第五十七話 年越し
あけましておめでどうございます!
今年も『バレンタインデーの夜に』をよろしくお願い致しますm(__)m
今日は大晦日。一年の終わりの日。今までの一年に感謝し、新たな年を迎えるための準備の日だ。
私たちは、一年を締めくくるイベントと言っても過言ではない、国王主催の年末のコンサートに出席する事になっていて、今はそこに着ていくドレスを選んでいた。
毎年、コンサートが終わってからは、家族と過ごしていたのだけれど、今年はアリスとも一緒だ。
アリスのお父様やお母様も招待して、今年はもっと賑やかになるはずだ。
「コンサートに着ていく服、決めた?」
「ううん、まだ。……これとこれとで迷ってて。ミラ、選んでくれない?」
「うん! もちろん!」
私はクローゼットとにらめっこを続けるアリスが差し出した二つの服を比べる。
…………。ど、どっちもアリスに似合いそうで、それぞれがとっても可愛いし。うぅっ、選べない……。
二つの服は、それぞれ白、黒を中心とした配色のワンピースで、それぞれにちょっとしたデザインの工夫がなされていた。
白の方は、落ち着いているアリスにぴったりな清楚な雰囲気を漂わせる、一見真面目そうな服に見えるのだけれど、実は背中が大きく開いた、ちょっとダイタンなワンピースだった。
黒の方は、黒の印象だけでなく、所々に施された刺繍やラインによって、明るめの印象ももてるようなデザインだった。こっちはこっちで、胸が少し開いたりする。
どちらも、袖が広く、ゆったりとしたものだった。
「どう?」
「…………。どっちもよさ過ぎて迷っちゃう」
「ほら、選べないでしょ?」
「うん……」
私はうなだれて認めた。
「どっちもいいんだもん。……アリスの肌を他の人に見られること以外は」
「そ、そんなことを一々気にしては駄目よ。それに、見え辛いバルコニーから私たちは参加するんでしょ?」
「むぅ……。でも嫌なのは嫌なんだもん」
私は頬っぺたを膨らませてアリスに抱きつく。
ちょっと低い位置に抱きついたので、アリスの大きなお胸がちょうど顔の位置にきた。そこで私はアリスのお胸に顔を擦り付ける。
「ちょっ…………。もう、特別だからね?」
今日はユリアーナとミーゼが近衛騎士の、年末にある大きな行事に参加してしまっているため、別の近衛騎士二人に手伝って貰っていた。
二人は仲良くする私たちを微笑ましく見守ってくれている。
「アリス、いいにおい……」
「も、もうおしまいっ! 早く選ぶよ?」
「もうちょっと~」
「だーめ、離れる離れる!」
うー。もっとアリスとくっついていたかったのに……。
仕方なく離れてアリスの服選びに戻る。そして迷いに迷って最後に選んだものは、背中の開いた白いドレスの方だった。
アリスの胸を他の人に見せるなんて、とんでもないわ!
そんな私の気持ちも知らず、素直に喜んでくれるアリス。正直とっても可愛い。天使と言っても過言では――――あっ、もともと天使だったわね♪
「ありがとう、ミラ!」
「ううん、いいの。そっちの方が明るくて良いでしょ?」
「うん!」
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その後二人は家族やユリアーナとミーゼ達と合流し、コンサートに出席した。
オーケストラの綺麗な音楽を、しっかり手を繋ぎあいながら聞いたあと、部屋に戻って今度は家族だけで晩餐会を開き、一年最後の食事をした。
今年はアリスとアリスのご家族も一緒で、ミラは去年までよりも楽しそうにその時間を過ごしていた。
そしてまさに今、年が変わろうとしている。
「今年、ミラはどんな一年だった?」
「ん~、そうね……。幸せな一年かな? アリスと一緒にいられて。結婚も出来たし」
「ふふっ、私も。ミラと一緒に過ごす日々が、と~っても幸せで楽しかった」
「そっか……。……もう少しでなっちゃうけど、来年も、よろしくね? アリス♪」
「うん♪ 来年もよろしくお願いします、ミラ♪」
見つめあう二人。重なりあう手と手。そして絡み合う指。そっと目を閉じ、二人の顔は徐々に近くなっていった。
ちゅっ♪
……偶然にも、二人の唇が触れあった瞬間に年が変わった。
二人はそれに気付かぬままに、熱く甘い口づけを交わし続けていた。
新たな年も、二人で幸せにいられますように、と願いながら。
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(1/4追記)
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