表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Reincarnation Online - リンカーネーション・オンライン -   作者: とどのつまり
第2章 胎動、そして蠢く悪意を薙ぎ払いて……。
114/123

log in - 114 明暗を分ける、ゾンビディフェンス?






◇◆◇◆◇




「何だってんだ、くそっ! ぐがっ!? ま、また毒ついた!!」 「くぴっ!? マヒ…た……かい、ふ……プ、リィ……」 「ZZZZZ……」 「ぎゃ~~~~~っ!? 石に! 石になるぅ~~~~~っ!?」 「ド畜生めが! 切がねぇぞ!?」 「ちぃいっ!? 足元だ! この黒い水に触れているとヤベぇえっ!!」 「んな、どうしろってんだよ!?」 「水ん中だ! 湖の中では影響がねぇみてぇだ!!」 「いや、水中戦闘なんてできねぇよ!!」



 阿鼻叫喚、である。

 多くの『転生者』が、その身にもたらされる状態異常の数々に、無様を晒して右往左往するばかり。次から次へと上陸してくる海魔の前に、碌に交戦もできぬまま実にたわいなく蹂躙されていく。

 数少ない抵抗らしい抵抗ができている『転生者』といえば、地に足のつかない者達。空を舞う者と……水の中を行く者のみ。その大半は、不遇職として蔑まれててきた者達。

 そう、セレスティアとマーメイド……その、独擅場であった。


 とはいえ、彼我の戦力差は圧倒的で……。多くの討ち漏らしが出るのも、致し方のないことであった。

 そんな現状にあって、異彩を放つ者達がいた。



「つうか……アレ、何だよ!? 何でアレが、あんなにつえぇんだよ!?」 「む……無双しとる……」 「ありえねぇありえねぇありえねぇありえねぇ……」 「あの醜い姿が、なぜだか今はとてもかっこよく魅えるわ……♡」 「こ、これが……恋? いえ、魚だけに……鯉♡」 「うおぉ~い!? それ、吊り橋効果ですらないから! 混乱ついてるから!!」



 それは……『転生者』にあらず。水の中を縦横無尽に駆け回り、その武力で無数の海魔を薙ぎ払う者達。その、あまりの不気味さと種族デメリットが故に、『転生者』達の誰1人として選択する者がいなかったとある種族。

 ハゼに似た魚の顔。全身は鎧の如き鱗に覆われ、水かきのついたその手に握る三叉槍(トライデント)を巧みに操る彼等は……サハギン。

 この、ヒューマン種至上主義……とまではいかずとも? おおよそヒューマン種が優遇(以外は冷遇)される『戦軍(せんぐん)のアンバッス』内において自治を認めさせた、この『港町トーレ』が誇る海軍……その、勇士達であった。



「くっそ、船は出せねぇのか!?」 「バッカ、あんな数に張りつかれたらすぐに沈むわ!!」 「んじゃこれ……どうしろっ、て……」 「どうし……って!? どうし、た……お、おい……?」



 言葉の途中で、1人の『転生者』が光の粒子となって散っていく。



「ま……マジ、か……? ヤベぇえ! 即死判定来てるぞ!?」 「げっ!? 嘘だろっ!?」 「くそっ! 退くぞ!! 黒い水から離れるんだ!!」 「無理でしょ! 後ろ詰まってるわよ!? それに、退いてどうすんのよ!? 町が危険だわ!!」



 村落の壊滅。

 それは、彼等彼女等『転生者』が第1回イベントと称している過去の体験から、その多くが身を持って思い知らされていた。



「くそっ! 防げ! 何としてでも、防げ! それこそ、ゾンビアタックをかけてでも防げぇえええええっ!!」



 幸いなことに? デスペナが重複することはない。どれだけ死のうと、その影響が変わることはないのだ。

 その期間も、最後に死んだ時からに更新されるのみ。そう、幾たび死を繰り返そうとも……。

 故に……。



『くっそぉおおおおおぅうっ! やってやらぁあああああっ!!』



 過去に苦い思いを抱く者達は、その命を呈して奮起する。



「ちっ、やってらんねぇよ!」 「まったくだぜ……」 「他で狩しようぜ?」



 あくまで自分本位の者達は、悪態ついてこの場を去っていく。


 それが、後の明暗を決定づけることになるとは、この時の『転生者』達には知る由もなかった。



*


*


*



 いったい……どれほどの時が経ったのか……?

 実際には、開戦からまだそれほど経ってはいない。

 されど『転生者』達には、まるで悠久の時の中に身を置いているようにさえ感じられていた。



「ううぅ……身体、だりぃ……」 「何度目……だった、かしら……?」 「意識、が……もろぅぅ……」



 幾度とも知れない死に戻りを経て、なおもこの場に留まる者達。

 先刻、現在最大規模のギルドが全滅し……その後姿を見せなくなってから、彼等彼女等の戦い? は困窮を極めていた。



「ははははは……でもよ? 意外と、意地と気合と根性で動けるもんだよなぁ?」 「つうか……何で俺、ゲームでこんな意地張ってんだろ……?」 「ホント、そうよねぇ……? でも、さ? あの後味の悪さは、2度とごめんだわ!」



『確かにっ!!』



――……ンッ……ゥンッ……――


 その時、1人の『転生者(セリアン(イヌ))の耳が“ピクン”と跳ねる。



「……何……かしら?」



――……ゥンッ……ウゥンッ……ゴウゥンッ……――


 次第に他の『転生者』達も、その重々しい調べを耳にする。



「何つうか……駆動音? ……って!? 何じゃありゃ~~~っ!?」



――……ゴウゥンッ……ゴウゥンッ……ゴウゥンッ……――


 叫びと共に、1人の『転生者』が指差す先。その場に留まっていた『転生者』達は……目にする。


 その……。




お読みいただきありがとうございます。

できましたら、ブックマーク、評価等していただけるとありがたいです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