log in - 36 そうだ生産をしよう……現実逃避ともいう……。
はぁ~、気を取り直すとしよう……。
それにしても、だ。あの茸ってばかなりの危険物だったようだな。【催淫無効】は分かるとして【即死無効】って……。
確かに悶え死ぬとか聞いたけどさ……あれか? 致死性の毒? を無効化したからか……?
あと気になるのといったら……。
〈それをするなんてとんでもない by神一同〉
……うん! 次だ、次っ!!
【大気の理】か……。風属性系統全般に補正・極。その上、風属性系統のよるダメージ及びデバフ等を、吸収及び無効って……。その他、風に関する様々な恩恵。おまけにAGI2倍化……。
[アーツ]昇華の理は、習得済みの風属性系統の魔術系アーツを[EXアーツ]の<魔法>にする事が出来るようだ。現在ストック回数がx1になっているが、恐らくレベルが上がれば増えていくのだろう。
で、【城塞の外装】……。MNDプラス補正やダメージ軽減の極、VP自然回復はいい……たださ? VIT2倍化……これはないだろうよ……。
[アーツ]堅牢なる障壁は、その名の通り強力な障壁を展開するというものだ。まあ、展開中は殆どの行動が制限されるみたいだが……。これって、ぶっちゃけアス○ロン! 多少は動ける、ア○トロン!!
更に、【魔動蒐集】……。 魔力制御系統補正・極、MPストック、消費MP半減、MP自然回復ときて……MP2倍化……orz
[アーツ]オーバーリジュネレーション・マジックとオーバードライブ・マジック。
前者はいうなれば超速MP再生で、最大MP値の半分を消費して発動。一時的にはMPが減るも、総合的には発動時間内における回復量の方が圧倒的に勝る。
後者は【魔術】等を使う時、通常必要となるMP以上を消費することで、その効果を跳ね上げることが出来る。
……つうか、さ? 補正によるステータス強化値は表示されないのによ? 倍化の強化値は表示されるって……どゆことよ!!.
……ふぅ~、もういいや……次に逝こう。そう、この[EXアーツ]ってやつだよな。
あくまで[スキル]の枠組みの中であるEXスキルとは異なり、完全に別枠に分けられているこのアーツ。
そもそも[アーツ]とはスキルレベルが上がる過程で、そのスキル毎に習得してゆくもののはずだ……。
「同じEXでもスキルは特別なとか並外れたという意味で、アーツの方は番外とかって意味合いなのか?」
おそらくだがそういうことなのだろう……LVとかあるしね……。
しかし……魔法? それに下級とかって何ぞや? ……て、考えても分かるわけがないか……。
それにしても[EXアーツ]か……? まさか[ユニークアーツ]とかって……ないよな?
むう? あとは……これか? 〈理の共有者〉って……。
効果は従魔や従者? との一部スキルの共有と……【比翼の首飾り】と同じような効果……。うん! 完全に上位互換だな!!
現在はヴァイオレットのみ有効……? どうやら同じ理とは銘打っているが、別に【大気の理】を共有したがために得た称号というわけでもないようだ。
[アーツ]はスキルインポートとスキルエクスポート。
有効化されている相手から、或いは相手にスキルをコピーする。まあ、対象外になるものもあるようだし、ランク? やものによってはスキルそのものが別のものに変わることもあるようだ。
確かにドラゴンブレスみたいなのがスキルとしてあったとして、普通はそのまま使うのって無理だしな……ドラゴニュートはブレスはけるみたいだけど……。で、共にストック回数がx1と……。
う~む? これって、何らかの条件を満たせばスカサハも有効化が出来るということだろうか……? 何にせよ、その時になれば分かることか? と、俺はウィンドウを閉じるのであった。
「それにしても、だ……本当に神々とやらは関与していないのか?」
“ピコーン”
目の前に、聞き慣れ過ぎた音と共に勝手に開く、今さっき閉じたばかりのウィンドウ。
そして点滅する……〈それをするなんてとんでもない by神一同〉……。
「あ、うん……すまない……」
何なんだかなぁ、この称号……。
効果は、それは偶然……きっと! とかなってるし、詳細を見れば《※※※さまがみてる》とか記載されているし……。
何にしても……スキル多すぎ……? しかも、現状だと強化系以外は、殆どあってもなくてもあまり変わらない状態だし……。
そうなのだ。大概の魔物……実際には格上というか、サービス開始2日目の現在だとレイドを組んでも倒せない様な相手なのだが、それでもステータスゴリ押しで楽に倒せてしまえる状態なので、殆どスキルを使う必要がないし……。
かといって、ブラストボアやデスペラールクラブなんかのボス級? になると、そもそもの格が違い過ぎてスキルの効果とか殆ど効かないし……。
結論! 場所と相手が悪すぎる!!
