log in - 13 なん…だと!?
「そういえば、ステータスで年齢や性別が表示されないのには何か理由があるのか?
その問いかけに、エレオノーラ、リュシオーネ、そして何故かオーレルまでもが固まった。
そう、この時はまだ自分はこの世界の有り様を理解してはいなかったのだ……世の中には知らない方が良いと言う事がそれなりに存在すると言う事に……。
まずはオーレルに目を向ける……“ブンブンブン”と激しく拒否られた。
続いてリュシオーネはと……あからさまに目をそらして“ア~”とか“ウ~”とか呻くばかり。
最後にエレオノーラを……“ジィ~”と見つめる。……“ジィ~~”と見つめ続ける……すると。
「………です」
「はい?」
「年齢に関しましては神々の事情です!」
エレオノーラは、顔を真っ赤にしながらそう答えた。
……うん、理解しました。
エルフであるエレオノーラももしかすると……止そう。また鬼が来るかもしれん。
「?……年齢は? それじゃあ、性別はどうしてなんだ?」
「ああ、それはなぁ………」
と、オーレルは微妙な表情をしながら説明してくれた……。
この世界には単純に男と女では分別できない種族が有るらしい……雌雄同体とかか?
まずはサハギン。種族的には男性態だが卵を作る器官が存在する。
後は魚と同じ感じで卵を産んで……まあ何だ、ぶっかける? 形になるので同族間でのアレはない様だ。
一応は他種族の女性に対してアレは出来、その女性との間に子供を作る事は出来る様なので男性態とされていると言う事だ。
次にマーメイドだが、かなり特殊な種族みたいで単独受胎が可能らしい。
まず自らの因子…遺伝子の様なものか?を胎内で培養、構築して自身のクローンの様な子供を作ることが可能らしい。そして他者から因子を貰いそれを自らの因子と組み合わせて子供を作ることも可能らしい。というか、もっぱら同族間ではこちらの方が主流らしい……百合か? 百合なのか!?
もちろん他種族の男性を受け入れ、普通にアレによって子供を作る事も出来るそうでその為女性態とされている。
同じ女性のみの種族であるセレスティアは女性態ではなく純粋に女性とされているらしい。
子供は他の種族の男性と普通にアレをして作り、生まれてくる子供はほぼ確実にセレスティアであるらしい。
何でもサハギンと違い鳥の様に卵を産む事は無いものの、自らの胎内で卵に近い環境を作っている為に余程強いアレ? でない限り男性の方の種族的な面は受け継がれないらしいのだ。
とはいえ、そんなのでどうやって種族が成り立ったのかと自分は疑問に思った。だが、どうやら女性のみのセレスティアと男性のみのバードマンは元々は一つの種族であり、それが何らかの理由で変異し二つに分かれたのでは無いかと言われているとのことだった。
そしてバードマンなのだが………はいっ! 全バードマンプレイヤーの皆様に凶報です。
このバードマンなのだけれど他の種族の女性とアレをする事は可能です。しかし! 他種族の女性との間には子供は一切生まれません………?
?と疑問に思ったそこの貴方! その疑問の答え……知りたいですか? ……自分は、知りたくなかったです!
では、お答えしましょう! ………バードマンはその時期を迎えると……【女体化】して子供を作るそうです………orz
どうも、初めてその時期を迎えた時に【女体化】という種族特性に覚醒するらしく、そうして【女体化】している状態で同族、或いは他種族の男性を受け入れアレする事で子供を作るらしい。
そう、この状態だと他種族の男性との間には子供が作れるようだ。その場合の子供の種族は男性の方になる様だが………。
そして元が男性であり【女体化】はあくまで種族の特性スキルの影響によるものの為、男性態と言う事になっているそうな………正直、なんじゃそりゃ! と言いたくもあるがそう言うものらしい。
まあ、とある趣向をお持ちの一部の方々には神種族なのかもしれないが……?
「…………」
「…………」
「…………」
「…………」
そんな説明が終わり四人の間に何とも言えない沈黙が訪れた。
リアルで魚にそんなのがいた様な? ……アレはメスで生まれて群れの中の一匹がオスに変わるんだっけか? そしてそのオスが死ぬと群れの中? の別の一匹のメスがオスに変わるとか確かそんな感じだった様な?
そういうのがリアルでもいたなぁと自分は内心を無理やり納得させたのだが、どうやら他の三人には無理だったらしい。まあ、自分たちと同じ人類種の事だしなぁ……マーメイドは兎も角、バードマンは……うん、ごめん。バードマンの皆さんには悪いけど自分がその立場になるのは……orz
微妙な空気の流れる中、如何したものかと考えていると突然かけられた予想外の声によって、その沈黙は破られることとなった。
「オーレル?」
「んっ、おお!エミラか!」
声の方へと顔を向けてみると、そこには少し幼さを残した顔立ちをした儚げな雰囲気を持つ女性が微かなそれでいて柔らかい笑みを浮かべて佇んでいた。
オーレルの呼びかけに対して“ピクピク”と頭上の耳が反応した…ネコミミである。何より印象的なのはその不自然に膨らんだお腹だろう。
小柄で少女にも見える童顔なうえ、元々はスレンダーであったであろう体系(貧乳である事もあり確信……偏見?)にその膨らみはとても目立っていた。
「エレオノーラ様、御無沙汰しております。リュシオーネさんもお久し振りです」
「エミラ、息災でしたか?」
「久しぶりですね、エミラ。お腹の子供の方も順調そうで何よりです」
……まあ、そういう事なのだろう。自分はオーレルにそっと近づき「だれだ?」と聞いてみた。
「うん?ああ、こいつは」
と、若干照れたオーレルの様子に気づいたのか、女性はこちらの方を向き自ら名乗ってくれた。
「そちらの方は初めましてですね。オーレルの妻、エミラと申します」
「……なん……だと!?」
かつてない驚愕に“ギギギギッ”と油の切れたゼンマイ仕掛けの人形の様な仕草で隣のオーレルへと顔を向ける。かの災害の時もここまでの驚きはなかっただろう……まあ、驚いている余裕すら無かっただけだが………。
当のオーレルは照れつつも、若干“ドヤァ”的な表情を滲ませていた。
こっ、こやつ! 現状では人のことは言えないが、その顔で勝ち組だとでもいうのか?
「俺はアギトと言う」
「アギトさんですね。オーレル共々よろしくお願いします」
「ああ、こちらこそよろしく頼む」
様々な動揺を抑えつつ努めて冷静に対応してみせる……これも一つのプライドよぅ!
それにしても彼女、エミラはクールとでも言うのか表情が余り変わらない。声は優しげだし雰囲気も少し儚げだが柔らかい為、冷たい印象は受けないし感情の起伏が乏しいと言う訳でもなさそうだ。
単純に落ち着き過ぎているというか冷静過ぎると言った所か?
「それで皆様は、どちらへ向かわれているのですか?」
「アギトを『深緑の宿 森のくまさん』に案内している所なのですよ」
「……なん……だと!?」
先程とは別の意味で訪れた最大級の驚愕に、意識がまっ白い氷雪におおわれていく様な錯覚に囚われてゆくのであった。




