log in - 09 死闘
「こいつは……お前さんがやったのか?」
「ああ、そうだが」
そのゴブリンは、死屍累々たる惨状を目の当たりにした為か若干緊張した様子を見せながら、そう語りかけてきた。
此方もそんな彼の様子を窺いながらもそっと識別をかけてみる。
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オーレル
[種族]ハイゴブリン(妖精) Lv-56
[称号]
〈戦女神の加護〉〈守護者〉〈霊樹の守役〉
[満腹度]88%
VP - 100%
SP - 483/462
MP - 142/142
STR - 574
VIT - 561
MAG - 82
AGI - 886
DEX - 316
MND - 76
LUK - 56
[種族特性]
【成長促進】【神罰】【悪食・飽 Lv-58】
[スキル]
【両手斧 Lv-54】【片手槍 Lv-32】【投擲 Lv-68】【鍛冶・師 Lv-33】【堅牢 Lv-35】
【剛腕 Lv-38】【身体強化 Lv-44】【隠密 Lv-66】【再生 Lv-55】【逃走 Lv-22】
【忍耐 Lv-45】【覇気 Lv-39】【解体 Lv-62】【採掘 Lv-66】
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何て言うか、これはかなり凄いのでは無いだろうか……。それに、鑑定して見ると所持している武器も凄かった。
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【葬塵のラブリュス】
[系統]斧/両手斧
[耐久]100%
[属性]無
[斬]200
[突]50
[打]200
[魔]160
[アビリティ]
自己修復・中
即死効果・中
[アーツ]
グラハイム
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【奏雷のアトラトル】
[系統]特殊/投槍器
[耐久]100%
[属性]雷
[射程]250
[威力]140
[魔付]180
[アビリティ]
自己修復・中
属性付与・雷
麻痺付与・中
[アーツ]
雷纏咆
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【黒鉄の投槍】
[系統]投擲/片手槍
[耐久]100%
[属性]物理
[突]75
[打]55
[アビリティ]
[アーツ]
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「……てかお前さん、『転生者』か?」
「転生者を知っているのか?」
「まあな、十日前に神託があったんだ。もっとも転生者が現れること自体は遥か昔に約束されていた事なんだがな」
不意にキャラクターメイキングの時に聞いた約束の時と言う言葉が頭に浮かんだ。
しかし、なんで十日も前なんだ? という疑問は言葉にする前に。
「この十日間、四国では受け入れ準備やらで、てんやわんやの大騒ぎだったらしいぞ?」
という、どこか楽しげなオーレルの言葉で解決した。
「しかし…こいつは少しヤバイか?」
「…は?」
「おい、お前さん今すぐこの場を離れ………チィッ、遅かったか!」
突然慌てだしたと思ったら急に静かになり、一瞬の硬直の後に自分の後方を凝視しつつ油断なく斧を構える彼の視線を追って、ゆっくりと後ろを振り返った。
そこで目にしたものは……黒い霧が徐々に密度を増してゆく光景だった。
「リポップか?」
その霧は、より深く黒く染まっていき………そうして、それは現れた。
ゆっくりと、黒い霧から染み出してくる様に徐々に露わになってゆくその姿は………ゴブリン? だった。
赤みがかった黒、あるいは黒く染まった赤とでも言うのだろうか?不気味な体色をした巨大なゴブリンは真っ赤に染まった双眸をこちらに向けると……。
「GuGyaaaaaaaaa!」
と、唸りを上げた。その巨躯は先ほどまで戦っていたゴブリンの優に五倍は有るだろうか?両の手に巨大な剣を携えて、ゆっくり此方へと向かってくる。その様は、正に威風堂々と表現するのに相応しい姿だった。
「う、嘘だろ!? 糞っ!! よりにもよって復讐個体かよ!? て、お前さん一体どれだけの数を討伐したんだよっ!?」
復讐個体? と疑問に思い識別をしてみる。
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[種族]ゴブリン・アヴェンジャー(魔物)Lv-※※※
〈※※※〉〈※※※〉〈※※※〉〈※※※〉〈※※※〉
[満腹度]※※※%
VP - ※※※%
SP - ※※※
MP - ※※※
STR - ※※※
VIT - ※※※
MAG - ※※※
AGI - ※※※
DEX - ※※※
MND - ※※※
LUK - ※※※
[種族特性]
【※※※】【※※※】【※※※】
[スキル]
【※※※】【※※※】【※※※】【※※※】【※※※】
【※※※】【※※※】【※※※】【※※※】【※※※】
【※※※】【※※※】【※※※】【※※※】【※※※】
【※※※】【※※※】【※※※】【※※※】【※※※】
【※※※】【※※※】【※※※】
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…………一瞬思考が停止した。
表示がされていない部分のはしょうがないとしても、このスキルと称号の数はヤバイ!ヤバ過ぎる!
そう、焦る心を押さえつけ、悠然と此方に歩いてくるゴブリン・アヴェンジャーに向けて剣を構える。
うん! 覚悟を決めよう。此処からは本日2度目の修羅の道だ!
*
*
*
「おぅらぁぁ!」
「GuGaaaa!」
オーレルの斧がその巨躯に叩き付けられる。
「せぇいっ!」
「Gaaa!」
その隙に瞬歩で後ろに回り込みその背中に切りつける。これで、ようやく残りのVPが30%を切った。
ここまで戦えているのは、二対一である事とオーレルの持つ武器のチート性能に加えて先ほどの戦闘でのレベルアップによる能力値の上昇が洒落になっていなかったおかげだろう。
まあ、其れでも……此処からが正念場なんだろうなぁ……。
「GuGuGuu…GuGyaaaaaaa!」
突如の絶叫と共にゴブリン・アヴェンジャーの体が漆黒のオーラに包まれる。俗に言われる発狂モードというやつだろう。
「どぉりゃぁぁぁ!」
オーレルの渾身の力を込めた一撃を、剣の切っ先を地面に突き刺しクロスする形で正面から受け止めたゴブリン・アヴェンジャーは、何とそのまま頭突きを繰り出してきた。
「ぐあぁっ!?」
虚を突かれたオーレルはその頭突きをまともに受けて吹き飛ばされてしまった。
ヤバイ!途轍もなくヤバイ!今まで渡り合えていたのは二人がかりで緩急をつけて攻撃していたからだ。
「Guaaaaa!」
「くっ!」
何とかギリギリの所で攻撃を回避する、回避する……回避……する!!
躱しているにも関わらず繰り出される攻撃によって生じる風圧によりゴリゴリと削られてゆくVPに焦りが募っていく。
そんな中、突如叫び声が響いた。
「飛び退け!」
「っ!」
咄嗟に瞬歩を使い距離を取った自分は、雷を纏う漆黒の槍がゴブリン・アヴェンジャーの巨躯を貫くのを目にするのだった。