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第五十五話 披露宴と初夜

物語としては、最後の話です。

 二人が一度退出し、その間に近衛騎士たちが披露宴の用意を始める。


 二人が再び入場する時にはすっかり用意が出来、招待客たちは二人が登場することを今か今かと待ちわびていた。


 ミラとアリスは、ウェディングドレスの余分な部分を取り去り、化粧を直して今度はお互いに腕を組んで入場した。


 大扉が開かれた瞬間から盛大な拍手に包まれるという歓迎を受けた二人。


 招待客に軽く会釈しながら席へとつくと、司会のユリアーナが開会の言葉を述べて披露宴が始まった。


 まずはミラとアリスのウェルカムスピーチ。

 式と披露宴に来てくださった方々へのお礼と、これからの事を二人で交互にスピーチをした。


 そして乾杯をしてケーキ入刀を行う。


 ケーキ入刀の為に用意されたケーキは、高さおよそ五メートル、直径数メートルに及ぶ巨大なもので、ミラとアリスは魔法で一旦ケーキの上に出てから、徐々に下降しつつケーキを切る必要があった。


 そして食事が始まると、二人は化粧直しに退出する。

 食事はさすが王族の結婚式と言うべきか、超高級な食材を使ったフルコースである。

 招待客たちは食事を楽しみながら歓談するのだが、その話題はもっぱら結婚式での二人を包んだ光の事だった。


 食事が終わりに差し掛かったとき、ミラとアリスが再び入場する。

 今度は会場をぐるりと回りながら席へと戻、二人に話しかける招待客が多すぎて、なかなか席へ戻れず、すっかり食事も終わっていたので、まだ予定の半分も回れていないにも関わらず、席へと戻って次の用意を始めた。


 スピーチでは、古くからの付き合いの友人や、貴族、近衛騎士などがスピーチをした。二人が最も喜んだのは、ユリアーナとミーゼからのスピーチであった。


 新婦の家族へ宛てた手紙では、ミラとアリス、それぞれが、父や母、いつも近くにいてくれた近衛騎士であるユリアーナとミーゼ、ミラであれば姉と妹に宛てたメッセージを読み上げ、広間は感動的な空気に一堂がつつまれた。ミラとアリス自身も涙を滴らせ、思い出に想い馳せながら、一言一言、噛み締めるように手紙を読み上げた。


 そして花束を両親へとそれぞれが渡し、その後のミラの父とアリスの父のスピーチを以て披露宴は終了し、着替えて化粧を落とした二人は、部屋に戻ってベッドに座り、身を寄せあって疲れを癒していた。


「お疲れ様、アリス」

「お疲れ様、ミラ」


 ちゅっ♪


「……これで、私たち」

「「本当の婦婦(ふうふ)になれたんだね……♪」」


 ちゅっ♪


「これからもよろしくね、ミラ♪」

「こちらこそよろしく、アリス♪」


 ちゅうぅっ♪


 人前では出来なかったぶん、二人だけの空間で存分にキスをする。


「ちゅっ、ちゅうぅっ♪ んっ……はぁっ、ちゅぷっ♪」

「んぁ……、んんっ♪ むぐっ、ミ……ラぁ♪」


 キスの、濡れた唇同士がふれ合う音が部屋中に響き、二人の興奮はますます増してゆく。


「ちゅぅぅぅ、れりゅっ、んうっ……。…………あっ♪ もう濡れちゃってる♪」

「んっ……、ちゅるっ♪ ……い、言わないでぇ! ……隠してたのに。もうっ」

「隠さないでいいのに。……もう結婚したのよ? 私、アリスの全部が知りたいの」

「うっ……、でも…………。改めて思うと恥ずかしいし」

「恥ずかしいも何も、もうお互いに全部隅々まで見てるでしょ! 全く」


 顔を赤らめて小さな声で言うアリスに、ミラが声を大にして言う。アリスは、言われれば言われるほど更に顔を赤くし、シーツで覆って隠していた。


「……でも、初夜……だから、その、するんでしょ?」


 ミラはアリスの言わんとする事を理解し、こちらも顔を赤らめる。


「……アリスがいやじゃなければ、かな?」

「…………。嫌なわけ、ない」

「えっ?」


 ミラはアリスの言った事が夢じゃないかと聞き返す。しかし、答えは同じだった。


「ミラとだから、嫌じゃない!」


 アリスはぐっと唇と付きだし、ミラの唇を奪う。


 ちゅっ♪


「……ありがとう! アリス。大好きよ♪」

「私も大好き♪」


 ちゅっ♪ ちゅるっ♪ ちゅうぅうううっ♪



 始まりのキスと共に、二人は身に付けていた衣服を脱ぎ捨てる。


「あっ♪ ……さっきよりも濡れてないかしら?」

「ミラがあんなことを言わせるから……。明日、ミーゼさんたちに迷惑をかけるけど、いいよね?」

「もちろん♪ たくさんたくさん、愛し合いましょうね♪ 愛してる」

「愛してる、ミラ♪」


 そして二人は下着もベッド脇に放ると、布団のなかに仲良く潜り、朝までの長い長い夜を、結婚初日の初めての夜を、二人で愛し合いながら幸せに過ごした。







 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~







 翌日の朝、結婚式の疲れもあるだろう、と、いつもより遅い時間にユリアーナとミーゼが二人を起こしにやってきた時、中から甘い声が聞こえたので踵を返したことは、ユリアーナとミーゼだけの永遠の秘密になった。


 そしてその日は夕方になりかけた頃に起きたものの、長く熱い一夜を過ごした為か、一日中ほとんどベッドから動けていなかった。


 なんとかシーツだけでも変えようとしたユリアーナとミーゼが二人を起こすのを手伝った時、シーツの何ヵ所かに赤い血の後を見付け、こっそりアイコンタクトを交わし、暖かく二人を見つめながら微笑みあっていた事も、ユリアーナとミーゼだけの思い出になったのであった。


 アリスとミラ、二人の結婚は、恋愛というリレーのゴールであり、新婚生活という新たなレースのスタートラインであった。

次回は、今回の話以降の未来を、淡々とまとめた形になりますが、お届けします。


なので明日、本編完結!!

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