log in - 88 オデットにて……orz
本日4話投稿 - 1/4
窓に映る景色が……横へと滝のように流れていく。
まあ、アメリカの約半分ほどの大きさを持つ大陸の端から端までを、半日かけずに突っ切るほどの速度が出ているのだからさもありなん。
これが空の上であったのならば、悠然とした地上の景色を眺めることもできるのだろうが……。大地を爆走している現状では、景色を眺め見ることは叶わないのである。
というか、凄くね? この馬車……じゃなくて、鳥車?
牽引する鳥? 名をチョボコッコと言うらしい……って、おい!? これって、絶対に彼奴等が絡んでいるだろ!?
……と、まあ、こいつもこの馬鹿げた速度で走りながら、それを一切落とすことなく障害物のことごとくを回避する、意味の分からない生き物ではあるが……。
その度に上下左右に振り回されているにも拘らず、慣性やらをまるっと無視したかの様に鳥車の中はまったく揺れもせず安定したままなのだ。
聞けば、中の空間を鳥車内に固定することで、鳥車自体が揺れても中の空間には影響がないようになっているんだとか。
うん、よく分からんファンタジーテクノロジーだ。いや、寧ろ頭にSがつきそうでもある、な……。
因みにだが、チョボコッコの運用を一手に担っているのが『商運のミルト』で、鳥車の製造を行っているのが俺達の目的地でもある『鉄血のオデット』なのだそうな。
しかし、かの地で……。
「調べるべきことが、また1つ増えたな……」
どこぞの超空間航行のように流れていく景色? を眺めながら、そうひとりごちる俺。
そう、この鳥車……魔動機に他ならないのであった。
*
*
*
「おおぉ~~~~~……」
漸く辿り着いた……でもないな。実に、驚くべきスピードであった。
ともかく、俺達は無事『鉄血のオデット』の皇都へと足を踏み入れた、のだが……。
周囲を見渡せば……赤、一色。
建物の多くは煉瓦造りで、それは人々が往来する道にも敷き詰められている。
まさに、赤い街……と、言ったところである。
鍛冶の国だけあって、耐火煉瓦とかだろうか? ……って、おお?
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【超・煉瓦】
[系統]石材
[属性]土/火
[効果]
とてもとても凄い煉瓦。
超常的な熱耐性を持つ。
〈高品質〉
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いきなり飛び出すウインドウ。その、詳細を目にし、て……。
「……………は?」
いや……ちょーって……。
「あん? どうしたよ、アギト」
「いや、な……【超・煉瓦】って……」
思わず零れ出た間の抜けた声に、訝しげに問うてきたオーレルへと呆れ半分にそう答えたのだが……。
「あ~……例によって、だ」
こめかみを“グリ、グリ”と圧しながら疲れたように返されたその言葉に、俺は……全てを悟る。
ああ……例によって、か……。また、やらかしていやがった、か……。
新たな国にきて早々に訪れる……頭痛。ほんと、やりたい放題だよなぁ……。
俺の瞳が……死んでゆく。
現在に至ってもなお現地の者達の頭痛の種になっているその所業に、嘆くべきか呆れるべきか……。
その、いずれにせよ……。
「は、ははは……ははははははは・・・…」
光彩を失った瞳は遙か遠くを見つめ……。
開いた口からは、乾いた笑いしか出てこない。
「って!? おい! アギト!?」
「マ、マイフッレ~ンド!? しっかりするんだ、傷は浅いよ! 衛生兵! 衛生兵ぃいっ!!」
「そ、そこで儂に振るのか!? いや、どないせぇっちゅぅんじゃ!!」
街の往来で、暫くの間この奇行は続けられるのであった……。
「ママー、何あれー?」
「しっ! 見ちゃいけません!!」
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