log in - 91 まおう……?
本日4話投稿 - 4/4
――ドーーーーーン――
重い重い効果音。そんな幻聴が聞こえてきそうな……その巨大な扉は、まるで……。
「どこのボス部屋だ……?」
装飾を施された重厚な扉は、ダンジョン内という立地も相まって、ボスベアとという雰囲気をこれでもかと放っていた。
「あ~、ある意味……まんまかもしれんなぁ……」
「「「は?」」」
オーレルの言葉に、俺達3人の間抜けな声が重なる。
それを尻目にオーレルは、その扉へと両手をつけ。
――キュイィ~~~~~ン、キュンッ、キュンッ、キュキュンッ――
そこから、表面の装飾をなぞるように扉の一面へと光が走った。
“ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ……”
重々しい音を立てて……扉が、開いていく。
“ボッ、ボッ、ボッ、ボッ、ボッ、ボッ、ボッ……”
左右の壁に列をなす燭台に、炎が音を立てて灯っていく。
それを追っていく俺達の視線の先で……。
「くくくく……くははははっ! ……はぁ~~~っ、はっはっはぁっ!!」
「「「三段笑いだとぉおおおおおっ!?」」」
おどろおどろしい玉座に腰かけた女性が、俺達を見るや否や高笑いを轟かせたのだ。
その髪の色と同じ炎のように真っ赤なドレスに身を包み、3つの瞳で俺達を睥睨する……それは……。
「待ちくたびれたぞ、勇者よ! さて、余がかけるべき言葉は一つ。勇者よ……余のものとなれ! さすれば、世界の半分をくれてやろうっ!!」
と……のたもうた。
………………………………………。
静寂が、周囲を包み込む。
それを打ち破ったのは……やはり、この男であった。
「何をやっとるんですか、師匠。いえ……ブリギッド陛下」
「「「……はぁ!?」」」
オーレルの口から飛び出した驚愕の事実。
今、俺達の目の前でその豊満な胸を突き出すようにふんぞり返る女性こそ、この国の王……女王その人であった。この国だと国王は皇王と呼ぶらしく、女皇が正確らしい。
……いやいや、ちょっと待て! 女皇が師匠って、オーレルのこの国での立ち位置が今一よく分からんのだが……?
「うむ、いやな? 『転生者』は、かの巫女様方と同郷だというではないか。そこに天啓が降りたのよ! その来訪を待ち受けるとなれば、これしかないっ!! ……とな」
そんな天啓を降ろすのは、どこの阿呆な神様だ?
“ピコーン”
《神々とは、一切関係ございません! by 神一同》
あ……うん。
「と、いうわけで……じゃ! くくくく……くははははっ!」
あ、そこから仕切り直すのね。
呆れた目を向けられているのも意に介さず、我が道を暴走するかのような女皇陛下……と。
「はぁ~~~っ、はっ“ズッゴォ~~~~~ンンッ”はわぁ~~~~~っ!?」
その高笑いの最中。突如として砕け散る背後の壁。
呆気にとられる俺達の前で、“ポッカリ”と空いた穴から1人の女性が歩み出る。
“クリッ、クリ”とした大きな瞳に、心持ち高い鼻。
褐色の肌をしたその顔は、どこか幼くも見えて可愛らしい。
肩口で切りそろえられた髪の隙間から、少し尖った耳の先端が僅かに飛び出ている。
何だろう? 微妙に近親感が湧く。
こう……ゴブリンを擬人化? するとこうなる、みたいな?
そんなメイド服を着こなした女性は、壁の破壊による爆風で床絵と投げ出されている女皇へと歩み寄ると……。
「はいっ! 撤収ぅ~~~っ!!」
その襟首を“ムンズ”と掴み上げて、そう声を高らかと上げた。
――ドゴォ~~~ンッ! ズガァ~~~ンッ! ゴガンッ! ガガァ~~~~~ンンッ!!
その号令? に合わせて、周囲の壁が音を立てて崩れて……いや、破壊されていく。
「ま、待つのだ、メーテル!? まだ、肝心なぁ!」
「はいはい、撤収撤収。作業が滞っているんですから!」
「おおぉおっ!? おぉおおおっ!?」
女性は、そのまま女皇を引き摺って俺達の前まで歩いてくると。
「うちの陛下が大変アホなことをいたしまして、申し訳ございませんでした」
容赦なく、自国の王を扱き下ろすのであった。
「こら! メーテルよ!? 言うに事欠いて、アホとは何事か!? 不敬だぞ! 不敬!!」
「ほう? 陛下は戦鉄錬の各業務を滞らせてまで行わせたこの茶番を、アホなことではない。と?」
聞けば、今も絶賛取り壊し中のこの壁。その茶番のためだけに突貫で造られたのだとか……。
どうも、ここは裏口というか搬入口として使われているらしく、当然その間は作業が滞っている、と……。
壁を造ることは元より、俺達が訪れるまでの待機期間を考慮すれば、だ。最低でも……半日ほどは? え? 3日?
確かに、そりゃアホだわ……。
まがりなりにも一国の王に会いに行くことになるわけだしな。『森守のルトヴェリス』……正確にはエレオノーラ辺りが前もって連絡を入れていたんだろうが。それにしても……3日……。
いまのなお食い下がる女皇に「馬鹿なのですか? 死ぬのですか?」と、自国の王に対してあるまじき罵詈雑言を淡々と吐き続ける女性の心情……推して知るべし。
しかし、一国の王までもが彼奴等の被害者となっていたとは……。
酷く申し訳ない気持ちになるのは……なぜだろうか……?
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