第25話 オーク達を支配した
なぜかオーク達が降伏してしまったので、俺はオーク族の面倒まで見なくてはいけなくなってしまった。ゴブリン100億人の面倒見るのもシンドイのに、オーク族200億人の面倒など見れる訳ないから以前からいたオーク族の名門に管理してもらう事にした。ゴブリン王国に戦艦を派遣してきた国王は当然責任をとって土に帰って貰った訳だが、それ以外の物は責任を取れせなかった。俺の国と同じ事だな、オークの事を何も知らない俺が統治なんかできる訳無いので出来る人間に丸投げだ。勿論オーク族の中で穏健な一族を選んで国王代理になって貰った訳だ。
「男爵様、私などが国王代理でよろしいのですか?」
「国王代理は嫌か?ナイル。」
「我が一族はオーク族の中では余り力のある部族では無いのです。穏健派ですから武闘派からは舐められています。」
「武闘派の心配は要らないよナイル。彼らには本当の武闘派がどんなものか見せてやるからね。」
それから俺達はゴブリン本星やオーガの族長等と話し合って、オーク族を大人しくさせるための方法を色々話し合った。結論はオーク族の慢心を完膚なきまでに打ちのめす事が良いだろうと言う事になった。
「なあナイル、何故オーク族って人の物取るんだ?欲しければ買うとか交換するとか色々方法が有るだろうに。」
「オーク族は選民思想に毒されているのです男爵、自分たちは上位の種族であると勝手に決めて、自分より下の種族には何をしても良いと思っています。それで無茶な事ばかりします。今回の件で懲りてくれれば良いのですが、このままでは我々オーク族は皆から嫌われて亡びるでしょう。」
「オーク族は数だけは多いですからな、いつの間にか勘違いしたのでしょう。下等生物程良く増えるのを勘違いしたのでしょう。数が多くて強いのは多数決の時だけですな。」
そしてオーガ共和国の主席に俺がなる日がやって来た。ナイルに言ってオーク族の武闘派連中は全員招待している。しかも、特等席だ。彼らは自分が偉いから特等席を貰えたと思って皆喜んでいた。式典の最前列に一番良い服を着て、持ってる物の中で一番良い装飾品を着けて並んでいた。大体がハイオークで175センチ位の身長で100キロ位の肥った感じの連中だ。俺達の星のオークと比べると手足が細くて腹だけ出てるただのデブだった。
式典が始まる、俺のアークロワイヤルがゆっくりとオーク惑星最大の宇宙港に降りて来る。その巨大さに式典に集まっていたオーク族は皆驚いていた。そして着陸した船からは俺の自慢の戦士達が続々と降りて来る。先頭は俺達ゴブリンの旗を持ったキングゴブリンのヘラクレスだ。3メートル500キロの身体を悠々と揺すりながら戦闘を歩いている。続いて2メートル半のキングゴブリン達が400名続く、その後はジェネラル級の2メートル超のゴブリン1000名。それらの後には不気味な感じのメイジゴブリン、そして美人集団のヒーラー部隊が続いて降りて来た。
ここらあたりでオーク族は自分たちが下位の種族である事に気が付いた様だ、武闘派連中は居心地が悪そうにソワソワし出した。俺の戦士たちの発する威圧感に耐え切れずに気絶する者も少しづつ出て来た様だ。
「ゴブリン王国、国王ダイ男爵の登場です!皆さん拍手をお願いします。」
綺麗に整列したゴブリン軍団の中を俺はゆっくりと歩いて行く。別に着飾ったりはしない、何時もの男爵の格好だ。俺は実力が有るので着飾る必要が無いのだ、勿論チャラチャラした服を持っていないことも有るが。傍にはゴブ吉が付いている、こいつが居れば何が有っても大丈夫だ。
「皆の者楽にしてくれ。俺が今紹介に預かったダイ男爵だ、宜しく頼む。」
うおおおお~!!!
ゴブリン軍団から地を揺るがす様な歓声が聞こえる。オーク族はゴブリン軍団の歓声に恐怖している様だ猛獣が一斉に吠えている様な物だから当然だな。
「俺が今日から君達の主席になるのだが、君たちは俺達ゴブリンの事を知らない様だから少し俺達の力を見せてやろう。」
「俺達の力のほんの一部だが楽しんでくれ。」
「アーサー!出ろ!」
超弩級戦艦アークロワイアルの格納庫から、アーサーの巨大バトルドレスがゆっくり出て来た。アーサーは目立つのが嫌いだったと思っていたが最近は違う何かに目覚めた様で、打ち合わせの時もノリノリで機嫌が良かった。
オーク族の前で轟音と共にバトルドレスが演武を開始する。オーク族はあり得ない巨大バトルドレスの機動に言葉を失っている。そして戦艦の主砲を跳ね返す防御力、手から出る巨大なファイアーランスを見て腰を抜かしていた。最もこれはヒーラー部隊の防御魔法と魔同部隊のファイアーランスを、あたかもバトルドレスがやった様に見せかけたインチキなのだが、オーク族にはバレないはずだ。
そして最後はアーサーの戦艦を真っ二つに切る神技、次元断裂剣。これで完全にオーク族は心が折れた様だ。武闘派連中は全員下を向いて俺達と目を合わせようとしなくなってしまった。
「以上で、我々の演武を終わる。オーク族の諸君。仲良くしよう。」
俺はオーク族の皆に向けて思いっきり悪そうな顔をして笑ってやった。こうして式典は滞りなく終わった後は平和になってくれるのを祈るだけだ。俺に出来ることは全部やった。
「いや~男爵様、素晴らしい演出でした。これでオーク族も大人しく男爵様に従いますな。」
「からかうなよ、バルト。疲れたぞ。」
「兄貴のバトルドレスカッコ良かったぜ、本当に主砲を跳ね返したり、手から攻撃する様に見えた。」
「ふっふっふっ、流石は我が夫。ゴブリン王国だけではなくオーク共和国まで手に入れてしまうとは、妻として鼻が高いぞ!」
エミリーが訳の分からない事を言って俺の背中をバンバン叩いて高笑いしている。俺は両方要らないのだがな。
「男爵様。次はオーガ帝国ですな。」
「何言ってんだ、オーガ帝国と戦争なんてしないぞ!」
「ふっふっっふ、男爵様は宇宙の帝王こそ相応しい。」
「ちょっと待て!俺の話を聞け!」
「そうか次はオーガか、腕がなるゴブ。」
「主殿、拙者頑張ります!」
「何処へでもついて参りますわ!」
どうやら俺の意思は関係なく話が進んで行く様だ。早く領地に帰って芋でも育てたいものだ。




