log in - 66 制裁と邂逅と……。
2章開幕。
73話まで、軽い登場人物の紹介を含めたプロローグとして、1日2話投稿します。
“ザザザザザザァ~~~~~……”
そよぐ風が木々をざわめかせる。
【神眼】を向ける先には、然して警戒をする様子も見せることなく、時折小声で会話をしながら案内人の後に続いて、鬱蒼と木々の生い茂った森の中を進む『転生者』の姿。
正直……呆れてものも言えん。
もっとも……。
俺は手にした弓を握り込み、番える矢を引き絞る。
問答無用。容赦もしない。
一応『クエスト』扱いにもなっているしな。
狙いを定め、この弓……。
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【氷華の震雷】
[系統]弓/閃弓
[耐久]-
[属性]氷/雷/光
[射程]8000
[威力]6800
[魔付]7250
[アビリティ]
神気
覚醒
魔砲
属性付与・氷
属性付与・雷
属性付与・光
凍結効果・極
雷迅効果・極
[アーツ]
疾く凍てつかせ、白光の雷華
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の、固有[アーツ]を解き放つ。
――ドゥギューーーンッ――
響き渡る轟音を置き去りにして走る一条の閃光。
それは、まさに一撃。
一瞬で凍りついた『転生者』の体は、そのまま砕け散って光を帯びた塵と化す。
お~~、慌てふためいているなぁ。
俺は足場にしていた大樹の枝から飛び降りると瞬歩、瞬動を駆使して一気に距離を詰め……そして、鷹揚にに彼等の前へと歩み出る。
「なっ!? ゴブリン……の、プレイヤーだとっ!?」
「こんな所までご苦労なことだ……傀儡の先兵よ。だが、此処から先は進ません! このまま揃って……死に戻るがいいっ!!」
狼狽える『転生者』達にそう告げると、俺は〝一歩〟踏み出すと同時に剣を振る。
――ザンッ――
「あ、え?」
手にするは漆黒の大太刀【神滅の絶刀・皇牙】。
称号〈類無き存在〉の称号スキル【メビウス】。その[アビリティ]の一つであるマルチウエポンの効果によって、弓から瞬時に切り替わった刃に盾ごと両断された『転生者』が、訳が分からないといった表情を浮かべたまま光の粒子となって消えていく。
「ちっ! この、腐れPKがっ!!」
斧を振りかざして突っ込んでくる『転生者』。その動きはあまりにも単調で……。
――ザンッ――
身を躱し、すれ違いざまの一撃で呆気なく光となって消えていった。
しかし、こいつらからしてみれば、俺はPKってことになるのか?
そんなことを頭の片隅に浮かべつつ……。
〝一歩〟
薙ぎ払う刃が……。
“ギャリリリリィ~~~~~ンッ”
お?
その一撃を衝撃こそ反らしきれずに吹き飛びはしたものの、飛び退きながらしっかりと受け止めた1人の『転生者』。
EXスキル【縮地:天動】による、距離と方角を無視した踏み込みからの攻撃を防いだ『転生者』に、いい反応だ……と、思うよりもまず、その顔に浮かんだ必要以上の驚愕の表情が、なぜだか……無性に気になった。
だが、それも今は戦闘中。瞬時に頭を切り替え、左右から飛びかかってくる『転生者』と対峙する。
僅かに突出した右側からの攻撃を左へと受け流し、険を振り下ろさんとしたまま一瞬硬直した左側の『転生者』諸共胴を刈る。
そして〝一歩〟踏み込み、背後から背に狙いをつけていた弓使いを真正面から一刀両断、唐竹割りに叩き切る。
そのタイミングで突き出されてきた槍……その穂先へと〝一歩〟踏み出す。
まさか真っ向から踏み込んでくるとは思わなかったのであろう、驚愕した表情を浮かべたまま槍を突き出す『転生者」の背中を斬り上げる。
残るは3人……いや、4人か。
まずは、この乱戦の中で狙いをつけることができずに右往左往していた魔術師風の『転生者』へと〝一歩〟……その腹へと剣を突き立てる。
まあ、【魔術】の[アーツ]は溜めがそこそこ長いからな、瞬時に発動できるようにもならなければ乱戦ではフレンドリーファイアが怖くて、余程うまく立ち回らなければ放てんだろう。
素通りされた? 2人の『転生者』が慌ててこちらへと振り返る。その瞬間〝一閃〟……巨大な黒刀は、その体を纏めて上下に両断する。
さて、残るは……と、振り向く先。
「い、つぅ~~~……まさか、秒殺とは、ね……」
ただ1人、俺の攻撃に耐えた『転生者』が木を支えにしながら立ち上がるところだった。
「それに……はぁ~~~……。やっぱりこの『クエスト』ってば、裏がありそうね……」
俺の頭上を見てそう呟く女性。
メリハリの利いた肢体を少し辛そうに木へと預け、腰まで伸びる銀色の髪を風になびかせながら、こちらへと向けられる心持きつめ顔だち。
ふと、最近よく感じる既視感のようなものを覚える。
そして、それと共に何故だか不思議と感じる……懐かしさ?
だが、その正体が掴める前に……。
「でも……ある意味よかったのかしら?」
女性の周囲に、無数の火球が漂う。
「せっかくだから……全力でいかせてもらうね!」
それは、踊るような軌跡を描きながら、オレへと向かって一斉に襲いかかってくるのであった。
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