ここは……早くもこいつの出番なのだろうか……?
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
【☆天覇 Lv-1】
[アビリティ]
霊溜封身
[アーツ]
霊纏解放
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
EX拡大とかいう謎の効果を持つ称号〈※天元突破〉の称号スキル。その[アビリティ]霊溜封身は、ステータスにリミッターをかけることでその分の力を蓄える事が出来る……らしい?
それを[アーツ]霊纏解放で解き放つことで、一定時間ステータスを跳ね上げるのだとか……。その効果はリミッターの強さによって変わり、効果時間はその期間によって変わるとのことだ。
取り敢えず……1/10に封印しておくとするか……?
まあ、それでも同レベル帯の魔物はスキルを使うまでもないし。同ステータス帯の魔物はかなり格上なもんで、スキルの効果が薄いんだけどねぇ……。
はぁ~、何で俺……こんなことに頭を悩ませているんだ? まだ……2日目だというのに……。
*
*
*
「……ここ…か?」
右を向く。果てしなく続く……ようにも見える、白い木石の壁。
左を向く。……以下同文……。
「って!? デカいなっ!!」
ヴァイオレットの世話をスカサハに任せて、テテルから手渡された地図を頼りに町の外縁部へと辿り着いた訳なのだが。その俺の前へと立ちはだかった、広大な敷地を囲う白木壁……と門。
いや、門もね? 結構な趣があるんだよ? でもねぇ~……この延々と続く高壁を見ると、ねぇ……。
テテルは工房兼自宅と言っていたけど……工場の間違いじぁね?
そして、そのあまりにも馬鹿でかい敷地面積に渇いた笑いを浮かべる俺の目に、次に映ったものといえば……。
「……インターホン?」
それは、インターホン……。何処からどう見ても、インターホン……。リアルに見慣れたインターホン以外の何ものでもない、インターホン……って、おいっ!!
ファンタジー感をぶち壊す、勝手知ったるそのボタン。心の中でツッコミを入れながらも、俺はそこへと向けて恐る恐る指を伸ばすと……ゆっくりと押し込むのであった。
“ピンポーン”
……orz
あまりにもベタすぎるその音に、思わずその場へと崩れ落ちる。いや! ダッシュで逃げなかったことを褒めていただきたい!!
「はい、どなたでしょうか?」
「あ、アギトだが……」
「あっ!? はい、今開けます!」
インターホン越しに聞こえてきた声に気お取り直して応えると、そんな嬉しそうな声色と共に“ウィーーン”と軽い機械音を上げながら重厚な扉が開かれてゆく……。いや、もう……何もツッコむまい……。
開け放たれてゆく扉。次第に露わになってゆく、大……平原? そう、そこは……見渡す限りの平原だった……。いや、まあ……目の前に道こそあるんだけどね?
そんな申し訳なさげに伸びる道なりを暫く歩いていると、地平の彼方に“ポツリ、ポツリ”と浮かび上がってくる幾つかの建物と……。
「ふ、船?」
それは、深緑の海原に浮かぶかの如く、穏やかなる風にその船体を委ねているのであった。
*
*
*
「え? いやですねぇ、あれは別に陸上船でも飛空船でもない、普通に只の船ですよ。 趣味だって言ったじゃないですか?」
……趣味?
