log in - 31 忠義……で、候ふ?
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俺は今、モーレツに……戸惑っているっ!!
目の前には、片膝をつき首を垂れるリザードマン(少女?)の姿が……。
更に、その手前には……。
《???からの忠誠を受け入れますか?》
☞ はい
いいえ
「………………」
なにやら、フラグを回収してしまったようだ……て、忠誠ってなんだよっ!?
【忠誠】 忠実で正直な心。また、忠義を尽くすこと。
んなこたぁ分ってるよっ!!
これは、何か? 止めを刺されんとしたすんでのところで助けたからか? それって、あまりにもチョロ過ぎやしないか? いや……蜥蜴なだけにチョロイ、のか?
周囲が固唾をのんで見守る中。……これ、いいえとか選べなくね?
事実上、選択肢を奪われてるぞ! 的な雰囲気に、次第に俺は追い詰められて行くのであった……。
“ピコーン”
《???に、新たな名を与えて下さい》
流石に空気を読まずに、いいえとか選ぶことなんて……俺には、出来なかったよ……。
黄昏行く俺の心に、聞き馴染んだ電子音と共に流れるインフォメーションアナウンス。
おや? てっきり了承したら???が明かされるのかと思っていたら……新しい、名前?
むぅ~? 槍の使い手で……女性、か……。
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スカサハ
[種族]リザードマン Lv-24 ※忠誠
[称号]
〈※アギトの僕〉〈槍神の寵児〉〈槍の申し子〉
[満腹度]62%
VP - 100%(704/704)
SP - 216/216
MP - 192/192
STR - 517
VIT - 240
MAG - 192
AGI - 770
DEX - 839
MND - 192
LUK - 192
TEC - 376
[種族特性]
【環境適応 Lv-36】【武人 Lv-27】
[スキル]
【片手槍 Lv-48】【二刀流 Lv-48】【連撃 Lv-42】【AGI強化 Lv-44】【DEX強化 Lv-46】
【身体強化 Lv-38】【狩猟 Lv-42】【料理 Lv-48】【軽業 Lv-32】【危険察知 Lv-35】
【☆主従の絆 Lv-1】
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――忠義の名、スカサハに誓って。主君の御為に、この命を賭して尽くす所存です――
目の前に“ピコーン”と開いたウィンドウ越しに「ギギギィ」と響く鳴き声と共に、頭に伝わってくる声。と、いうか……重いよっ!!
“ピコーン”
《称号〈スカサハの忠誠〉を得ました》
《称号スキル【主従の絆】を習得しました》
“ピコーン”
《リネームによるEX効果の条件が満たされています》
《一部の能力成長率に補正が入ります》
“ピコーン”
《リザードマン『部族ランスロリエ』と友誼を結びました》
《称号〈友誼ランスロリエ〉を得ました》
《称号スキル【言語理解(蜥蜴人)】を習得しました》
“ピン、ポン、パン、ポーン”
《《とある『転生者』が、リザードマン『部族ランスロリエ』と友誼を結びました》》
《《これによって、リザードマン『部族ランスロリエ』はNPCスタイルへと確定されます》》
久し振り……実際には、まだ1日すら経ってないのだが……の連続インフォは、最後にサラリと爆弾を投下していきやがった。
ふと見れば、さっきまで灰色だった彼等のカーソルが、緑色に変化しているのが確認できた。ひょっとして、あれか? 灰色のカーソルって『転生者』の行動いかんによって、NPC(仮)枠にも魔物枠にもなる……って、事なのか……?
仲間内で異様な盛り上がりをしている彼等を眺めながら、頭に浮かんだそんな疑問に俺は首を振る。そうだな。考えたところでしょうがないか……。それよりも、彼等の事を知る方が先決だな。
――おお、それではアギト殿は、神託で伝えられていた『転生者』でござったか――
デスペラールクラブの解体を終え。暗い森の中、彼らの案内で部族の集落を目指して歩みを進める。
その道すがら、リーダーの男……カインと情報の交換をしていたのだが……。
――我が部族は遙か古に、武を司る不死の巫女様から武術の手ほどきを受けていたのでござるよ。『転生者』といえば、その巫女様方と同じ世界からの訪れし御魂とか……。お目にかかれて光栄でござるよ!――
……ござる?
聞けば、この口調。不死の巫女とは別に、よくこの地へと訪れていた萌えを司る癒しの巫女によって、彼等の部族にもたらされたものだとか……萌え?
更に聞けば、この巫女。例の庭園や瘴気対策の薬。テテル達が使っていたネタ【魔術】等、色々と関わりがあるようなのだ……が、何故だろうか? 一人の人物像が、鮮明に浮かび上がって来るのは……ありえ、ないよな?
何度か襲来した魔物を蹴散らしながら……と、いっても。俺は全くの手持ち無沙汰だったけどね……ようやく集落へと辿り着いた俺を待っていたのは……村を上げての、大宴会だった。
振る舞われる料理と酒……て、酒? ま、まさか……口噛み酒じゃあ? と、戦々恐々とするのだが、何と普通に酒造されたものだったんだよっ!! しかも、純米大吟醸!?
よく目を凝らしてみれば、村の外れには見事な水田が……マジ、ですか? どうやらこれも、件の巫女によってもたらされたものなのだとか。
おお! これなら、冒険のお供として握り飯が食えるぞ! というか、この宴会……ほんと、純和風なんだよな……? 絶対悪乗りしただろう、巫女とやら? なんせ……武士、だし……。
魚の味噌煮をつまみながら、酒を一口……うまい! 俺の傍らで甲斐甲斐しく世話をしてくるスカサハ。盛り上がりを見せる宴の様子を眺めながら、心地よい酔いに身を任せるのだった……。
――なんとっ!? 貴殿はアギト殿と申されるのか?――
宴もたけなわ。そんな折、俺の名を聞いて、驚きを顕わにする1人の老リザードマン。
腰を痛めていた為に遅れて顔を出した彼こそが、この部族の族長で最長老でもあるそうなのだが……。そんな彼のあまりの驚き具合に、周囲の視線が集中する。
――よもや、再びその名を持つ方に仕える者が、我等が部族から出ようとは……これも、巫女様方の導きかのう?――
――おじい……族長様? 再び…とは、どういった事なのでしょうか?――
――ふむ? そなた達も、遙かな古にて我等が部族が、不死の巫女様より武術の手ほどきを受けた事は存じておろう? 実はのう……――
スカサハの問いかけに長老は、代々の族長にのみ伝えられていた伝承を、朗々と語り始めるのであった。そう……朗々と……。
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……えてして、老人の昔語りというものは永いもので……。
――……ZZZ…………――
あ~、スカサハぁ~……寝るなぁ~~……。
つうか、この長話……ほろ酔い状態には、きつい……。
眠気が……眠気がぁ~~っ……。
あ? あぁ、もう……堕ちる……。
幾つものZが辺りを埋め尽くす頃……。
――? ……なんじゃ、皆の者……だらしがないのう……――
ようやく語り終えた老人の、そんな理不尽な物言いに……最早、返ってくる声は存在してはいなかった……。
てか、本当に……長かったよ……。
要約すると、件の巫女が仕えていた者の名がアギトと言い。その当時、部族の者が仕えていた……て、だけなんだけどなぁ……。
そんな身も蓋もない感想を抱きながら、俺の意識もZの海へと沈んで行くのだった……ZZZ。




