log in - 76 傷つける魔法の杖
……ん? 何か今……魂の叫びのようなものが聞こえたような……?
き、きっと気の所為だな! うん、そうに違いない!!
……こほん! 気を取り直して……。
森での面通しから数日。
いよいよXデーと相成った。
他の『転生者』の間では、第2回イベントだと大変に盛り上がっているらしい。
っと、どうやらその『転生者』達がお目見えのようだ。
あれから何度か交わしたフレンド通信でのやり取りで、侵入ルートと推定された場所で待機していたのだが……ドンピシャだったようだ。
因みに、先のイベントうんぬんというのもその時に聞いたことである。
「それにしても……結構いるな?」
“ワラ、ワラ”と纏りなくこちらへと、無警戒に進んでくる『転生者』達を眺めながらそうひとりごつ。
こちらに攻め込んでくるのが本命……最初の進化に至った精鋭(笑)とのことだったが、2000はいるか?
たしか『VRO』の初回出荷数が10万だったか?
内1000はβテスター用で、残りの99000に対する予約抽選応募数が、実に1000万以上。
え? 店舗を梯子して予約を希望した人もいるだろうって? いや、俺の場合は伝手で入手したわけだから直接は知らないんだが、ものがものなだけという理由で初回出荷分は大元……アーク社だったか? そこへの直接予約だけだったんだそうな。
第2次出荷分からは大手家電量販店等に卸す予定らしいのだが……。巷では昏睡事件が未だ収まりを見せてはいないし……どうなることか……。
閑話休題。
湖側と中央に3万ほどが進攻してきているらしいから、それと比べれば微々たるものだが……。
10万人中、6万と2000。イベントだ! と盛り上がっているらしいが……これは、多いのか? それとも、少ないのか……?
まあ、時間的な都合もあるだろうし、生産メインの者達なんかは参加していないのかのしれないから……こんなもんか?
その、進軍と呼ぶにはあまりにもお粗末な揃わない足並みが……揃って停止する。
どうやらあちらさんも、こちらを確認できたようだ。
「ちょっと……何、あれ?」 「もしかして……ゴブリン?」 「って、プレイヤー!?」 「嘘ぉおっ!?」 「マジかよ!?」 「頭おかしいんじゃね?」 「いや、Mだろ?」 『それだっ!!』
言いたい放題だな、お前等……。泣かすぞ、コラッ! 物理的に!!
ん? はなから哭かすつもりだろうって? うむ! だからこそ……憂いがなくなったということなのだよ!!
俺は、なおも喧騒止まらない『転生者』達へと手にする弓を構え、矢を番えた弦をゆっくりと引いていく。
「は?」 「おいおいおいおい!?」 「まさか……1人でやりあおうっていうの?」 「正気か?」 「何? 馬鹿なの? 死ぬの?」
それを目にした者達の、嘲りに満ちた囀りが……。
――キィーーーーーーーーーーン……――
鏃の切っ先へと集まる紅。
――パリッ、バリリリリリリリィ~~~~~~~~~~ッ――
周囲を駆け巡る稲妻。
「爆ぜ駆け抜けよ、灼光の雷星っ!!」
――ズギャウゥウウウウウゥゥゥゥゥーーーーーーーーーーンンッ――
解き放たれた灼熱の雷光によって……。
『ぎゃああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ~~~~~~~~~~っ!?』
醜い悲鳴となって宙に轟いた。
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【炎星の閃雷】
[系統]弓/閃弓
[耐久]-
[属性]炎/雷/光
[射程]12000
[威力]5500
[魔付]9850
[アビリティ]
神気
覚醒
魔砲
属性付与・炎
属性付与・雷
属性付与・光
炎燃効果・極
雷迅効果・極
[アーツ]
爆ぜ駆け抜けよ、灼光の雷星
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能力的に以前使った【氷華の震雷】と対を為す弓。
物語とかだと剣として扱われることが多く、神話上だと『傷つける魔法の杖』とも呼ばれているその名。
他にも様々な解釈がされているようだが……まあ、レーヴァテインに限らず神話に出てくる武具には、割とそういうのが多かったりする。
これに関しては、製作の過程で表示されたフレーバーテキスト神剣レーヴァテインにまつわる話でおおよその理由が知れた。
曰く、真に神剣とは剣の姿をした神そのものである。これは、神器と呼ばれる存在全般に言えることだとか……。
で、レーヴァテインとは神の一族の名で、その名を冠する神の中には杖の姿をしている神や、弓や槍などの姿をしている神もいるそうなのだ。
もっとも、当然のことながらこの弓は神弓などではなく、その名を与えられた弓の1つな訳だがね。
ん? 当然だろうって? いや、それがな? 例え人の手で創られた武具であっても、神に気に入られるほどに出来のいいものなんかは、そのアバターとしての力を一部宿した眷属器になるものもあるんだと。
まあ、そこまで強力ではないにしても、解き放たれた紅蓮の閃光は、容易く『転生者』の群れの中央部を一直線に切り裂き……全体のおおよそ1/3強を光の粒子へと変えたのだった。
なお、【炎星の閃雷】に対して【氷華の震雷】の固有[アーツ]疾く凍てつかせ、白光の雷華が弱いのでは? とお思いになるかもしれないが、本来はこれ、華の字が示す通り花開くように拡散した無数の矢弾が、超高速で飛来して敵を殲滅するという凶悪なものなのだ。
流石にあそこでの全力解放はオーバーキルすぎるんで、ね……。
威力重視で敵を撃滅する 爆ぜ駆け抜けよ、灼光の雷星。速度と物量で敵を殲滅する疾く凍てつかせ、白光の雷華。
真逆の性質を持つが故に対を為すと呼べる双弓である。
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