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  作者: ムネソラ
18/18

11、エピローグ

 木々を揺らして、

 そんな冷たい風はまた、私の髪をそっと揺らし、

 この林の中を通り過ぎていった。


 まだ季節は始まったばかりの冬の日だっていうのに、

 ベニーナの街にこんな冷たい風が吹くなんて、

 とても珍しい……。



 ここは菫が倒れていたという林の奥。

 私があの日、菫を止められなかった場所……。


 そこだけ草が綺麗に刈り取られているせいかな、

 なんだか不思議な空間になっていた。


 そして、そのちょうど中央には、簡単な作りの二つのお墓。


 私の添えた一束の花が、

 その冷たく乾いた風で、一つ一つ小さな揺らめきを見せていた。



「なんで今日が……、こんなさびしい天気なんだろ……」


 私はもう一度、灰色の空を見上げる……。

 それでも空は高くにあるけど、なんだかそれが余計に肌寒くて……、

 私は冬の訪れに小さなため息をはいた。



 ……サッ……サッ。

 そのとき後ろから草を掻き分ける音がした。

 私はその音のほうを見る。


「……創真さん」

 創真さんは手に花束を抱えて、草が綺麗に刈り取られたところまで入ってきていた。


「もうこの街も……冬になってしまったね……」

 創真さんは私の横に並んで、二つ目の花束を、そのお墓の石の前へと添えた。



 あれから三ヶ月が経っていた。


 三ヶ月前、私はここで菫を止められなかった……。

 もしあの時私が菫を止められていたらって……、

 今でも思う……。


「血を流して倒れている菫をここで見つけたのが、つい先日のように感じる……」

 私達は崖のほうを見詰める……。

 もうその岩肌には、菫の血の跡は残っていない。



 ――あの後すぐ……、悪い人間は全部捕まってしまった。


 ちょうどあの日の、本当にすぐ後のこと……。

 法律が変わったらしい……。

 街が騒然としていたのがわかった。


 ……後から創真さんに聞いた話だけど、その法律ができるきっかけとなったのは、この夏の初めに起こった政治家が殺されてしまった、あの事件……。

 あの事件が起きたことで、強引すぎるともいえる法律ができたんだって。

 でも、そういったあとの創真さんは、あまりうれしくなさそうに笑っていた。



「――それにしても、創真さん?」

「ん? なに?」

 岩肌を見つめて、あの夏のことを思い出していて、少しあることを不思議に思って……。

 私は隣で崖を見つめる創真さんに声をかけた。


「あのとき…… 椿がここから飛び出してきたから、だから創真さんはここに倒れていた菫を見つけたんですよね?」

「ああ、そうだよ」

「よく…、いくらここから椿が飛び出してきたとはいえ、よくこんな林の奥で倒れている菫を、見つけられましたね……」


「ああ……、今思い返しても、あの日のことは不思議でたまらない……」

 創真さんは少し目をつぶって、

「まるで……私はあのとき、この林の中に入るよう、何かに突き動かされていたみたいだった……」

 たぶん……、それは……、

「紗紅羅ちゃん… ですかね……」


 創真さんが私のほうを見た……、優しい目で。

「そうかも……しれないな。紗紅羅が菫を… そして、いつまでも… いつまでも昔のことを引きずっていた駄目な兄を、救ってくれたのかもしれない……」

「創真さん……」


「私は… 紗紅羅のことを思い出そうとすると、必ずあのときの……、血まみれになりながら私を呼ぶ紗紅羅の姿が、頭から離れなかった……」

 創真さんはお墓の方を見つめた。今でもつらい記憶なんだと思う。


「でも、あの日以来……、あの瀕死だった菫を治療した夜以来、私の中で紗紅羅は、いつも笑っているんだ……。あの時に、紗紅羅に何も出来なかった私のことを、許してくれたように……」

