺の乗る旗艦アークロワイアルが先頭、後ろに6隻を隠した1列縦隊で相手に突撃だ。壊れた装甲はヒーラー部隊の力で完全に直っている。
「エリカ、俺の魔力を使ってアークロワイアルに回復魔法を掛け続けろ!」
「分かりました。」
「ゴブ吉、魔道部隊と合同で相手にメテオを撃ちまくれ。」
「分かったゴブ!」
「オーガの戦艦はギリギリまで俺の艦の後ろに隠れていろ。」
「了解。」
「敵艦急速接近!あと5分で接触します。」
俺の鈍い戦艦アークロワイアルがゆっくりと加速する、相手からの砲撃は既にこちらに届いている。しかしこちらは耐えるだけだ。5分耐えれば勝てるはずだ。
「えらく揺れるゴブな!」
「すげ~音だな!」
相手戦艦からの攻撃がアークロワイアルを激しく揺らしている、これがアークロワイアルじゃなかったらとっくに爆発しているだろうが、重装甲超弩級戦艦は見事に耐えている。
「装甲破損!エネルギー低下!現在50%です!」
「ヒーラー部隊回復開始!」
「合唱魔法ハイヒール開始!」
「ハハハ、ドンドン来い親衛隊!俺達ゴブリンの力を見せてやるぞ。」
俺の魔力もあと半分位しかないが、俺の戦艦は沈まない。幾らやられてもヒーラー部隊が完全に治してしまうのだ。今頃不死身の俺の戦艦を見て恐怖しているはずだ。
「あと30秒で接触します!」
「オーガ達、今だ行け!」
「「「「おおおお!!!」」」」
俺の旗艦の後ろからオーガの戦艦が飛び出して主砲を全力で撃ちまくる。防御や回避は考えない、ただ戦うだけだ。ステルス艦と黒の2隻は全速で体当たりに入る、後は野となれ山となれ作戦なのだ!
「敵艦2隻大破!」
「接触まで5秒!」
「アーサー行け!」
「了解、アーサー行きま~す!」
「捕まえた!イージスとメテオ行くゴブ!」
「当たります!総員衝撃に備えて下さい!」
オーガの戦艦が2隻の親衛隊を破壊し、ステルス艦と黒の戦艦2隻の体当たりを受け1隻の親衛隊戦艦が大破した。残りの1隻は魔道部隊の特大メテオをぶつけられオリハルコンのコーティングを剥がされた所にゴブ吉のイージスを撃たれて無力化された。そして相手の旗艦は俺のアークロワイアルの体当たりを受けてボロボロだ。
「主殿、宜しいでしょうか?」
相手の旗艦の上にアーサーのバトルドレスが立っていた、右手には光り輝く光の剣を持っていた。
「ああ、やれアーサー!」
「神技!次元断裂剣!」
アーサーのバトルドレスがキラキラ光ったと思ったら。相手の旗艦が2つになっていた。やっぱりアーサーは化け物だった様だ。
「敵艦から通信、降伏するそうです。」
「終わったな。」
旗艦が2つにされた所でギブアップの様だ。何とか今回も生き残った様だった。全部ヒーラー部隊とアーサーのお陰だった様な気がする。
「男爵様おめでとうございます。男爵様が宇宙の帝王でございます!」
「それはどうでも良いや。皆を助けに行こうぜ。」
戦いは終わった。俺は宇宙の帝王になったらしい。そしてその後、敵も味方も関係なく救助した、ヘラクレスもボロボロだったが生きていた。そして救助した中にはオーガ帝国の皇帝も混じっていた。
「やあ、皇帝。生きててよかったな。」
「負けたよ男爵、完敗だ。」
「運が良かっただけさ。」
「不死身の戦艦に乗る帝王か。オーガ帝国を宜しく頼むぞ!」
「要らないんだがな~」
「要らないゴブな。面倒くさいゴブ。」
「まあそう言うな男爵、オーガは強い者に従う決まりなのだ。」




