log in - 99 訪問 ー煽りの森を越えてー
◇◆◇◆◇
“カンッ、カンッ、カンッ、カンッ……”
鳴り響く槌の音。
真っ赤に燃える炎を背に、真摯に一途に打ち込む姿。
そこには、気合も気概も根性でもない……ある種の惰性にも似た何かが浮かんでいる。
そう、残りの人生の全てをただ傾けているかの様に、延々と延々とその工程を繰り返す。
その胸の内にいかなる思いが去来しているのか……それは、彼女にしか分からない。
ただ、確かに言えることは……今日も彼女は、鎚を振る。
「……はぁ~、アミラさん? 何をいきなり語り出しているのですか?」
「……あは♪ 何やら電波が伝わってきているみたいなので、ね」
うん、何ていうか……ノリ?
だって……好きでしょ? こういった意味ありげな出だし。
いや、他に語るべきことがないわけじゃないんだけど……プライバシーだし? それ以外の、となると……まさか生産にここまでのめり込むとは思わなんだよ……orz
いや、まあ……母が戦闘でブイブイ言わせているところなんて想像もできないんだけど、さ? でも、こう……あまりのひきこもりっぷりに、わたくし少し引いてしまいますわ。おっと、何も知らなかった乙女の頃の口調が出てしまったわ。
もっとも、それはこんな辺鄙な場所に拠点をこさえた私の所為でもあるんだろうけどね。
え? 素材はどうしているんだ、って? はい! パトロン及び販売やってます! 結構な収入で、うっはうっはですっ!!
すいません、調子に乗りました。なので母よ、そんなジト目を向けないでください。
「はぁ~~~~~……」
そんな、心底深い溜息を……。
でも、まあ……ひきこもりはともかく、少しは昏い気配が薄れたかな? それだけでも、こっちに引き込んだ甲斐があったってものか……。
残されたあの娘の奇跡は、どうやら1人自重しない娘がいたようで、どれもこれもが頭の痛くなるようなことばかり。それが、結果的に笑い話になっているんだから……グッジョブ、と言うべきなのか?
……ん? 珍しい。お客さんだ、よ……って、んんっ!? あれって……まずっ!!
「お母様、わたくし素材の収集に行ってまいります。でゅわっ!!」
うん、流石に今私が合うわけには、いかないよねぇ……。
◇◆◇◆◇
道なき森へと分け入り、草木を掻き分け突き進むこと……半日。
“ケケケケケケケケケ……”
不気味な笑い声にも似た鳥の鳴き声? の木霊する奥地へと踏み入れるも、未だ目的の場所は何処か……。
“ウヒョヒョヒョヒョヒョ……”
てか、どうにもおちょくられているようにしか思えんのだけど、これ!? イニスなんぞ、目が座ってるし……。
“ア~~ッヒャッヒャッヒャッヒャッヒャッ……”
「……ねぇ、アギト? この森……焼き尽くして、いい?」
うん、気持ちは分かる。分かるんだが、その迸る魔力は抑えような? ほら、どうどう。
「ぐぬぬぬぬっ」
「うふふふふぅ~、仲良しさんですねぇ~」
「なっ!? ち、ちがっ!?」
そう動揺を見せると余計に茶化されるぞ、イニスよ。
「っと、それよりも!」
「うふふ、ふふふふふぅ~」
「そ・れ・よ・り・も!! まだなの、リリウ?」
うむ、その言葉を敢えて返そう……仲良きかな。
「えぇ~っとぉ~……マップだと、2/3は越えてますかねぇ~? っと、えいぃ~」
“ドスッ”
おふぅ……。
“ザンッ”
「後、1/3も……これが続くの、ねっ!」
“ボグンッ”
気の抜けた声と共に突き出されたリリウの槍が、地面を這よってきたムカデ……ポイズンセンチピードの頭部を貫き。
非情な現実を前に気分と共に地面へと振り落ちた俺の剣が、飛んできたトンボ……スライスリベレを両断する。
そして、その諦念交じりの苛立ちをぶつけるが如く、半ば八つ当たり気味に突き込まれたイニスの棍が、樹にへばりついたテントウムシ……ターンコキシネル(無害)を撲殺した。
この森に踏み入ってから、かなりの頻度で襲ってくる? 昆虫系の魔物。
強くは、ない。いや、寧ろメッチャ弱いんだが……結構隠密性が高い上に割と洒落にならない状態異常ありや、一撃必殺の部位欠損ありと、なんだかんだで気が抜けない。
ただでさえ巨大な昆虫って気味が悪いのだ。この森が『転生者』達に忌避されているのも分るというもの。
――ゴオォ~~~~~ン――
ましてや、その昏い前途を暗示するかのように響く鐘の音。
何より、極めつけは……。
“ウザッカロロッ、ウザッカロォ~~~~~……”
「焼くぅううっ! もう、焼くぅうううううっ!!」
これだからなぁ……。
まあ“ワラ、ワラ”と集ってきてウザいのは事実だし……虫除けでも作るか?
因みに、先程から度々苛立ちを煽るように響く鳴き声を発している鳥? は、虫とは打って変わって一度としてその姿を現すことはないのである。
ほんと……気持ちは分かる。
*
*
*
「漸く……か……」
「漸く……ね……」
神経をすり減らしながら、巨大な昆虫が跳梁跋扈する森の奥へとひた進み……遂に、だ。
「はいぃ~、ここがアロマさんの工房ですぅ~」
それは、随分こじんまりとした煉瓦造りの建物。周囲から、酷く浮いている。
うん、色々とおかしいよな? こんな所に“ポツン”とどうやって建てたんだ?
いや、まあインベントリがあるから資材とかはどうにでもなるだろうが、あれだけ頻繁に魔物が集ってくる中でとなると、なぁ……。
人出を集めるという手もあるが、どうもこの工房の場所を知っているのは極々一部……と言うのすらもおこがましい、ほんの数名の『転生者』のみだというし。俺ならば可能だが、他の『転生者』達の現状でその少人数での作業となったら……無理あるよなぁ……。
それに、だ。今の『転生者』の中に、建築関係を熟せる生産者がいるとも思えんしな……。
まあ、疑問は尽きないが……俺はそれの呑み込み……。
“ピンポ~~~ン……”
未だ違和感の拭えない魔道具へと、指先を押しつけるのであった。
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【昏き訪れを告げる鐘 Lv-∞】
[アビリティ]
ノクターン
とある転生者たち~その淫惨なる時の最中に……~
R18
[アーツ]
招かれる凶鬼~昏き胎動の目覚め~
強者の躾け~敗北の掟を身に刻む宿命の胎嫁~
略取の威光~淫虐に跳ねる白濁の兎~
手折る恥辱~惨溺する決意の囀る果て~
淫枷の獣鎖~恥従に尾を振る雌犬の艶哮~ NEW!!
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