log in - 106 その頃の彼女等 【パネース遺跡ダンジョン編】 ②
「あ? そこ!?」
「プキ?」
それは、唐突に起こった。
ウリ坊ちゃんことヴァイオレット(朱)……うん、ヴァイオレットなのに毛並みは朱色、が、こう……“カチッ”と、ね……。
瞬時に身構えるも……しかし、何も起こらず。警戒を解かないまま……〝一歩〟……また〝一歩〟……慎重に足を踏み出していったところ……まさかね? 広間がまるごと落ちるとは……orz
こう……ワイヤーの切れたエレベーター状態? ほんと、あわや全滅か!? ってところだったのよ。危なかったわ……。
咄嗟にインベントリからウィングローダーを取出し……たリリウに、あたし達は揃いも揃って宙を泳ぎながら縋りしがみついたのよ。普段は“ポワ、ポワ”と緩くてトロいのに、こういう時の行動は的確で素早いのよね、リリウって。
あたし達だけだったら死んでもデスペナで済むんだけど、今回は同行者が加わっているから、ほんと助かったわ。
で、その同行者といえば……。
「ううぅ……僕の存在意義って……」
感知した罠の悉くを、その直後にヴァイオレットによって踏み抜かれたことで落ち込む小柄な少女……のような見た目の少年、スナッチ。
うん、何かごめんね。ほんと、ごめん…・・・。
今回スカウトとして同行してくれた彼はハーフリングと言う種族で、素早さと器用さに優れる反面、筋力が極端に低いため戦闘はからっきしなのだとか。
どうもこの種族、ノッカーと双璧を為す採集特化種族らしく、ノッカーが【採掘】に特に優れた適性を持つのに対して彼等は【採取】に特に優れた適性を持っているとのことである。
あたしとしては、さ? 思うわけよ。どこかに……【解体】特化の種族とかいないものかしら、と……。
うん、【解体】は美味しい。美味しいんだけど、さ? ……うぷっ。手ずからさばくのは、ちょっと……。
慣れないといけないんでしょうけれど……現代人を、ナメないで! ……まあ、人にもよるんでしょうけど、ね。うん、誰とは言わないけれど普通にさばいてるし。でも……あたしには、無理だわ……orz
そんなこんなで、ここ数日彷徨っているわけなんだけど……。
「マップが凄いことになってますねぇ~」
まさに迷宮という構造もあって、探索は遅々として進んでいない……にも、拘らず。
「ちょっとした都道府県くらいにはなっているわ、ね……」
とはいえ、今日あたりにも脱出の目途が立ってくれないと、時間的に厳しいのよね……主に、リリウが……。
え? あたし? ふっ、学生は気楽でいいわぁ。
*
*
*
――む? あれは?――
「う~ん、立派な扉ですねぇ~」
「その前に広がる広間、と……。まず、間違いなく何か出るわね」
「ぼ、僕は隅で丸くなっていますね!」
あたしの言葉に、臆面もなく男らしくないことをのたまうスナッチ君。見た目は幼女、中身は男。
「プッキィ~~~……キ、キ?」
こらこら、あんたは無駄に突っ込まない!
突撃しかけたウリ坊の首根っこを掴んで“プラーーーン”……。
「さて、何が出てきますかねぇ~」
――何が出ようと、ただ討ち果たすのみ!――
こっちは、うん……頼もしいわ。
そうして、広間へと足を踏み入れたあたし達の前に待ち受けていたモノとは……。
「……うわぁ……」
「えぇ~……カースドレギオン(骸)。怨霊系の魔物で、怨念のこもった無数の遺骨の集合体のようですぅ~」
見た目は、こう……がしゃどくろ? ただ、1体の巨大な骨ではなく。それは、膨大な数の様々な骨が寄り集まって人の形を模った、1つの骨格標本だった。
「と、いうか……サイズ、ヤバくない?」
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