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ゴブリン召喚士 宇宙へ  作者: ぴっぴ
第2章 宇宙の召喚士
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第14章 オークとお話した


 今回の王様にされた件は少し驚いたが、何となく予想していた。ゴブリン達の感じがダンジョンの中に似ていたせいだ。ダンジョンでは敵のはずのゴブリン達が俺達に敵対する事は全く無かった。敵対どころか俺達のダンジョン攻略を手伝ってくれた位だった。この星のゴブリン達も同じだった、何故か俺達に期待しているのだ・・・いや違うな、崇拝しているのだ。確かに俺はゴブリンの心に言葉や感情を伝える事が出来るし、アーサーやゴブ吉は最高位のゴブリン達だ。進化の究極と言って良い存在だが、今回みたいに文明レベルが桁違いの相手から崇拝されるとは思ってなかったのだ。


 「アーサー様、演武をお願いいたします。」


 「うむ、承知した。主殿、行って参ります。」


 「ああ、程々にしとけよ。」


 歓迎式典の後、アーサーの神技が話題になった、そこでゴブリンの戦闘用外骨格と模範試合をやったのがまずかった。人口AI搭載の戦闘用機械兵をあっさりと破壊したアーサーがゴブリンのヒーローと化してしまったのだ。連日演武と取材でどこかに連れていかれている。


 「エリカ様、撮影のお時間でございます。」


 「それではマスター、行って参ります。」


 「うん、いってらっしゃい。」


 エリカは王国最高の美女として、これまた毎日ひっぱりだこだった。エリカが表紙に載ると売れ行きが10倍になるとかで、高額の出演料で毎日撮影会やインタビューを受けていた。


 「ゴブ吉は行かないのか?」


 「行くゴブ、この国の魔術について調べてくるゴブ。」


 「魔術?魔術が有るのか?」


 「大昔に魔術が有ったみたいゴブよ。ここ1000年位は全然確認されてないみたいゴブな。」


 この星に来て初めて知ったが、ここには魔法や魔術、スキル何かが全くななかった。大昔に有った様な記録はあるが実際見た人はいない。機械化が進んで必要無くなったから退化したって言うのが定説の様だった。実際周りのゴブリン達を見てみたがメイジゴブリンなのに魔法スキルを持っていなかったり、ヒールゴブリンなのに治療魔法が使えないのが当たり前だった。それでもメイジは頭を使う仕事、ヒール達は治療系の仕事についていた。


 「師匠は何するゴブか?」


 「俺は前の王様と、これからの打ち合わせだな。どうやったらゴブリン達が幸せになるのかさっぱり分からん。俺は何すれば良いんだ?」


 「師匠が居るだけでゴブリンは落ち着くゴブ。だから何もしなくて良いゴブよ。」


 「勘弁してくれ、ゴブリン達に養われるのは嫌だ。俺も何かさせてくれ。」


 俺は以前の冒険者時代を思い出した。アーサーやバーバラやゴブ吉に稼いでもらって俺は魚取りと料理だけしてた時代だ。あれは何と言うか辛かった、肉体的には楽だったが精神的に辛かった。自分は必要ない存在なんじゃないかって思ってしまうのだ。貴族なら毎日遊ぶのが当たり前だが、俺は貧乏して育ったので働かない事に対して罪悪感が有るのだ。


 「男爵様、よろしいですか?」


 「おう、王様。なんか肥ったな。」


 「はっはっは、王様辞めたら飯が美味くて、食い過ぎました。ワッハッハー。」


 「それは幸せそうで何よりだな。」


 前会ったときは痩せて青い顔してたのに、最近は何だか元気が良いのだ。反対に俺は胃が痛いんだが。前の王様と色々話したが、今の所ゴブリン王国に食糧難とか病気とかの心配は無いのだそうだ。ただオークとオーガによる領土の侵略が問題なのだという。おまけにオークやオーガの方が強くてこっちは防戦するだけで精一杯なのだそうだ。大体戦力比はゴブリン対オークで1対3、ゴブリン対オーガで1対10なのだそうだ、大体これは領土の広さと一致するらしい。科学技術は似たようなもんでここ1000年程何処も大した進化はしてないそうだ。ゴブリン達は人口も横ばいだし、普通に暮らせているので領土的な野心は無いのだそうだ、オーガ族もそんな感じなのだが、オーク族だけは毎年人口が増えるので新しい資源を確保するため周りにちょっかいをかけてるらしい。


 「という事はオーク族と上手くやれば、ゴブリン王国は良い訳なんだな?」


 「そうです。あいつら最近我々の惑星や恒星の資源を勝手に盗んで行くのです。このままでは我々が必要な資源まで根こそぎ取られてしまいます。」


 「ふ~ん、厄介だな。オーク達に行っても止めないよな。」


 「あいつらの方が数が多くて強いから絶対やめませんね。」


 オーク族は豚型の種族で、俺達の星にもいたが兎に角意地汚い。何でも食べるし、幾らでも食べて肥え太るのだ。必要な分だけ食べるとか、残すとかいう思考は全くしない。目の前に有れば全部食べる、もしくは持ち帰る。ハッキリ言って迷惑な種族だ、こいつらが増えると周り全部が被害を受けるので、俺の星では常時討伐対象になっている位だ。 


 「男爵様!オークの代表から通信が入ってます!」


 「へ~、丁度よいな。話してみよう。」


 「お気を付けて下さい男爵、あいつら無礼な事ばかり言って挑発してきますよ。」


 「そうか、挑発に乗るなって事だな。」


 オーク共和国の代表と話をする為に、部屋を変わる。勿論通信は完全に記録されている、後から皆に見せないといけないから。


 「やあ、こんにちは。新しくゴブリン王国の王になったダイ男爵だ、宜しく。」


 「ほう、貴様がチンケで矮小なゴブリンの達の親玉か。」


 「随分汚い口の利き方だな、豚の酋長は礼儀を知らんのか?」


 「何だと貴様!新しい親玉が決まったと言うから挨拶してやったのだ!感謝しろ!」


 「誰がお前みたいな豚共に感謝するか阿呆!文句が有るなら来てみやがれ!」


 「・・・ぐおお~!!!!良く言ったクズドモ行ってやるぞ!!!待ってオレ!!」


 そう。俺はオーク族との初の通信でやっちまったのだった。この後全国民に詫びたが、概ね俺が悪いのではない、オークが悪いと言う事になった。アーサーやゴブ吉は嬉々としていた。こいつらオークが心底嫌いなのだ。オーガ族のエミリーは俺の短気さに腹を抱えて笑っていた。でも、戦争にしろ諍いにしろお互い準備をしてから行うと被害が大きくなるので、今始めた方が被害が少なくて良いとも言っていた。この国の人達を戦わせるのは気が進まないので、エミリーに頼んで俺の領地の兵士を連れて来てもらう事にした。


 

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