log in - 84 どうしたものか……。
あけましておめでとうございます。
新型コロナの件もあって、あまりめでたくは感じられない正月と相成りましたが……今年はいいことあるかなぁ……。
何はともあれ。
今年も一年、よろしくお願いいたします。
追記
本日4話投稿 - 1/4
「あら? 真上さん、もう検査の方は終ったのですか?」
馴染のある声に面を上げてみれば、最初に視界に飛び込んできたのは……無機質な眼。
それは、車椅子に深く腰を沈める……痩せ細った少女。
まるで全てを諦めきったかの様に、少女は光彩を欠いた瞳を虚空へと向けていた。
「真上さん?」
「あ? ああ、柊さん。ええ、先程終ったところです」
時が止まったかの様な錯覚を覚えたのも一瞬。再び聞き覚えのある声……柊さんの呼びかけにもう一段顔を上げて煮れば、どこか心配そうにこちらを窺う彼女の顔が目に映り、俺は慌てて取り繕う。
「そ、それで……え~と……」
未だまったく反応を示さない少女を前に、どうにも湧いてくる居心地の悪さ。
それを察したのだろう。
「この娘は彼此島 未来さん。 そうねぇ……真上さんなら構わないかしら? この娘も貴方と同じなのよ。もっとも、症状は見ての通りだけれど……」
同じ、という言葉のところで僅かに“ピクリ”と反応する少女。
というか、さ? それって言っていいの!?
患者のプライバシー、というか……守秘義務は何処?
「初めまして。自分は真上 明人。よろしくね、彼此島さん」
「…………未来、で、いいです……」
「あら?」
“ポツリ”と呟くように応える彼女に、柊さんは見た目以上に驚いているご様子。
まあ、この娘……見たとおり、普段は反応薄そうだものなぁ……。
――ジィ~~~~~~~~~~……――
うん……なん、だ……。
「まあ、自分も1人で外出しようものなら、野外で行き倒れる程度には虚弱であるな」
「…………そう」
むう……会話が続かん。
まあ、それでも彼女の身に纏う重苦しい空気が、少しばかり軽くなったように感じられるのは幸いなのだろうな……。
*
*
*
“チャップン”
「あ゛ぁ~~~~~……」
ゆっくりと湯船へと沈んでゆく体。
その心地良い温もりに、思わず声が零れ出てしまうのも仕方あるまい?
ほぼ1日がかりの検査。介護があったとはいえ、軽減しきれずに溜まった疲れが暖かな湯に溶けていくかの様だ。
そうして身も心もリフレッシュすると……不意に脳裏を過ぎる。
「むう……どうしたものか……」
思い出すのは、昼間出会った少女……彼此島 未来。
まるで、この世の全てから興味を失っているようにも思えるあの瞳。
痩せ歩揃えたあの体を見るに、俺のそれよりも症状が重いのは一目瞭然だ。
放っておくのは、心苦しい。
とはいえ、俺に出来ることがないのもまた事実。己のことすら、満足ではないのだから……。
「検査に行った時に、気にかけるくらいだよなぁ……」
そう、その実、見舞いに行くことすら自分自身の力では難しいのだ。
まったく、ままならん。
……さて、いつまでも焦れていたところでしょうもない……切り替えるとしよう。
「むう……どうしたものか……」
先程と、まったく同じ言葉を呟く俺。
思い出すのは、先日『戦軍のアンバッス』へと赴いたおりに目にした……不遇種族と呼ばれる『転生者』の、他の『転生者』達からの扱いだ。
掲示板を見ていて知ってはいたのだが……あまりに、酷い。
第2陣参入までに落ち着くことは……ないだろうな。
『転生者』同士の不和。その、ある種の緊張感もあってか、現地の住民との溝も生まれ始めている。
戦争の余波も、その辺りに多大な影響を与えているようだ。
これから先、寧ろより一層酷くなることが懸念される。
本来なら、今の時期辺りに参入予定の第2陣であったが、巷を賑わす昏睡事件と、先の大狂乱による魔物の襲撃でのトラウマ量産もあって正式に延期が決定し、あと一ヶ月ばかりの余裕はできた。
とはいえ、だ。俺にできることなんて……以外にあったりする。というか、現状……俺にしかできんだろうなぁ……。
まあ、住民の『転生者』に対する不信感は、一朝一夕に拭えるものでもないだろうから直接的には無理だ……が。
不遇種族。これに関して、実は……。
「解決する手立てが……あるんだよなぁ、俺……」
お読みいただきありがとうございます。
できましたら、ブックマーク、評価等していただけるとありがたいです。




