log in - 109 その頃の彼女等 【パネース遺跡ダンジョン編】 ⑤
「う~ん……これ、どうしようかしら……。ねえ、スナッチ君……いる?」
「いいっ!? いりませんよ! そんな不気味なモノ!!」
指先で摘み上げる括り紐の先で“プラ~ン、プラ~ン”と揺れるソレを「ひぃ~っ!?」とドン引きしながら、彼はそう拒絶する。
うん、まあ……ね。
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【嘆きの干し首】
[系統]装飾品
[耐久]-
[属性]冥/闇
[耐斬]30%
[耐突]30%
[耐打]30%
[耐魔]60%
[アビリティ]
最大MP2倍
消費MP半減
MP回復速度2倍
MAG+補正(大)
最大LP半減
SP消費消耗2倍
STR-補正(大)
[アーツ]
※※※
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ほんと、どうしようかしら? この、ドロップアイテム……。
そう、ドロップアイテムだ。
ダンジョンの特長として、斃した魔物を放置しておくと一定時間でダンジョンに吸収される。勿論、その間に解体して素材を採取することは可能だ。
ただ、それをせずに吸収させた場合、稀にこうしてアイテムがその場に残されることがある。中には解体では得ることのできない物もあったりするのだ。そう、四足歩行の獣形の魔物が、武器やら防具やらアクセサリーやらを落とすアレだ。
まあ、ドロップ自体がレアなんで、そういったものは本当にレア中のレアなんだけれど、ね。大抵は、普通に素材とか魔石とかみたいだし……。
解体するより絶対数取得量は少ないとはいえ、解体せずに素材を得ることができるというのは、解体にトラウマを抱えている者が多いであろう『転生者』達にとっては垂涎ものでしょうね。
それが今回……コレときた。
インベントリに収納することさえ憚られる代物。
「捨てたら捨てたで、祟られそうですよねぇ~……」
まさにそれ! て、いうかさ?
「こういうのって……リリウが強いんじゃない?」
「ええぇ~、呪いは専門外ですよぉ~……」
さよか……。いや、でも……一応呪いの類はないみたいなんだよね、コレ。見るからに、呪われそうではあるのだけれど……。
効果は破格なんだけど、ねぇ……。アビリティのデメリットも、純魔術ビルドだとあまり気にならないし……。
でも、コレを……装備する? ないわぁ~……。
え~と、ヴァルバロス……いる? いらない? あそう……。
後日、或いは渡るべくしてその手に渡ったのか? とある霊体系種族の『転生者』が装備することになるのだが……。
「ふひひひひひひ……」
「ひぃ~~~~~んんっ!?」
その結果、悲鳴を上げる者がいたとかいなかったとか……。
*
*
*
さて、このあからさまに何かありますよと言わんばかりの大扉の先へと、いよいよ足を踏み入れんとするわけだけれど……。
「棚上げにしましたねぇ~……」
「棚上げにしたよね……」
――棚上げにしたようですね……――
「プキ、プキィ……」
「タナニアゲタナ……」
「ええ~い、だまらっしゃい! そんなこと言うなら押しつけるわよ!!」
「さあ、行きましょうかぁ~」
「一体、中には何があるのですかねぇ?」
――警戒は密にしていきましょう――
「プキ? プッキィ~~~、キ?」
「セクナ……」
こ……こいつ等……。
軽い頭痛を覚えながらも、こうして4人と1匹に1体を加えたあたし達は……。
“ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ……”
重々しく開かれていく扉……その奥へと、足を踏み入れる。
1人……また、1人と潜り抜けた扉の先。そこに、待ち受けていたものは……。
「……何……これ……?」
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