「まあ、念願の造船所が完成して、少しテンションが上がってしまった感はありますけれど……」
…………趣味?
いやいやいやいや、まてまてまてまて、って、そうじゃないだろう?
そもそも、こんな陸地のど真ん中であんな馬鹿でかい船造って、どうやって水辺に運ぶんだよ!? まあ、それをいったら、どうやって造船所から大平原のど真ん中まで運んだのかってのも気になるけどさ!!
「え? だから趣味なんじゃないですか!」
………………orz
「ああっ! もちろん手なんて抜いていませんよ!? 水辺に運ぶ事が出来ればきちんと浮きますし、しっかり動きますよ!! それと、ここでしたら専用のキャリアーを造ったので移動が可能です!」
おおおぉぉうぅ……何と業の深い……。
そういえば、今は亡き父も妙に音への拘りがあって、アンプやらスピーカーやらのオーディオ機器をひっきりなしに買い換えていたっけなぁ……それも、数十万とする高額のやつを……。しかも、アンプはコントロールとパワーを個別で……。
オーディオ関係は拘ると金がいくらあっても足りないのだ……とは、後に聞いた話なのだが、当時はよく分からんかった。
まあ、父が高給取りだったことが救いだったのだろう。母も呆れていただけだったしね……。
だけどなぁ……ゲームの音響に、そこまで拘るものなのか? 本当に当時は、その違いがよく分からなかったよ……。
「おおぉ~~っ!? これは……凄い!」
そんなかつてを思い出しながら、渇いた笑みを浮かべていた俺が案内された1つの建物。その中へと足を踏み入れた俺の口から、一瞬前の鬱さを吹き飛ばすような感嘆の声が躍り出た。
だだっ広い室内には、一切無駄なものは置かれておらず。空虚さすら感じさせる空間は、されど所々に配置された無骨な機材と、何よりも奥に鎮座する巨大な炉の存在によって厳格な雰囲気を漂わせていた。
「ここが第一工房です!」
どうやら、ここは【鍛冶】をメインとする作業を行うための工房のようだ。他にも細工や裁縫、木工等々用途に応じた第二第三……と幾つかの工房があるとのことだ。
その他、精錬所などの特別な施設もあるらしい。まあ、うん……船とか造るんなら、火事場の炉で精錬するのは無理だろうからねぇ? 木造ならともかく……鋼造? だったしね……。
「それで、先ずは何をすればいいんだ?」
俺がそう聞くと、テテルは待ってましたと近くにおかれた巨大なBOX? から何やら取出し……。
「はいっ!」
「……鉄? これを……どうしろと?」
“ポン”と手渡された鉄塊に困惑を隠せない俺へ、テテルは……。
「【鍛冶】を習得するためには……」
「するためには?」
「とにかく、鉄を打つことですっ!!」
などと、のたもうた……。
……はい? って!? それでいいのかい、鍛冶っ!!
こう、最初は精錬の基礎とか? 師匠との相槌とか? 色々とあるんじゃね!?
「確かに優れた武具を鍛えるためには、その素材を作るための精錬技術は欠かせません。ですが、それはスキルを身に着けてからでも十分……といいますか、寧ろその方が効率的なのですよ? 師との相槌なんて、それこそ【鍛冶】を習得してからでないと、とんでもないっ!!」
何でも、聞けば大昔は俺が言った、ように下積みとして製錬作業を行わせていたそうなのだ。それこそ何年も、何十年も……スキルを身に着けるまで。
だがある時、実践上等! ……こほん!
