久しぶりの熱
うぅ~ん誰かが私を呼んでいる声がする。誰だろう
「・・・・さま」「・・様」「優希様」
この声は確か初めてこの世界に来たときに、春日局様が上様の護衛の火影を紹介された時に聞いた声だ
そっか、今日もこの世界に来たんだ!
火影が呼んでる、起きなくちゃね。
ても体が怠い…風でも引いたかなぁ
でもいつもなら普通に過ごせるはずなのに…
体が重い。起き上がれない。
どうしちゃったんだろう?
冷たい手がおでこに乗せられた。
うん気持ち良い。
「優希!大丈夫か?相当熱が出てるな。
火影、水とタオルあと緒形さんを呼べ。」
この声は鷹司?私に近づくなって約束したのに。
「鷹司…何で来たの。あのときの…約束は?」
鷹司が取り乱した声で
「今、そんなことはどうでも良いんだよ!!」
「……風が、移るから……私から…離れて……」
どうにか息を上げながら鷹司と会話をした。
廊下から足音が近づいてきた。
「優希さん大丈夫ですか?私の声が聞こえますか」
頑張って返事を返した
「……緒形さん……。お願い……鷹司を……部屋から……出して……。」
声が掠れて上手く言えていない気がしたが
鷹司に風邪を移したくないため、緒形さんにお願いをした。
「鷹司様、暫く外に出ててください。
診察をします。火影さんも春日局様に伝言をお願いしますね。」
いつも穏やかで、ニコニコとしていた緒形さんの顔が真剣な顔に成っていた。
そして緒形さんと私以外が外に出たのを確認して
「少し着物の会わせ目を開けますね。」
緒形さんは一通り診察が終わり、着物を直して
私だけに聞こえる声でこそっと言った
「過去に行き来しているから、体が疲れきったようです。今日1日安静にしていたら直ぐに治りますよ
本当は、貴女の本来の時代で薬を飲めば直ぐに治るのですが…この状態で、優希さんが消えるとこちらが大変なことに為りますので夜まで我慢してくださいね。」
返事の代わりに、頷いた。
そして緒形さんと入れ替わるようにして、春日局様と鷹司・稲葉・火影・夏津さんが入ってきた。
「今日は、公務は休みだ。ゆっくり安静にして休め
それと、鷹司殿や夏津殿に正体がばれているのはどういうことか…熱が下がったら聞かせてもらう。」
「はい。………申し訳ございません。…」
「優希、あんま無理するな。辛かったら頼れよ
なんかして欲しいことがあったらえんじょなく言え
わかったな?」
「……うん……ありがとう。」
精一杯の笑顔を見せた。
「お前、昨日お風呂で寝るから風邪を引いたんだ
どんなに、俺を心配させたら気が済む。
お前が、元気がないとしょうに合わねえ。
早く良くなれよ。」
「うん………早く………治すね…」
「稲葉後は任した。何かあったら直ぐに知らせにこい。」
「分かりました。」
「さぁ、鷹司殿も夏津殿も出ますよ。
これでは、気が休まりませんから。」
春日局様の呼び掛けで、3人ともが出ていった。
「優希様は、もう少し寝ておいてね。」
そう言って火影も出ていった。
「私は、側におります。何かあったら言ってくださいお持ち致します。」
ニコッと微笑んで
「……ありが…とう…。」
そこからまた意識が無くなった。
いつまで寝ていたのだろう。
体は少し怠いだけになっていた。
側には、稲葉がいた。
ずっとそこに居てくれてたんだ。
「ありがとう。稲葉」
「優希様、お体の具合はどうですか?」
「さっきよりは、ましになったよ。」
「それは良かった。」
「お粥を今お持ちいたしますね。」
「うん。ありがとう。」
稲葉と入れ替えに鷹司が入ってきた
「少しはましな顔色になったな。
食うもの食ってもう少し寝てろよ。
俺は、もう寝るからお前も早く寝ろよ。じゃ~な」
鷹司が出ていったあと外を見ると真っ暗だった
あの時はまだ、朝だったのに!!
そして稲葉が持ってきてくれた、お粥を食べ終わった時に緒形さんが様子見に入ってきた。
「顔色も良くなりましたね。元の時代に戻っても安静にしておいてくださいね。無理して振り返しては、なんの意味もありませんから。」
そう言って緒形さんは出ていった。
皆私の事を心配して、今まで寝ていなかったんだ。
お礼に甘いものでも作って食べてもらおう♪
そして眠りについた。