第四十九話 ユリアーナの葛藤
ついに新カップル誕生か……?
ミランダ様とアリス様がお風呂に入るという事で、私たちはお風呂の前の廊下にある長椅子に座って警護をしていた。
しばらくして、急にアリス様の小さな悲鳴が聞こえてきたものの、どうせミランダ様にいたずらされたに違いない。そう思って私たちはずっと座ったままだった。
現に、たった今、今度はミランダ様の悲鳴が聞こえてきた。
「ふふっ、やっぱりいたずらのようですね」
「…………すー、すー」
「……? ミーゼ?」
ミーゼに話しかけると、答えの代わりに小さな寝息と、私の右肩に少しの重みを感じた。
「…………。始めての遠出で、少し疲れたのかもしれませんね」
「んっ……。す~……す~……」
私はミーゼの頭をそっと撫でながら独り言を呟く。
するとミーゼが少し頭をすりよせてきて、なんだか嬉しかった。
起こしてしまわないように、ゆっくり、ゆっくりと右肩の方を見る。
(ふふっ、可愛いですね……。今ならそこの、綺麗な桜色の唇を…………)
「って、私は何をっ!?」
ブンブンと頭を振って、頭に突如思い浮かんだ、邪な考えを振り払う。
……しかし、私の考えとは相反するように、私の体は勝手に動く。
そっと手を添えて、ミーゼの頭の位置がずれないようにすると、そのまま私がミーゼの前に移動する。
「……っ、体が、勝手に……!」
私は、まるで自分の奥深くに潜む欲望が強く私の意識に入り込んできたかの様な感覚に陥った。
私の理性は必死に抵抗をする。でも体の方が少し強い。
プルプルと小刻みに震えながら、私は徐々に徐々にミーゼの唇に、私の唇を近づけていった。
「うっ、ううう~…………」
「す~……。す~……。んっ……」
間近に迫るミーゼの唇。ギリギリのせめぎ合いを続ける。
と、突然私の頭の中に不思議な声が響き渡ったような感覚に陥った。
『……あなたが本当に望む事は何?』
「えっ……? ……ちゅっ」
「むぐっ。……んむぅ!?」
その声に正直に耳を傾けてしまった私は、つい抵抗する力を緩めてしまった。
……そして、抵抗する力を失った反動で、勢いよくミーゼに接近する。
気が付くと私達の唇は、そっと触れ合っていた。
私の唇を通して感じる、甘く、柔らかく、そして熱いミーゼの唇の存在。
今までに感じたことのない感覚で私の頭の中が満たされた。
……先ほどまで必死に抵抗していた事が馬鹿見たい。
そう思えるほど私は情熱的にミーゼを求めた。
「ちゅっ、ちゅっ、ちゅぅぅぅぅぅぅ…………♪」
「むぅ、んうぅ……。んんん……」
ミーゼは初め、少し驚いていたようだけれど、予想に反して身を任せてきた。
……なんて可愛いのかしら。
「ミーゼ、ちゅっ♪ ミーゼぇ……。ちゅぅぅ……、ちゅ♪」
「ユリアーナ先輩、んんっ……。ユリアーナ……先輩……♪」
初めてのキスは、関係が壊れる事を恐れて一歩を踏み出せずにいた私達の、関係を大きく変えるきっかけとなった。
この時私達は、初めてお互いの思いを知る事が出来たのだった。
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(遅れないよう頑張りますので、よろしくお願い致します)
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