log in - 115 真の〝ざまぁ〟への布石。 -ん? 戦闘? それは、特に記載するようなことのない、一方的な蹂躙だった……-
◇◆◇◆◇
――ゴウゥンッ……ゴウゥウンッ……ゴウゥンッ……ゴウゥウンッ……――
空に浮かぶ巨大な城。
“ズキューーーンンッ……ズキューーーンンッ……”
純白の翼をはためかせ、超高高度を舞う乙女達から放たれる光の槍が湖面を貫く。
――フィーーーン――
浮遊する板が宙を滑り、それを駆る戦士達は黒い汚水に触れることなく陸へと上がった海魔を駆逐していく。
――ドギュウウウウゥゥ~~~~~~~~~~ンンッ……――
丘の上に佇むは、僅か数名。されど、その第3の目が見据える先へと疾く放たれる閃光は湖面を裂き、違わず異形の群れを焼き払う。
それは、さながら神話の光景……のようでもあった。
……などと、感慨深げにその光景を眺めていたわけだが……。
うむ、些かやり過ぎな感も否めない。どう見てもコレ……炎上案件だよなぁ……。
「あ、あの……アギト様?」
「ん? ああ、すまないな。足労をかける」
少しばかり憂いを覚える俺の背中にかけられる声。
振り向いた俺の目に飛び込む……。
――タユンッ――
相も変らぬ自己主張……ではなく。……いや、なくはないか……。
こちらに向けられた眼差しは少しきつめにも見えるが、それも左目の下の泣き黒子がに和らげられて、妙に色香を感じさせる。
アップに纏められた青みがかった黄色い髪。そして目にする……うなじが、また……。
極めつけが…コレ。うん、なくはないな。体の線は細いものの……その一部が、ね……。
そこに佇むのは、乳……コホン。そう、『森守のルトヴェリス』の社……その、狩守の斡旋所の受付嬢、シィラである。
「それにしましても……凄まじいです、ね……」
絞り出すようにそう口にする彼女。その顔色は若干青い。きっと、群れを成す異形があまりにも不気味だからであろう。……そうだと、思いたい。
……で、なぜ彼女がここにいるかと言えば、まあ……もののついでである。
一部を除いた『転生者』を十把一絡げで見てしまう『現地人』の現状は、これから第2陣が訪れるにあたってひじょ~~~に問題となってくる。
それをある程度解決するためにとあるアイテムを作成したわけなのだが、シィラにはそれをこの街を治めている者の許へと届けてもらおうというわけだ。
頻度はそれほどでもないようだが、それでもこの町は直接『ルトヴァリス』とのやり取りがあるらしく、彼女もこの町を治める者と面識があるのだとか……。
いや、というか……。
「……マジで?」
その事実を聞いた俺の、第一声である。
「はい? あ、はい。『港町トーレ』を治めるゲンドロウは、私の母の兄……私の伯父にあたる方です」
な? 驚愕の真実だろ?
サハギンは男性種。マーメイドは女性種。
もっとも、サハギンと違ってマーメイドはマーメイド同士で子供を作ることができるし。それどころか、単独で子を生すことすらできるわけだが……。
そして、マーメイドが他の種族と子を生す場合、生まれてくる子供の種族や性別がどちらになるのかはマーメイド側で決めることが可能である。まあ、極稀に予定外の種へと変異することもあるようだが……。
でだ。これがサハギンとマーメイドの場合、マーメイドによる操作? が利かないそうなのだ。
つまり、男が産れるか女が産れるかは、それこそコウノトリ次第ということになるわけだな。
だというのに、だ。とかく同族交配や単独出産が多いマーメイドが他種族を番とする場合、その候補として一番多いのはサハギンだったりする。やはり、同じ水棲種族だからなのであろうか? 美女と野獣が、可愛く思えるな……。
「もう少し事態が落ち着いたら降りてもらう。それまで……まあ、見ていて気持ちがいいものではないと思うが、我慢してくれ」
SAN値が“ガリ、ガリ”と削られていくような怪異が犇めき合っているわけだし、な。俺とて、見ていて気分のいいものではない。
けれど、彼女が物憂げなのは全く別の理由からだった。
「いえ……ただ、あれ等は遠い昔に心無い神の手で弄ばれた同胞……その、成れの果てなのだと思うと……」
優しい娘だ……。
「あ?」
俺は、思わず無言で彼女を抱き寄せる。
“フニュン”と胸に押しつけられた弾力が……とても、心地い。
「アギト……さ、ま……」
うるんだ瞳で見上げる彼女。周囲に、どこか桃色の雰囲気が漂い始め……。
“ザッバァアアアアアァァァァァ~~~~~~~~~~ンンッ”
「「…………………………」」
突如、湖面から躍り出た巨大な海魔……オウム貝? の頭部を持つ、その悍ましくも面白おかしい姿の前に、儚く霧散していった。
「え……えぇ~~とぉ……」
「ふ・・・…ふふふふふふふ、主砲展開っ! あの、ナックラヴィーとか言うギャグ漫画的な海魔を、散り一つ遺さず消し去れぇ~~~~~ぃいいっ!!」
かくして……。
――ドゥギュウウゥーーーーンッ、グルルルルルヴヴヴヴヴヴヴヴヴゥゥゥゥゥ~~~~~……ズグゥウウゥーーーンッ――
ソレは、出現して早々……恐らくは甚大な被害をもたらしたであろうその巨体を極太の光の内へと投じ、何のために出てきたのかも分からないまま存在を消失させたことにより……この地での戦闘もまた、終息に向かうこととなる。
掃討戦は未だ続くであろう。
だが、それは他に任せればいい。
俺たちの戦い。
――ギルド:万魔殿――
その、鮮烈なデビューは……。
――ゴオォ~~~~~ン――
そんな昏い鐘の音と共に、一先ずの終演を迎えるのであった。
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【昏き訪れを告げる鐘 Lv-∞】
[アビリティ]
ノクターン
とある転生者たち~その淫惨なる時の最中に……~
R18
[アーツ]
招かれる凶鬼~昏き胎動の目覚め~
強者の躾け~敗北の掟を身に刻む宿命の胎嫁~
略取の威光~淫虐に跳ねる白濁の兎~
手折る恥辱~惨溺する決意の囀る果て~
淫枷の獣鎖~恥従に尾を振る雌犬の艶哮~
這よる浸渦~遁ずる性へと覆る胎身の罪人~ NEW!!
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