log in - 75 伝説? の戦士……と?
“ザザザザザザァ~~~~~~~~~~……”
風が駆け抜け、舞い上がった砂塵が晴れたその場所に佇む……漢の姿。
「て、敵襲ぅうううううっ!!」
いち早く我に返った青年が叫ぶ。
「くっ!? スラッシュムーブ!」 「ひっ!? ……ファ、ファイアボール!」 「死に晒せ! ピアーズショットぉおっ!!」 「え、遠距離攻撃、遠距離攻撃ぃ……? ラ、槍衝飛撃!?」
青年の声を引き金に、入り乱れ飛ぶ[アーツ]。
そこには混乱もあったのだろう。だが、何より漢から発せられる強烈な威圧感が、彼等彼女等の本能を脅かしたのだ。
その結果、碌な連帯もなしでただ闇雲に[アーツ]を放つなどという愚行を犯させたのである。
故に……。
「ふむ? まるでチンピラのようだな。無駄に[アーツ]を放つことしかできないとは……。成程、確かに気を抜きさえしなければ……どうなるという相手ではないか……?」
まったくの無傷で佇む漢の姿に……。
「う……嘘、だろ……?」
ただ唖然とそ絞り出すように呟くのが精一杯で、男の言葉を否定する言葉さえも出てはこないのであった。
なぜなら、この場に集う者達は未だLVが低くで、現状で使える[アーツ]も少ないのだ。
そのなけなしの強攻撃が、まったくダメージを与えられていないのだ。
それは唖然とするだろう。
「な、何なんだよ! あの……ハッパ? みたいな奴!?」
「ハッパ……? あ! もしかして……ナ○パ? 少し細身だけど……確かに似てなくもないわね……」
「ナ○パ……? ああ!? あの、野菜の星の!!」
「言われてみれば……似ているな!」
そして、こんな風に現実逃避してしまうことも、致し方のないことであろう……。
とはいえ、そんな『転生者』達の心情など、さしものこの漢も慮ることはなかった。
それも当然の事。
なぜならば、彼等彼女等は……戦争を仕掛けてきているのだから……。
「『転生者』には、この世界における死の概念がないと聞く。ならば……遠慮はいるまい! 全力でいかせてもらおう!! おぉおおおおおおおおおお……」
――ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ……――
漢の雄叫びと共に、大地が……大気が震える。
その巨体から迸る圧力が可視化し、明滅するように瞬く闘気に眩い光が混じり始める。
そして……。
「金色王身っ!!」
――ドゥオンッ――
叫びと共に、金色が舞った。
漢の巨体を包み込むように“シュオンッ、シュオンッ”と音を立てて噴き上がる黄金色の闘気。その姿に、知るものは皆一様に思ったことだろう。
故に、思わず口走ってしまった彼を、愚かだと断ずることはできまい。
「な、ナ○パが……ス○パー○イヤ人に、なっぱぁあああああぁぁぁぁぁ~~~~~!?」
そんな、駄洒落の如き叫びを残して殴り飛ばされた『転生者』が、地面と平行して宙を駆ける。そして、そのまま地に落ちることなく光の粒子となって消えていった。
金色の残滓を残しながら流れるように迫る男に、2人、3人と、殴り、蹴り飛ばされていく『転生者』達。
〝一撃一殺〟
周囲に舞う光の粒子が、金色の迸りに散らされていく。
それは、まさに……蹂躪。
力も、速度も、恐らく頑丈さも……いや、全てにおいて差があり過ぎるのだ。
抗う余地すらも与えられぬがまま、『転生者』達は一方的に殴殺されていく。
「何だよ! 何なんだよ、あれっ!?」 「あ、あんなの、どうやって斃せっていうのよ!?」 「こんなん無理ゲ―じゃねぇか!!」
彼等彼女等にできることは、最早この理不尽に対して口汚く不平を垂れることしかできないのであった。
そんな『転生者』達の、戦意の喪失を感じ取ったのであろうか? 漢の巨体が沈み……次の瞬間には、天高く跳び上がったその身に膨大な気を練り始めたのだ。
手の甲と掌を重ね、弓引くように捻られる巨躯。その手に眩い光が集まり、全身から紫電が迸る。
「あ、あれは! まさか……か○は○破!?」
「い、いや……違う! あの構えは!? ギャ、ギ○リ○ク砲だっ!!」
それは、誰が見ても明らかに〝とどめ〟と感じられる……大技。
「絶……砲っ!!」
――ドゥギュウゥーーーーーーーーーーンンッ――
唸りを上げる閃光が……。
――ズッグォオォオオオオオオォォォォォ~~~~~~~~~~ンンッ――
『転生者』諸共に大地を貫き……打ち砕いた。
*
*
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《『禁忌の森』境界線・北部》
「ふふふふふ、漸くお出ましのようですね?」
水辺に沿って進軍してくる『転生者』達を眺めながら、彼女はそうひとりごつ。
「アギト様に任されましたこの場です。なんぴとたりとも……生かしては帰しませんよ!」
“ピョコーンッ”と荒ぶるウサミミが、まるで角のように天を衝く。
そして、僅かに身を屈めたそのしなやかな肢体が、次の瞬間……宙を舞う。
「さあ! 参りますよっ!!」
“バイ~ン、バイイィ~ン”と弾みで弾むその豊満な乳房をも宙に舞い踊らせながら、気炎を吐く兎が天を駆ける。
そうして、彼等彼女等の前に……荒ぶる鬼神が、舞い降りる。
そう……舞い降りるのであった。
*
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「って……あら? わ、私の活躍は!? ちょっ、待ってくださいませ! アギト様に、私の活躍をぉおおおおおぉぉぉぉぉ~~~~~っ!!」
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そうして、荒ぶる鬼神の……蹂躪が、始まる。
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