第23話 オークをボコボコにした
前方にオーク艦隊70隻がいて俺達は41隻なのだがどうすれば良いのかAIに聞いてみた。正面攻撃は危険なので牽制攻撃をしながら端の戦艦から沈めるのが一番勝利の確率が高いと言っていた。そして次に赤色艦隊の司令バルトに聞いてみた。
「バルト司令、AIは牽制攻撃をして端の戦艦から削れって言ってるけどどう思う?」
「当然ですな、私もそうします。数で負けてますから、少しでも均衡する様に立ち回るのが普通です。」
「そうだよな普通、エミリー、全速前進!敵艦隊のど真ん中に突っ込め!」
「了解!全速前進。」
「ひえ~!男爵様無茶です!」
AIもオーガ艦隊司令も無茶だと言うので俺達は真正面から突っ込む事にした。この無茶が成功した場合敵が戦意を喪失してくれる事を期待したのだ。それに駄目ならさっさと逃げれば良いだけだ、ここはオーガの宙域で有って俺達の後ろに仲間がいる訳じゃないから、逃げても問題無いのだ。
「バルト司令、お前たちは俺達ゴブリン艦隊の後ろに隠れていろ!俺達の艦隊が相手の主砲を跳ね返す。」
「分かりました、男爵様。全艦ゴブリン艦隊に続け!」
俺の乗ってる旗艦アークロワイアルが戦闘で後ろにゴブリン艦隊20隻が続く。そしてその後ろにはオーガ族の赤色艦隊20隻がついてくる。
「行くぞゴブ吉、召喚神で支援する!」
「俺達の能力を支援するゴブ!俺は魔道部隊全員とシンクロするゴブ。」
「ヒーラー部隊防御魔法合唱開始!」
オーク艦隊に俺達の真の力を見せてやる。俺が召喚神の力を使い艦隊にいる全ゴブリンの能力を何倍にも引き上げてやるのだ。この力で前回は30隻の戦艦を無傷で沈めたのだ。ゴブリン艦を覆っていた淡い防御魔法が輝きを増して完全に肉眼で見える程強化されていく、魔道部隊の魔力も爆発的に高まって来た。
「オーガ艦隊、全艦攻撃開始!」
オーガ艦隊は俺達の後ろから少し顔を出して敵艦を攻撃して又俺達の陰に隠れるという戦い方を始めた。流石艦隊司令だけのことはある、これによって相手も防御しなくてはならなくなってこちらに攻撃する艦の数が激減していた。
「やるなバルト。」
「我らオーガ族は戦い巧者と言われているのですよ男爵様、役に立ちますぞ!」
「良しこのまま突っ込め!」
敵の主砲が俺の艦に当たりだした、だが防御魔法とエネルギー防御を破る所まではいってない。やはり先頭で一番目立つ巨体なので集中攻撃を受けている様だ。これが普通の戦艦ならもう沈んでいるだろうな。
「捕まえたゴブ、反撃するゴブ!」
「魔道部隊、合唱開始!」
敵艦艦隊の真ん中を突っ切りながら今度は攻撃する、ゴブ吉のイージスで戦艦の中のオーク族を殺し、魔道部隊のメテオが敵戦艦を轟沈する。すれ違っただけなのに20隻の戦艦が爆散し、3隻が無力化された。3隻はゴブ吉のイージスで乗組員だけが殺されたのだ。オーガ族の戦艦は周り中に弾幕を張って俺達を追撃させない様に頑張っていた。中には上手く連携してオーク族の戦艦を撃沈する船も出ていた。
「よしこのまま全速で離脱する。」
「任せろ!全速離脱。」
「ヒーラー部隊後方に防御魔法を張れ!」
「分かりましたわ、ヒーラー部隊後方に防御魔法。合唱開始。」
この戦闘でオークの戦艦25隻が沈んだ、俺達ゴブリン艦隊が23隻、オーガの赤色艦隊が2隻の戦艦と無数の小型艦を沈めたのだ。実戦で戦艦を沈めたオーガ族たちは大喜びだった。オーガ族にしても今回の戦果は伝説級の出来事だった様だ。
「いや~男爵様、素晴らしい戦いでした。やはり神の力は凄いですな。我らオーガ族は男爵に一生ついて参りますぞ。」
「オーガ族のお陰で助かったよ、オーガ族の攻撃が無かったら攻撃があの3倍位になってアークロワイアルの防御でも無理だったかも知れないな。」
「そう言っていただけると我々もやり甲斐が有ります。男爵様は部下を扱うのも長けてらっしゃる。」
「オーガ艦隊から入電。」
「どうした?」
「オーガ艦2隻が被弾して付いて行けないそうです。」
「そうか、しょうが無い。2隻は放棄して他の艦に分譲させろ。」
「すいません男爵2隻脱落します。」
まあ2隻が脱落する位で済んだのだから良いだろう。この乱戦で無傷とはいかないのは覚悟の上だしな。
「マスター、お茶ですわ。」
「ありがとうエリカ。ヒーラー部隊の魔力は大丈夫か?」
「半分以上残ってますからあと一回同じことが出来ますわ。」
「離艦急げ、その後は爆破して放棄だ!」
「あら?どうしましたの。オーガの皆さんが慌てていますけれども。」
「ああ、2隻やられて壊れたみたいなんだ。」
「まあ2隻が病気なのですね、治療いたしましょう。ヒーラー部隊合唱用意。2隻の戦艦さんを治療いたしますわよ。」
「いや・・エリカ・・病気じゃなくてね・・・」
「ハイヒール!」
以前船の故障を病気って説明した俺が悪かったので止められなかったのだが、これが意外な結果を生む事に成った。
「オーガ艦隊より入電。」
「離艦出来たか?」
「2隻の戦艦が完全に直ったそうです。」
「え~!・・・・」
「良かったですわ。大きいからどうしようかと思いましたわ。」
「エリカ良くやった!これで俺達は勝てるぞ!」
どういう訳かは知らないが、エリカ達のハイヒールは戦艦を修理出来る様だ。まあ生き物を治すより簡単なのかも知れないな。千切れた腕が生えてきたり傷口がふさがったりするのは見ていても不思議だったからな。しかしこれは俺達が更に強化されたって事だ、轟沈しなければ何度でも蘇る不死身の艦隊って事だからな。相手にとっては悪夢の様な出来事だろうな。
「よし、全速反転!残りをかたずけるぞ!」
「男爵様、相手が可哀そうになってきましたよ。」
「ふっふっっふ、圧倒的な実力差って奴を見せてやるゴブよ。




