第10話 バトルドレスとか言うのを見てみた
なんだかSFっぽくなった気が・・・気がするだけでしょうね~。
やっぱり合体する巨大ロボが必要なんだろうか?そもそもSFとファンタジーって噛み合うのか?
オーガの船の修理も終わり俺達の船も3隻になった。オーガ族の船も直ったので今日はエミリーにオーガ族のバトルドレスと言う物を見せてもらう事になっている。バトルドレスと言うのは宇宙空間での戦闘や地上での戦闘時にオーガ族が身に着ける機械で出来た鎧みたいなものらしい。
「エミリー、それがバトルドレスなのか?」
「そうだ、私たちの戦闘装備だ。」
見た感じ、フルアーマーの鎧みたいに見える、中にエミリーが入って動き回るのだそうだ。装着後はエミリーが2メートルのフルアーマーになった様に見えた。バトルドレスは中に入っている者の力を正確に2倍にするのだそうだ。金属の表面はレーザーなど光学兵器を乱反射し物理攻撃も跳ね返す強度があるのだそうだ。
「どうだ、強そうだろう男爵。」
「2倍の力なのか?10倍ぐらいにしたらもっと強いんじゃないのか?」
「無茶を言うな、3倍でも普通の兵士には無理だぞ。感覚がついて行かなくて事故を起こして怪我をするか周りを巻き込んで悲惨な事になるのがオチだ。」
「それじゃあ、器械に全部やらせれば問題ないんじゃないのか?AIならいけそうだが?」
「昔AIの戦闘機械を造ったら、戦闘時に相手にハッキングされて偉い事になったので、それからはどこの国もAI搭載兵器は造らなくなったのだ。強力な兵器が敵に乗っ取られると悲惨だからな。おまけに時限式のウイルスならギリギリまで敵か味方か分からないので計算が立てられないのだ。」
オーガ族は元々強いので2倍で良いのかも知れないが、ゴブリンは弱いので2倍のパワーのオーガ族には確かに敵わないだろうと思う。
「模擬戦でもしてみるか?男爵。これなら負けんぞ。」
「良いだろう、ヘラクレスやれ。」
エミリーは自信有り気だが、こっちの世界のオーガと比べると格段に弱いのだ。プリンセス級でもこちらの普通のオーガ位の力しかない。2倍になってやっとこちらのハイオーガ位の力だろうと思う。ヘラクレスはキングゴブリンなのでハイオーガよりも更に強い。
「おいヘラクレス、手加減しろよ。」
「分ってますマスター。味方をぶち壊すとマズいですわな。」
身長2メートル、エミリー込みで全備重量150キロ程のバトルドレスと2メートル半300キロのキングゴブリンの力比べが始まった。当然キングゴブリンの方が力が強い。150キロしかないバトルドレスはキングゴブリンに片手で掴まれて振り回されている。中の人間はたまったもんじゃないだろうな。本気の戦いならこのまま地面に叩きつけられて終わりだな、機械が壊れなくても中の人間は壊れてしまう。
「まだだ!まだやれる。リミッター解除、フルパワードライブ!」
「おいおい、エミリーあんまり熱くなるなよ~!」
今度はバトルドレスがキングを持ち上げて投げ飛ばしている、力もスピードもさっきよりは格段に上がっている。しかし、キングは投げられても、地面に叩きつけられても平気だ。耐久力と回復力がけた外れに高いのだ。
「マスター・・本気出して良いか?・・」
「いいぞ、ただし壊すなよ。」
自分の周りを跳ね回り、チマチマ攻撃してくるバトルドレスに嫌気をさしたヘラクレスがバーサーカーを使った、約3倍に跳ね上がった能力でバトルドレスを軽々と捕まえて小脇に挟んでいる。軽く挟んでいる様だがバトルドレスの各部からは軋み音が聞こえている。
「わ~!参った!参ったから放してくれ、壊れてしまう。」
「放してやれ、ヘラクレス。」
「参ったな、リミッター解除してもパワー負けするとは思わなかったぞ。アクチュレータの限界の6倍まで出力を出したんだがな~。」
大体オーガ族のバトルドレスの実力が分かった。非武装なら大体ジェネラル級の強さみたいだな。武装の種類で後は強さが変わる様だ。アーサーならバトルドレスを簡単に切り捨てるしゴブ吉なら何体来ても問題にしないだろう。つまり俺達にはこの手の戦闘機械は脅威にならない様だ。
「おいエリザベス、ゴブリンにもバトルドレスは有るのか?」
「有りますよ、外骨格型戦闘スーツ。オーガ族と同じような性能です、オーク族も似たような装備が有りますよ。私たちが生身で戦う事は有りませんからね。」
「そうか」
やっぱり宇宙のゴブリン達が弱いのはこれのせいみたいだ、余りにも機械化が進み過ぎて体や精神が弱くなってる様だ。種族が違っても皆楽して生きたいのは同じなんだな。後はエミリーを使って実験したら俺の知りたいことは終わりだ。
「エミリー、バトルドレス着てダンジョン潜ろうぜ。」
「うむ、良いぞ。用意が大変だがな。」
俺はバトルドレスを着て戦闘しても経験値が入るかどうか知りたかったのだ、装着して戦闘できれば宇宙ゴブリン達のクラスチェンジが楽になるから。
エミリー使節団の連中にバトルドレスを着せてダンジョンに連れて来たが、思ったより大変だった。バトルドレスのパワーパック。背中に付けるバッテリーが大量に要るのだ。1個50キロのパワーパックで約5時間の戦闘しか出来ないらしい、これを運びながらダンジョンに潜るのは大変だった。船の傍なら無線でエネルギー供給できるがダンジョンの中ではパワーパック頼みだったのだ。
「何だか便利なのか不便なのか分からないゴブな。」
「本当だな、でもこのクソ重いパワーパックが無いとあいつらまともに戦えないしな~。」
結論から言うとバトルドレスで魔物を倒しても経験値は入ってくる様だった、問題はパックが重すぎて運びにくい事だ。パワーパックを運ぶバトルドレスが必要で、それもまたパワーパックを消費するという笑えない状況になっていた。やはり生身でドンドン魔物を狩りまくる俺達田舎者ゴブリンの方が荷物が少なく移動が楽で、長時間戦えるので成長が速かった。
余りの大変さに俺達は根を上げてバトルドレスは使わなくなった、どうせパワーレベリングしてるのだ戦いの途中でエネルギー切れで動かなくなるバトルドレスは戦闘には不向きだ、根性や気合で戦闘力が上がる俺達の方がよっぽど使えるのだ。それでも何とか使節団とエミリーのクラスチェンジは何とかなった。
「そろそろ、行こうかエリザベス。お前の星へ。」
「そうですわね、私もクイーン級になりましたから問題は有りませんわ!ゴブリンの王国は男爵の手の中でしてよ。」
何だかエリザベスが怖い事を言っているが無視する。俺は宇宙のゴブリン達に助けを求めに行くのだ侵略や支配なんてとんでもない事だ。