実地に勝る経験はない!! と言い切った女傑の指導? の元、とにかく打って打って血反吐を吐くほど鉄を打ちまくった1人の少年は、僅か半月足らずであっさり? と【鍛冶】を習得したのだとか。まあ、その時少年は、とある種族と見紛うほどに、頭髪含めて真っ白になっていたらしいんだが……。
とにかく、それまではどんなに天賦の才があろうとも、数年は下積みをしなければ【鍛冶】を習得することは出来ない! とされていた常識が、それこそ打ち砕かれた結果。業界は一時、空前絶後の大混乱に陥ったのだそうだ。
「ですが、考えてみれば【細工】などは同じく金属を使ったりしますが、まず精錬などはせず既存の金属を加工しますからね。当然それでスキルも習得出来ますし」
まあ……そういうことなのだろう。と、半ば無理矢理納得させ……。
“カンッ、カンッ、カンッ、カンッ”
こうして、只ひたすらに鉄を叩いているわけなのだが……。
“カンッ、カカンッ、カンカンッ、カカンッ”
しばらく叩いている内に、何やらいろいろと変化が視え始めてきた。最初は、おや? と思う程度だった。鉄の部分部分が淡く点滅しだしたのだ。
で、そこを叩いてみたところ……音の響きが違っていたのだ。更に、点滅のタイミングと合わせてみたところ……先ほどよりもいい音が響いたのだ。
だんだんと楽しくなってきて、何時の間にか時間が経つのも忘れて……叩きつけ、続けていたね! その昔、音ゲーというジャンルが一世を風靡したっていうけれど、こんな感じのものならばそれも分る気がするよっ!!.
打ちつけるたびに、甲高い音色がリズムに乗って響き渡り。次第に光の瞬きは、強く速く、更にはその数を増やしてゆく。
途中で手が足りなくなって、両手に鎚の二刀流とか悪乗りした挙句。それでも点滅する光の数と速さに追いつかなくなり色々と試した結果……何か妙なスキルとかも、幾つか習得していたみたいだし……。あ!? 当然目的の【鍛冶】も習得出来ていたらしいぞ?
でだ。分かったことが幾つかある。
まずはこの光。作ろうとする物の形状やそのイメージの強さ、素材の違いなんかによってリズムやタイミングが変わるようだ。
更には、最初は漠然とした淡い光だったのが段々と色づいてきて、その色の違いや強さでも最適な打ち方や強さが変わってくる。
こう、魔力を込めて打ち込んだり。気力を込めて打ち込んだり。終いには魔力そのもの? や、気力その物? を打ち込んだり、と……。
思えば今まで、全身を使った激しい遊びなんて出来なかったからだろうか? あまりにもリアル過ぎる戦闘とは異なる、何処までも遊び感覚に思えるこの作業にどハマりしてしまったのは……。
そんな狂乱とも呼べる……奇行の果てに……。
「……ふうぅ……で、これですか?」
はい! ただいま、DO・GE・ZA、中です。
目の前で、剣を手にして“ジトー”と三白眼を向けてくるテテルに、冷や汗タラタラです!
いやね? 調子に乗ってたらテンションが上がりまくって……途中からあまりよく覚えていないんよ?
とにかく剣を、打って打って打ちまくって、一心不乱に叩き鍛えていたら……はい! こんなんできましたけど!?
――log in - 35、冒頭参照――
「アギトさん?」
「はい……」
「あまり目立ちたくはないと言っていたわりには……自重しませんね?」
「ぐふぅっ!?」
ご、ごもっとも!
その的を射た指摘に、今までで……といっても、まだ2日目だが……一番のダメージを受けた。
「ですけど……準神剣級ですか? ……『転生者』って、やっぱり凄いんですねぇ……」
いや、テテルさん? 俺を他の『転生者』の基準にするのは……多分、間違っているぞ!?
と、慌てて訂正しようにも、自分でもどう説明していいのか分からない自らの状態に、俺は手を伸ばしかけたまま固まってしまうのであった。
すまぬ! まだ見ぬ『転生者』達よ。願わくば、この地に辿り着くまでに、少しでも力をつけていてほしい……そう、切に願うっ!!




