log in - 81 奴は……G?
「それで国王……先王は、まだ?」
「はい、目下捜索中です」
俺の問いに答えるフェルメリアの表情が僅かに翳る。
「先んじて先王……先々王の身柄を確保し、封印を施した所までは順調だったんだけどねぇ……。まさか、あっさりと国を捨ててドロンとは、ね……」
若干呆れたような声色とは裏腹に、シフォンのその目は遠くを睨めつけるように細められる。
どうもこの国の王は代々『同位体』と呼ばれるもので、常に1つの魂によって存在し続けていたらしい。
平たく言えば、先王と先々王は肉体こそ別れてはいるも同一の人物だったということだ。
それで先々王を封印することでその繋がりを利用し、先王の力を一部弱体化させることに成功したようなのだが、王の間にシフォン達が辿り着いた時には既に蛻の殻だったのだとか。
「まったく、その素早さといいしぶとさといい、まるで黒い悪魔のようだわ!!」
心底忌々しげにその整った顔を歪ませるシフォン。はっきり言って……こわひ!
終いには“ゴゴゴゴゴゴゴゴ……”と背後に効果音が浮かび上がっているかの様なジョ○ョ的錯覚を覚えさせるほどの、鬼気迫る圧力を発し出す始末。
まあ、台所の侵略者は、多くの女性……いや、男もだが、仇だ! とでも言うかの様に、蛇蝎の如く嫌われているからなぁ……。
とはいえ、だ。それにしてもと、俺はその悪堕ちモードっぷりに違和感が拭えなかった。
もっとも、敢えて聞くような真似はしないけどな!
「そ、それでですね! 王としては言葉だけではなく、態度で……具体的にははっきりと形で示す褒賞を与えなければならないのですよ!! 他の方々には戦い方に合った武具や装飾品の他に、必要であるのでしたら拠点となる物件の手配を優遇的に行うという形になったのですが……」
G・即・斬! とでもいうような不穏な気配を漂わせながら、何やら“ブツ、ブツ”と呟きだしたシフォンに危険な空気を感じ取ったのだろう、顔を引き攣らせながらそう早口で切り出すフェルメリア。
その憐れ味すら感じさせる姿に、俺の目から“ホロリ”と雫が零れそうになる。……女王なのに……。
まあ、そこは触れないでやるとして、最後が尻切れなのは……分かるわな。
所謂ところの最初の国である『戦軍のアンバッス』と、隣接しているとはいえ、コレ、最後に立ち寄る国だろ? 的な『森守のルトヴェリス』では、いくら王から下賜される武具装飾とはいえ……お察しだろ?
『森守のルトヴェリス』では、オリハルコン製品程度は当たり前に取り扱われているからなぁ……。
この国だと、ミスリル製品ですら王族でもなければ入手できないほどに希少なのだ。
そして、拠点に関しては……言わずもがな……。
そりゃあ、困るわなぁ……。
「う~む、報酬……報酬、なぁ……」
武具装飾等は先に述べた通りだし……。
金銭? ただいまの総資産……たくさん。
いや、ね? ゼロが15個を超えたあたりから見ないように、な? 分かるだろ?
まあ、逆に考えれば今更誤差のようなものだし、気にせず金銭で貰ってもいいんだが……はたして、それで褒美になるのか? て、ところだよなぁ……。
「「「むぅ~~~~~んぅ」」」
いつの間にか帰ってきていたシフォンも加えてこれ3人、頭を捻って呻りを上げる。
国家君主の面子、か……面倒だな。
普通ならば相手に必要の無いものであっても、一方的に押しつけても問題ないんだろうが。というか、そういうもんだしな、王からの下賜なんて……。
とはいえ、先王がそういった独裁的な人物だっただけに、今回に関しては相手の要望を無視するとなると体裁が悪いしな……。
本当……王なんてものにはなるべきじゃないんだよな、やっぱり……?
ん? 何か思考がズレた、か……?
「思いつかんなぁ……」
「困りました……」
「いっそ、土地でも貰ったら?」
何ちゅう無茶、を……ん? いや、待てよ? あれなら……。
「1ついいか?」
「はい、何でしょう」
「『マーラの森』の奥にある遺跡。その管理権を貰えないか?」
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