第21話 赤の部族が子分になった
しばらくたってオーガ族エミリーの叔父さんの赤色艦隊が俺達の星にやって来た。戦艦20隻の艦隊だ。これはエミリーの一族の艦隊なのだそうだ。全部集めると50隻ほど有ると言うからエミリーの一族はオーガ族の中でもかなりの上位の一族らしい。王族が戦艦200隻を持っていて最大勢力というのだから、俺達の世界で言うと侯爵クラスの地位や領土を持つ感じになると思う。それから言うと俺は戦艦100隻を持つ王だから公爵クラスなのかな?オーガの世界では。
「わっはっは、初めまして。オーガ帝国赤の部族の族長で赤色艦隊司令バルトだ。」
「ああ、こんにちはゴブリン王国で国王してるダイ男爵です。宜しく。」
「男爵で国王?」
「ああ、俺は自分の星では男爵なんですよ。」
「男爵で戦艦100隻を持ってるとは・・君の星の王は戦艦1万隻位持ってるのかね?」
「いえ、俺の星はカテゴリー1だから戦艦ゼロです。」
「???なな・・カテゴリー1??すまん訳が分からないのだが・・??」
その後エミリーが色々と俺について話していた。初めは疑っていた様だがエミリーがクイーン級オーガになっている事で、俺の事を納得したようだ。どう納得したのかは分からないが。
「いや~男爵、納得いたしました。あの伝説の星の王様だったのですね。」
「はあ・・」
「我らの進化を司る神とは思いませんでした。エミリーは幸せ者です、宜しくお願いします。つきましては我々、赤の部族とも友誼を結んでいただけませんでしょうか?」
「良いですよ、仲良くしましょう。」
「ありがとうございます。男爵に何か有れば我ら赤の部族が全力で支援しますぞ。」
「待てよ親父、俺はこいつが進化の神なんて事は信じないぜ!」
大きなオーガが出て来た、先祖帰りか何かだろうかハイオーガなのだがジェネラル級オーガのバルドより大きくて強そうだ。俺達の星のオーガ並みのサイズなので2メートルを軽く超える身長と筋肉を持っている様だ、体重は150キロ位かな。角も2本で長い、彼らの中でも一番大きく凶暴な感じだ。
「こら失礼だぞ。下がれ!」
「俺達オーガは言葉は信じないんだ、力を見せてくれよ男爵。」
「良いだろう、見せよう。」
ハイオーガが生意気にニヤニヤ笑っているので俺達の力を見せてやる事にした。バルド達の信頼を得るのは悪い事じゃないからな。丁度良い感じでかませ犬が出て来てくれて有難い。
「ヘラクレス!相手をしてやれ。」
「へい、マスター。」
相手が力自慢の様なのでこちらも力自慢のゴブリンを出すことにした。俺達がこちらに来ている間にダンジョンで鍛えに鍛えたキングゴブリンのヘラクレスだ。もう直ぐキングからクラスチェンジ出来そうな彼は身長が3メートル、体重は500キロ程になっていた。ヘラクレスはオーガの近くに行き、真上から見下ろしていった。
「ぐふふ、我らの神を疑うとは生意気な小僧だ。神の恐ろしさを教えてやろう。」
「いえ・・・遠慮させて下さい。男爵は神です、俺が保証します兄貴。」
何とも変わり身の速い小僧だった、ハイオーガってこんな軽いのか?まあどんなに馬鹿でも死ぬのは嫌なのだろう。
「情けないぞ!スパイス。戦うのだ!」
「無茶言うなエミリー、俺が勝てる訳ねーだろ。見ろよ、伝説の巨人トロルだぞ。」
「馬鹿ヘラクラス殿はゴブリンだ。」
「ゴブリンがこんなにデカい訳ねえ~だろ。」
「大きさなど関係ないわ!ゴブ吉殿は生身で戦艦16隻を沈めたぞ。」
「俺が相手するゴブか?戦艦乗っても構わないゴブよ。」
ハイオーガの暴れん坊スパイスは青い顔をして部族の中に走っていった。オーガ族の中では強いのかもしれないが、俺達からしたらただの雑魚なのに気が付いた様だ。アーサーも何かウズウズしている様なので丁度良いので、新しい巨大バトルドレスで演武を披露してもらう事にした。
「やあバルトさん、友好の証としてアーサーの演武を披露しますよ、見てやって下さい。」
「おおアーサー殿は大層お強いとか、それはぜひ見てみたいですな。」
それから50メートルの超巨大バトルドレスが音速を突破する動きを見せるとオーガは青くなった。そしてアーサーの操る50メートルの大剣が起こす衝撃波と威力を見て腰を抜かすオーガが続出した。止めはエミリーの偵察艦からの主砲の攻撃を大剣で消し飛ばすとオーガは目を大きく見開いて固まっていた。
「なんと物凄いとしか・・言いようが有りませんな。こんなものが地上に降りてきたら国が滅んでしまいますな。恐ろしい・・・」
その後も俺のヒーラー部隊による戦艦の主砲を跳ね返す防御魔法や戦艦を破壊する魔道部隊等を見せてやったら、完全に毒気を抜かれた様で、ゴブリンこそ宇宙最強の種族だという事を納得した様だ。そして俺は赤の部族の神として崇拝される事に成った。オーガ族は力こそ全てと考える単純種族だった。
「男爵様、赤の部族の忠誠をお受け下さい。オーガ帝国等カスです。男爵様こそ宇宙の帝王に相応しい。」
うお~!!!!!!!!男爵!男爵!男爵!男爵!!!!!!!!
何だかオーガ達が盛り上がってる。ゴブリン達も一緒に盛り上がってる様だ。エミリーは当たり前だって顔をしている。アーサーやエリカやエリザベスもだ・・・俺は何もしてないのに何でなんだ?アーサーやゴブ吉を崇拝しろよお前ら。良いのかよ俺はカテゴリー1だぞ、この間までゴブリン達と芋育ててただけの男爵だぞ。
「なあゴブ吉。何で俺が崇拝されてるんだ?俺関係無いよな。」
「何言ってるゴブか。俺やアーサー育てたのは師匠ゴブ。」
俺はオーガ族の戦艦も自由に使える様になったので、現時点でオーク族攻撃に使える戦艦が41隻になった。ゴブリン族の戦艦の残り80隻は本星防衛に回って貰う。相手が準備完了する前に叩きに行く予定だったので丁度良い。キングゴブリン用の大型バトルドレスをエリザベスに注文した後俺達は又宇宙へ飛び立った。
「そろそろ、この艦隊にも名前が欲しいゴブな。」
「俺達ゴブリンだから、緑の艦隊で良いんじゃないか?」
「相変わらず、安直ゴブな。」




