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第五十三話 クリスマス前夜

作中の日付が12/24になっていますが、間違いではありません。

作中時間は12/24になります。

「いよいよ結婚ね……♪」

「まだ実感は無いかな……」


 12月24日、クリスマスイブの日。ミラとアリスの結婚式の前日。


 今は、結婚式の段取りや用意は前々から始まっていたものの、二人が旅行に行っていた時に最終調整が行われ、細かな変更や追加された事などを伝えられたことを、必死に頭にその事を叩き込んでいる最中だった。


 そんなピリピリした空気の中、二人の表情が明るくなるような出来事があった。


 ウェディングドレスが届いたのだ。


「アリス様、ミランダ様、ウェディングドレスが届きましたよ!!」

「とっても綺麗なんです!」

「ミーゼさん、ユリアーナさん!」

「ミーゼ、ユリアーナ、ありがとう! ねっ、アリス、早速見に行かなきゃ♪」

「うんっ♪」


 二人はミーゼやユリアーナの言葉に目を輝かせながら、手を取り合い、期待に胸を膨らませながらドレスが用意されているという隣の部屋へと駆け出した。


 隣の部屋に入ると、マネキンに綺麗に着せられた、二つの純白で、美しいウェディングドレスがミラとアリスを待ち構えていた。


「きゃあっ!! す、すご~い♪」

「可愛い~♪ こ、これ、本当に私たちが着てもいいのよね?」

「……! そ、そうね。ユリアーナ、本当にいいの?」


 目をキラキラさせながら、羨望の目でウェディングドレスを見つめながらユリアーナとミーゼに聴くミラとアリス。


 ユリアーナとミーゼは、はいっ!! と大きく頷くと、自信を持って答える。


「もちろんです! 私たちがお二人に似合うようにと特注したウェディングドレスなんです!」

「私たちがお二人の事をイメージしてデザインをしたんですよ♪」

「ほんとう!? 二人が? ありがとう、二人とも、大好きよ♪」

「ミーゼさん、ユリアーナさん、ありがとうございます!! わたし、わたし、本当に嬉しいです! 大好き♪」


 ユリアーナとミーゼからのまさかのサプライズプレゼントに、目を潤ませながら二人に思いっきり抱きつくミラとアリス。

 ユリアーナとミーゼは、その抱擁を、嬉しそうに返し、二人でみつめあうと、くすっ♪ と微笑みあった。


「そこまで喜んで貰えると、頑張ったかいがありました! ね、ユリア♪」

「はい! まさかここまで喜んで貰えるなんて……! ぐすっ、わたし、嬉しいです……っ!」


 嬉し涙を流すユリアーナ。それにつられてミーゼ、アリス、ミラと全員がもらい泣きし、四人がいた部屋は、心が暖まる優しい空気に満ち溢れていた。




 お互いに一斉に見せ合いをしよう、という事になったことで、部屋に仕切りが立てられて着付けが進んだ。


 ユリアーナがミラの、ミーゼがアリスの着付けを手伝い、いよいよ披露の時間がやって来た。


「アリス、いい?」

「うん。ばっちり」


 二人は見えていなくても、恋人同士という愛の力を使ってタイミングを合わせる。


「「じゃあ、せ~のっ……!」」


 二人の合図で同時に仕切りが外される。


「うわあぁあ!! 可愛い~っ♪♪」

「ほわあぁ!! 凄い似合ってる♪」


 ちゅっ♪


 思わずキスをする二人。

 そして抱き締めあって、口々に感想を言い合う。


「すごい、すごいわアリス! まるで天使みたい……! はあぁぁ~♪ かわいい~!!」

「とってもかわいいわ、ミラ! まるで女神さまが現れたみたい……!」


 ミラとアリスは、横に並ぶとそれぞれ対になるようなデザインをしたウェディングドレスを着ていた。

 細かな所にレースがあしらってあり、さらに芸が細かい事にそのレースの柄はハートだった。

 また、ユリアーナはミラを、ミーゼはアリスをそれぞれ想いながらデザインした所もいたるところに反映されていて、様々な愛がたくさん詰まった、世界でたった一つだけの素晴らしいウェディングドレスに仕上がっていたのだった。


 ひときしり見とれ合い、抱擁を交わし、キスをした二人は、改めてユリアーナとミーゼに向き直る。


「ミーゼ、ユリアーナ」

「ミーゼさん、ユリアーナさん」

「「素敵なプレゼントをありがとう♪」」


 二人は大きな声で感謝を伝え、四人で円陣を組むような形になって抱き締めあうと、しばらくの間、離れる事は無かった。

いよいよ次回、結婚式!!


今回から章題変わりまして、『エピローグ』!!

ラストスパート、よろしくお願い致します!!

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