log in - 61 ???から……_①
「ニ~ンジン♪ ニ~ンジン♪ タマ~ネギ♪ タマ~ネギ♪ ジャガ~イモ♪ ジャガ~イモ♪ ふんふふ~ん♪」
1人で管理するには些か大き過ぎる畑の一角。野菜の収穫を終えた私は、畑の向こうへと目を向けます。
そこに広がるは、広大な放牧地。緑の海原を悠然と闊歩する……牛たち。その内の一頭が、私の視線を受けて“ビクッ”と体を硬直させるのでした。
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「ふうぅ、兵どもが夢の跡……と言ったところでしょうか……?」
道すがら眺める街並み。
生き物の気配をまったく感じさせずに、日に日にくたびれていくその有様に、思わずそんな言葉が零れ出てしまいます。
そう、それは今から2年ほど前。突如世界は……大災害に見舞われてしまったのです。
まあ、救済もあったのですけどね。
全体から見ればごく一部でしょうけれど、肉体からまるっと霊子変換してそれをデータとして保管するだなんて……随分とダイナミックな手際でしたね……。
かくいう私もそれに半分便乗して、自分が保護する領域を向こうに繋いで今に至っているわけですが……。
私がそのまま向こうに取り込まれずに、わざわざそんなまどろっこしいことをしたのは、他でもない……母がいたからである。
どういう基準で選別されていたのかは分かりませんが、残念なことに母は選ばれなかったようなのですよ。
それも今現在は、領域を向こうに繋ぐことで首尾よく同期することができたのですけどね……。
それにしても……我がことながら、呆れた能力ですよね?
要は新OSPCに古いHDDを増設して、その中に保存されている旧OSのアプリケーションを普通に使えるようにしているわけですから。
もう少し正確に言えば、旧OSPCからネットワークを通じて不正アクセスしている新OSPCで、その旧OSPC内のアプリケーションを起動させているようなもの、でしょうか……?
いわば、コンピュータウィルスならぬワールドウィルス? という感じ……。
「それにしても、これって……アレ、よね?」
私は端末に映るとあるCMを前に独り言ちる。
それは、ある少女の記憶に垣間見た光景に、非常によく似た映像。
……いい機会では、ありますよね……?
「あら? おかえりなさい、姫乃さん」
「ただいま帰りました、お母さま。って、突然ですが……お母さま、ゲームなさいません?」
私の突然の切り出しに、珍しく“ポカン”と呆けるお母さま。
御年89ともなる今に至るまで、未だ過去に囚われている感があるのです。
まあ、その責任の一端は、私にもあるわけですし……この機会に、その軌跡といいますか結果? あの娘の……そして、彼女の残したものを知るのもいいかもしれないと愚考したわけです。
何より、タイトルから鑑みて……そういうことなのでしょうし、ね……。
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“シン”と静まり返る周囲。
荘厳な雰囲気の漂う神殿……その直中で、私は目の前に佇む巫女? と対峙する。
いえ、別に戦おうとかいうわけではないのですけど、ね……。
「彷徨える魂よ、転生の神殿へようこそ」
柔和な笑みを浮かべてそう言葉を綴る女性。
そんな彼女に従って、先ずはキャラメイクを済ませてしまうことにしましょう。
と、私は淡々と項目をクリアしていき……。
「それでは約束の時まで、しばしの休息を。あなたの来世に幸多からん事を」
その言葉と共にフェードアウトしていく景色。
「えぇ~と、最後にお聞きしたいのですけど……アギト、及び四葉 エリザベート 瑛梨香という間前に聞き覚えはありませんか?」
その姿が消える直前に、そう告げた私の問いに……。
「っ!?」
女性の顔に浮かんだのは驚愕、でした。
“ザザザザァーーーーー……”
……と、過去を振り返っていた私の前に、広大な高原が広がっていく。
うん、あの反応で確信できましたね。ここにあの娘の……あの娘達の奇跡が遺されているのだと……。
「ふぅ……取り敢えずはお母さまが来るのを待つとして……」
その後は、お母さまをフォローしつつ……伝承でも調べてみましょうか?
彼女の記憶では、かな~り面白いことをあれこれしていたようですし、ね……。きっと、少しは遺っているでしょう。
……と、少しどころか、お腹が……もとい、頭の痛くなるようなあれやこれやがこれほどまで大量に遺されていようとは……orz
この時の私には、思いもしていなかったのでした……。
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“ピコーン”
《在るべき理の適応により差異が補完されました》
《称号〈宿孕の寵姫〉の全ての能力が適正化されました》




