log in - 110 その頃の彼女等 【パネース遺跡ダンジョン編】 ⑥
巨大な扉を押し開いて、その奥へ奥へと言葉もなく足を進めていくあたし達。周囲には、広大な部屋の中に所狭しと立ち並ぶ半透明な柱と……その中に映る、小柄な影。
うん、ぶっちゃけSFチックな生体改造研究所、みたい……。
まあ、確かにそういったものがあるとは聞いていたし……。言っちゃうと、ウチのギルドハウスがまんまそれだし、ね……。
でも、さ? ここの前で戦ったのがホラー系で、中に入ったら一転SFって……違和感がハンパないのよ。ほんと、アレ……巨大な人型の骨じゃなくて、巨大な人型のロボにしておいて欲しかったわね。
っと、あら? どうやら何事もなく最奥まで辿り着けた、よう……ね……。
…………………………。
静寂に包まれていた室内が、更に“シン”と時が止まったかの様に静まり返った……気がする。
もう、ね? 一同……絶句、である。
「ムウ……コレ、ハ……」
「あらあらあらぁ~……」
「あわっ、あわわ……」
――何と……卑猥な……――
「……プキ?」
「……………」
あいや、待たれよ。コレ、あたし達だからよかったものの、普通の『転生者』達だったら大問題じゃない!?
それは、こう……男性器と女性器を融合した、所謂ふたなり? 両性具有的な巨大なオブジェのような……装置?
その、雄々しくそそり立つ男のカタチの下……○口の部分には、大きな宝玉がはまっていたりする。
うん……事案だ。
こういうのって、他にも在るのかしら? 在るのでしょうね……。
ほんと、この先不安でならないわ。
「クッ……マケ、タ……」
いや、貴方は何と張り合っているのよ。っていうか、そんなキャラだったわけ!?
――食べごたえがありそうなソーセージだとでも思えば、これはこれで……ジュルリ――
ちょ~~~っ!? 貴女は貴女で、スキルに引っ張られ過ぎよ!!
「ひえっ!?」
あ、うん……スナッチ君、男の娘だもんね? そりゃあ、今のスカサハの発言に、内股気味で後ずさりもするわ……。
ん? 今、何かニュアンスを間違えたような……?
「あらあらまあまあぁ~……」
普段と変わらないようでいて、明らかに動揺しているわね……顔、真っ赤。
「プキ?」
ふう、平常運転はよく分かっていないキミだけか……。うん、癒しだわ。お馬鹿だけど、でも……癒しだ。
「プ……プッキィ~~~~~ッ!!」
いや、まあ……うん。それでもやっぱり……お馬鹿だわ……。
何をとち狂ったのか、そのオブジェに向かって猪突猛進。後は……分かるわよね?
まあ、一応事の経緯を語りましょうか。
一迅の赤い矢と化したウリ坊は、そのままソコにはめ込まれた宝玉へと……。
“ドォ~~~~~ンッッ”
けれど、ソレは思いのほか硬かったのかひび割れることすらなく、奥へと押し込まれていく。
その反面、衝撃で弾かれたウリ坊は、後ろへと “コロコロ、コロリ”と……。
奥へ奥へと呑み込まれていく宝玉。
それに呼応するように、そそり立つ造形の表面に浮かび上がる無数の赤いライン。それは、まるで脈を打つかの様に明滅を繰り返し……。
――ドッパァーーーーーッ――
突如、その頂から眩い白光が迸った。
……うん、突如とは言ったけど、途中から予想はできていたわよ……orz
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