「そんな…… 紗紅羅ちゃんは最初から創真さんのこと、憎んでなんているわけないと思いますっ!」

「ああ…、そうだね、キャミ……」

 創真さんは私の頭をそっとなでる。

「……たぶん、それまで本当に私を憎んでいたのは、私自身だったんだ……」

「創真さん…… ん……?」



 ……サッ……サッ。


 そんなとき、また草を掻き分ける音が聞こえた。


 でも……、

 その音の主はなんとなく分かっていた。


 私はその音のほうに体ごと向ける。

 創真さんもその音に気づいて顔を向けた。


「なんだ…… 遅かったじゃないか」


 その手には二つの花束とアイス? をもって……


「椿ちゃんもたぶん待ち焦がれてるよ」


 その体にはかわいいワンピースを着て…………。



「「――菫っ」」



「えっ……、だって…… 椿にアイス買ってあげようと思ったら、なかなか売ってるとこなくて……」

 菫は私たちに見られて、なぜか恥ずかしそうにそういうと、

「……椿と、私も、アイス…… 大好きだったから……」


 お墓の前まで歩いてきて、二つのお墓にそれぞれ花束を添え、そして椿のお墓の前には三角のコーンが付いたアイスを立てた。

「私から椿への、誕生日の贈り物……」





 今日は、菫と椿の15歳の誕生日。


 初めは私と創真さんで菫のお祝いをして、そして、菫が椿のお祝いもしてほしいっていって……、

 だから私たちはそれぞれ街へ行って、花束を買ってここへきた……。



「菫……」

 創真さんが、お墓の前で手を合わせる菫に声をかける。


「ん……?」

 菫は振り返らず、そのまま返事をした。

「このもうひとつのお墓には、銃… 絆が埋めてあるんだよね」

「うん……、私のと椿のとが埋めてある……」

「どうして……お墓を?」

「うん……、私…二度と人を殺したくない、そう思って絆を埋めたの……。あれは、ひと…を、殺す物だから……。でも、だけど……、だけど、逃げちゃ…だめなんだよね。私あのとき、絆から逃げた……。でも……、それは、だめだったんだよね……。だから…………」


 菫はそこで言葉を詰まらせて、創真さんの方に振り向く。

「私、絆から逃げちゃいけない……、忘れちゃいけないって思ったから、お墓を作ったの……。だめ……だったかな?」

 最後少し不安そうに菫は創真さんに聞いた。

「ううん…… 駄目なことなんかじゃない。その菫の気持ちはとても大切だと……、私はそう思うよ」

「うんっ」

 創真さんは菫の頭を優しく微笑みながらなでた……。

 菫もすこし恥ずかしそうに天使のように純粋な顔で微笑んだ……。



 ――もし、


 もしあの時、私たちが一歩でも遅れていたら……、

 こんな素敵な笑顔を見ることは、

 もう出来なかった……。




        ‡




 あの日、菫を止められなかったこの場所で、

 座り込んだまま、ただ止まらない涙を流し続けていた私の前に、

 車の大きなブレーキ音か聞こえて、そのあと創真さんが駆けつけてきた。


「キャミ…… 菫は……」

 私はそう聞く創真さんの言葉に、

 喉の奥から耐え切れないほどの後悔が、またわき上がってきた……。

「っうっぐ…… ごめんなさい…… んっぐ…… 私… んっぐ…… 菫… 止められなくて…… んっぐ……」

 そんな私の肩を、腰を落としてやさしく抱いてくれた。

「キャミのせいじゃない…… そんなに自分を攻めないで……」

 その創真さんの優しさが、なんだか胸の奥をいやしてくれるような感じがして、私はようやくすこし落ち着くことが出来た。


「キャミ、ほら…、立てる……?」

「……うん」

 まだ目に涙を溜めながらも、創真さんにうながされて立ち上がると、

「……となると、菫が今いるのは、確か……、港の07番の倉庫というところか。キャミ、急ごう!」

「……はいっ」


 私は涙目で、そのときは胸がまだ乱れていたけれど、

 でも創真さんのその言葉に、自分が今どうするべきか何となく気がつけて……、

 私達は林の外に止めてある車に飛び乗った。


 あれは確か私の家の車だったから、

 パパを車で病院へ運んだ後、そのまま創真さんはここに来たんだと思う。



「……あの、菫は…椿を殺すって……」

 私たちはその創真さんの運転する車で、港に向かっていた。


「やっぱり……、そうだったか……」

 創真さんは前を見たまま、顔をしかめた。

「おそらく、あの椿って子の方も、そのつもりなのかもしれない……」

「えっ…… そのつもりって……」

「あのとき持った違和感……、あの椿って子がもし菫を連れて行きたいのだけなら、あの場でなんとしてでも連れて行こうとしただろう。けれど… そうしなかった……。……私は、彼女が何かそれとは違う、別のことを考えているように思えてならないんだ……」

