第三十二話 団欒
特筆が無ければ文中の「」が四連続の場合、
「アリスパパ(お母さん)」
「アリスママ(お父さん)」
「ミラパパ(お父様)」
「ミラママ(お母様)」
の順で会話が進みます。
な、なんでお父様とお母様が私の家に!?
戸惑いを隠せない私たちに、
「実はね、私たち王立魔法学院の同級生なんだよ」
「「…………えぇぇえぇぇ!? 」」
とんでもない爆弾が落ちてきた。
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「いや~、黙っていてごめんな、アリス」
「いずれ教えようと思っていたのよ。ねぇ? 」
「うむ。この四人は学院で出来た友人の中で最も親交があったんだ」
「ええ。知ってた? ミラ、昔アリスちゃんと遊んだ事があるのよ」
えっ!?
………………そう言えばすごく昔に同い年の女の子と遊んだ記憶があるような無いような……。
ミラも同じような記憶があったようで、互いに首を捻って思い出そうとする。
「昔は家族で王城に遊びに行った事もあるんだぞ? 覚えてるかい? 」
「昔はミラちゃんもアリスと一緒にお城のお庭で遊んだものよ」
「二人とも走り回っていたんだよなぁ……」
「ええ。そうだったわね~! ……二人とも、迷子になだたんだっけ? 」
確かに……とっても広くて大きなお庭で女の子と遊んだ記憶があるけれど…………
「確かに、あのお庭、王城だったかもしれない」
「う~ん、私も思い出しそうな……アリスだったかしら? 」
考え込む私たち。
「そう言えば……記録結晶に残っていないのかい? 」
「そう! それよ! ちょっと待っていてね…………」
「確か二人で撮ってたよね」
「あの頃は小さくて愛らしかったわね」
もう好き勝手言われ放題。
でも、もし本当に昔からミラと一緒だったら嬉しいな……
と、お母様が戻ってきた。
「あったわ、これよ! 」
と、私たちに記録結晶を差し出してきた。
早速軽くミラが魔力を込め、記録された画像を見てみる。
「ん……? 」
「これは……」
確かに王城が背景に映った画像やミラの部屋のようなものすごく大きな部屋などで撮ったと思われる画像がたくさん保存してあった。そこには確かに私たちのような小さな可愛い子がいて――――
「これ……アリス? 」
「これは……ミラ? 」
今とは全く真逆の性格をしていたようだ。
私の方が短くまとめたポニーテール、ミラの方が清楚なロング。
…………私にこんな過去があったなんて……。
信じられない。
私は軽く頭を抱えて下を向く。
隣のミラも同じく頭を抱えていた。
「アリスちゃんがミラを引っ張って遊び回っていたのよ」
とお母様。お母さんも、
「今はアリスの方がおとなしいわよね……どうしてかしら……? 」
と首を捻っていた。
私たちは画像を見続ける。
「うわぁ……」
とミラ。
「うぅっ……」
と私。
その後、私たちの同じようなうめき声が何度も繰り返された。
「ありがとうございました」
しばらく画像を見たあと、ミラがお母さんに記録結晶を返した。
「ところで、何で私たちお互いの事を覚えていなかったんだろう? 」
「うん。どうして? 」
さっきから私たちが画像を見ている横でひそひそと話し合っている大人四人に聞く。
「あー、多分お父さんの仕事の都合で一度地方に行っただろう? 多分そのせいだと思うんだよね……
「三歳くらいから十年くらい王都に居なかったのよ」
……なるほど。
「あー、こほん。二人とも、ちょっと聞いてくれないか? 」
とお父様。
私たちはお父様へ向き直り、話を聞く。
「私たちで話し合ったんだが、結婚式はクリスマス頃で構わないよな? 」
「……………………はっ? 」
「……………………えっ? 」
さっきって、私たちが画像を見ていたときの事!? 早すぎない?
「私たち全員結婚に大賛成だ。だからもう段取りを決めてしまって良いかと思ってね」
ここまでお読み頂き、ありがとうございます!
そろそろ学院パートに入ります!
お楽しみに!
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