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第十一話 アリスの気持ち

こんにちは。


今回はそこそこ百合成分を詰め込むことが出来て、満足な五月雨葉月です。


今回、アリスがミラに甘えます。

 私、アリスは、ミラに連れられて王城へ向かう道すがら、ずうっとミラの言葉を頭のなかで繰り返していた。


 ――――私は、アリスが好き。アリスが大好き――――

 ――――私は、アリスが好き。アリスが大好き――――

 ――――私は、アリスが好き。アリスが大好き――――

 ――――私は、アリスが――――


「アリス、大丈夫だった? 」

「ひゃっ!? 」


 自分でも分かるくらい真っ赤になりながら頭のなかでミラの言葉を繰り返してると、突然声を掛けられ、変な声を出してしまった。

 誰なのか見なくとも分かる。ミラだ。


 私よりほんの少し低い身長。黒い髪をストレートに下ろした可愛らしい髪型に、赤と紫の中間くらいの瞳。それだけでも可愛いのに、その一つ一つ全てが合わさっているから、さらに見惚れる。


 ミラはこの国の王女様で、とっても偉い、想像のなかの人のはずなのに、私の手を引っ張りながら、時折私の方を向くと、まだ落ち着いていない私に向かって微笑む。


 その姿はまるで天使の様で、そんなミラが私の事が好きなんて…………とても信じられない。それと同時に、信じられないくらい嬉しい。

 人を好きになるってこんな気持ちになるんだ。

 私は恋の事を、家族を好きな気持ちと同じような感じだと思っていた。でも、実際は全然違った。


 なんというか、こう……その人(ミラ)を見るたびに安心して、落ち着く。その人(ミラ)が一瞬でも居なくなれば、胸が締め付けられるように痛い。

 その人(ミラ)に触れていたい。ずっとそばにいたい。


 こんな気持ちになるなんて……思っても見なかった。


「…………アリス、アリス? 大丈夫? 」


 急に黙り混んでしまった私に、ミラが心配そうな顔をしてきた。


 もう。そんな仕草一つ一つが可愛らしくて――――ハッ!!

 いけない。また自分の世界に入って恥ずかしい想像をする所だった。


「う、ううん。ごめんね、ちょっと考え事をしてたの」


 咄嗟に誤魔化す。

 私がこんな想像をしていることをミラが知ったらどうしよう。

 恥ずかしい()って思われるかな…………それとも、嫌われちゃうかな…………


「さっきまでの事は気にしなくていいのよ? もういじめなんかしてこない、ううん、私がさせないから」


 どうやらミラは考え事、をいじめに関することだと思ったらしい。


 ――――ミラ、ごめんなさい。いじめじゃないの。あなたの事をずっと考えていたの!


 とは言えず。


「う、うん。ありがとう。ミラが守ってくれるなら安心ね♪ 」


 と誤魔化しニッコリ微笑む。

 すると突然、ミラがぎゅうっと抱きついてきた。


「み、ミラ! 何するの!? 他の人もいるのに……」


 周りに人もいるのに、ミラに抱き締められるなんて……恥ずかしい。

 しかし、ミラは驚きの言葉を言ってきた。


「あら? ここは王城の私の部屋よ。だから他の人に見られる心配はないわ。それに、光学迷彩魔法アクティブ・カモフラージュは他の人から私たちが見えなくなる呪文よ」


 えっ!? と思い、キョロキョロ周りを見渡すと、そこは豪華な内装だが、女の子っぽい部屋の広い部屋だった。


「ミラの部屋――――ここって、王城の中!? 」


 ハッと思い当たり、重要な事を訪ねた。


「さっきからそう言っているじゃない。ここなら誰にも話を聞かれる心配が――――って忙しそうね」


 ミラの話が途中から入ってこないくらい、私ははじめて入る王城、それもミラの部屋を観察していた。


「す、すごい…………」


 その豪華さに息を飲んでいると、


「そうでもないわ。住めば慣れるものよ」


 と、本当に何でもないようにミラが答えた。


「アリス、こっち来て」


 部屋を見ていると、ミラに呼ばれた。

 呼ばれた方を見ると、そこには、大きな大きなピンクのレースでできた天涯つきのベッドがあり、ミラがそこの(へり)に腰かけて、自分の右隣を手でぽんぽん、と叩いていた。


 そこに来て、という事だろう。そう思ってミラの隣へ行き、少し躊躇いながらも腰掛けた。


 なんだろう。ミラは少し何かを迷っているような顔をしていた。

 しばらくそのままミラの顔を見ていると、何かを決めたらしい。私に向けて語りかけて来た。


「アリス」

「なあに、ミラ」

「あのね」

「うん」


 そこで一拍置くと、ミラが私に抱きついてきた。

 いや、抱きつく訳ではなく、そっと、私を包み込んできた。

 そして、決定的な言葉を言う。




「よく、頑張ったね」




 その一言は、他のどの言葉よりも、表面上だけ平気そうな顔をして辛い感情を心の奥底へと閉じ込め、分厚い氷の層で絶対に溶けないように封をしていた私の心に、絶対に溶けないはず……の氷を溶かす…………春の役割を……………………して………………………………


「ううっ、ぐすっ」


 気付いたら私はミラの温かい腕のなかで泣いていた。


 溜め込んだ辛い感情を一気に外に出す様に。


「うぇええぇんっ! ぐすっ。うぅっ」


 しばらくミラの中で私は泣いていた。








ここまでお読み頂き、ありがとうございます。


甘え、いかがでしたでしょうか。

次回も甘~い空気で進行します。


次回投稿は未定です。


ブクマなど、ありがとうございます!

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