夏津の苦悩
昨日上様は俺に会ったときに誰だろうって考えてるそぶりをした。普段なら「夏津か」って言うか素通りなのだが、今日は何故か挨拶をしてきた。
このときにほぼ影武者だと確定した。後は本人が自ら言えば確定だが…
今日、夕刻過ぎに彼女がきた
俺が冗談で
「脱がして欲しいのですか?」
って言ってみたら彼女顔を真っ赤にして
「自分で脱ぐ。お前は出ていけ」
と言った、可愛すぎだ。
絶対に上様なら俺がでていけないことを知ってるはずだそれなのに出ていけか…
まあからかいがいがあると思って問い詰めたりしたが、結局認めなかった。
影武者か…別に利用価値があるから認めたら、使えるな。
ふたたび猫を被ることにした。
そして俺が出ていけないことを言うと
「目をふさいで後ろを向いてろ。」
ってあかるさまに同様しながら言った。
俺は彼女の言うことを素直に聞いていた。
彼女がお風呂に入ってるうちに寝具用の浴衣を用意したり、タオルを準備して彼女が出てくるのを待った。しかし彼女はなかなか出てこない、しかも水音もしていない何かあったのかと柄にもなく焦った。
返事がないから、慌てて浴槽に近づくと彼女が浴槽で寝ていた。
「おい!!大丈夫か?俺の声が聞こえてるか返事しろ」
「…うーん………。」
ったく焦らすなよ、何かあったら俺はどうしたら良いか…って何あせってんだ、こいつを気にする必要なんて無いはずだ!!。
とにかく、浴槽から出すか。
俺は腕を捲り彼女を抱き抱えて浴槽から出した。
それから、浴衣に着替えさせ髪の毛もある程度乾かしてからまた抱き抱えて廊下を歩いた。
ったく警戒心ぐらいしろよ。ここは、お前が思ってるより安全じゃ無いのに、こんなに無防備にしあがって…。そんなんだと男に食われるぞ。
って何心配してるだ!!あ~こいつといたら調子が狂う
珍しく廊下で誰も会わなかった事が幸いだ。
彼女を葵の間に運ぶと稲葉に会ったとき。
何故かギクリとした。
「上様が、湯殿で癒されていたらいつの間にか寝られてた。稲葉布団を引いてくれ。」
「そうでしたか。お布団は奥の部屋に引いてあります。後は私が…」
なんだよこの感じ、他の男が触れられてるのが腹が立つ。とっさに俺は
「わかった、奥の部屋だな。後は寝かしておく、春日局様話しておいてくれ。」
「分かりました。それでは、上様をよろしくお願いいたします。」
稲葉は、彼女を心配そうに見てから葵の間を出ていった。
「お前は周りに気を使いすぎだ。お前は今上様何だから好き放題にしてもいいのに、何故そこまで我慢する?しかも無防備過ぎだ、警戒心をもて。
いつか、他の男に喰われて嫌な思いを擦るのはお前なんだよ。何で弱音を吐かずに、利益不利益もなしにそこまで頑張るんだよ。」
一人の女にこんなに、心乱されたのは初めてだ。
お前はどっから来た?本当の名は?
ああ~イライラする。
一人で葛藤していたら火影が現れた。
「ふう~ん珍しいね稲葉様じゃなくて夏津様が上様の側に居るなんて。」
相変わらず神出鬼没だな。
「それよりどこに行ってた?上様の面倒も見ずに」
「ちょっとした、仕事を受けてね。そっちに行ってた。相変わらず、猫を被っているうんだね。」
「その方が、利益があるからな。」
「じゃあ。上様を運んできたのも利益のため?」
「貸しを作っとくのも悪くねぇしな。」
「あっそ…。そろそろ稲葉様が戻ってくるから
仕事に戻るよ。独占欲は嫌われるよ。」
「はぁ!?なんの事だ…ってもういねぇし。」
なんだよ、俺のどこに独占欲があるって言うんだ!?
暫くして稲葉が戻ってきてので、俺は自室に戻った
くそー!!あいつの事が気になって仕方ねぇ!!
あいつの寝顔も頭から消えねぇ
俺は本当にどうしたんだ?
それに独占欲って、感情なんて損にしかならねぇのに。今さら感情なんて持ってるわけねぇ~!
明日は道場に行って雑念を祓うか。
キャラ崩壊!?