「それって……、どういう…?」

 けれど……、そのとき創真さんは私の言葉には応えず、ただフロントガラスの奥を険しい顔で見つめていた。




 私たちは港に付いた。そして、07番倉庫はすぐに見つかった。

 大きな建物だった、見上げるほどの……。


 その大きな倉庫は港にいくつも並んでいたけれど、大きな鉄の扉にまた大きく07と書かれていたし、それに……

 その扉には他とは違って、中から何か大きなものをすごい力で突き刺したような穴が開いていて……、

 他とは違う異様さを放っていた。


 倉庫の前で車から降りる。

 するとあたりは静かで…、

 静かすぎて……、

 海の音がうるさいくらいに聞こえて……、

 なぜかそれがものすごく私を不安にさせていた。


「もう……遅かったの……」


 だからだと思う、そのときそうつぶやいた。

「いや…… まだ… とりあえず中に入って菫を探そう……」

 創真さんはそういうと、倉庫の中へ走り出す。

 私もその後について、走って中に入っていった。


 中は真っ暗で、広くて、

 暗い倉庫の中を、

 走って、目をこらして、

 探し回った。


 そして、奥まで来て、もういないんじゃないかと不安に思った。

 本当にここだったのかと、一生懸命自分の記憶を確かめてみたりもした。



 そんなとき

 ――菫を見つけた。


 ひざに血まみれの女の子を抱え、

 その白いワンピースを血で真っ黒く染め、

 手に持つ銃をあごの下に構え、


 引き金を引こうとしていた菫を――。




 私はその状況がよくわからずに、ただ立ち止まり、そんな菫を見詰めていた。


 だって、

 そんなことになってるなんて、

 菫が何をしようとしているかなんて、

 たぶん私は理解したくなかったから……。


 けれど、

 創真さんは見つけたその瞬間に、菫のほうに飛び込んで……。


 そして倉庫中には重低音が響き渡った……。


 菫は…無事だった。

 菫の指が引き金を引く寸前のところで創真さんの手が間に合って、銃口を菫のあごからはずしたみたい。


 本当にスレスレだった。

 もし一歩でも遅れていたら……なんてそんなこと、

 考えたくもない。




 その煙を上げている銃の横で、信じられないものを見るような顔をしている菫。


 創真さんは床に拡がる血で、服が血だらけになった身体をゆっくりと起こして、膝をついたまま菫と向き合うと、


 そんな顔の菫のほほを思い切り…

 たたいた。



 すごい音がしていた。創真さんは本気でたたいたんだと思う。


 そして菫の両肩に手をやると、創真さんは怖いくらい強い目つきで菫の目を見据える。

「菫…… どうしてこんなことを……」


「だって………… そうするしかないと思ってっ……、だって、椿は私を殺す気なんかなくて、ぜんぜんそうじゃなくて…………、私のせいだったの……、私が… 昔に戻りたくなくて、椿から逃げたから…、だから私、もう何もなくて……、私にも、もう何もないから……、もうっ、死ぬしかないと思ってっ! ――」


 創真さんはもう一度、菫をたたいた……。


 菫はたたかれたほほを押さえ、

 その目からは涙がぽろぽろと落ちてきた……。


「……うぐっ、いたい……、いたいよぉ……、そうまぁぁぁ…………」


 やがて菫の目からは大量の涙が流れ出してきた……。

 菫は顔をぐちゃぐちゃにしながら、創真さんの胸のシャツを鷲づかみにして……、

 創真さんの胸の中で泣き続けて……、

 創真さんはその菫の頭をそっと抱いていた。


 そして私はやっぱりそこでも、

 その光景をただえっくえっく言って泣きながら見ていることしか出来なかった。




        ‡




 私たちは林を後にして、創真さんの家までの下り坂を歩いていた。


 私と創真さんは並んで歩き、数歩前で両手を広げて、ぴょんぴょんと楽しげに歩いている菫を見ていた。


「そういえば…、創真さん」

「ん?」

「このあともまた、パパのところですか?」

「ああ、まだまだ清人さん教わらなくてはならないことは多いからね」

 パパは右腕を失ってから……、本格的に創真さんを跡継ぎにしようとしているみたい。


 あの椿が来た日から一日経って、創真さんと菫と私、三人でパパの病室にすべてを話しに行った。

 なんだかその日、初めてパパに会うのが怖く感じている私がいた。

 病室に入るとパパはベッドの上で窓の外を見ていて、その右肩の下は包帯がぐるぐると巻かれていた……。


 そして創真さんがそんなパパに説明を始める。

 ……けど、説明している間パパはずっと、窓の外をじっと見つめていた。


 説明が終わると、なぜかパパは創真さんだけを残して私と菫は外の廊下で待っているように言う。

 その間、廊下にある長いすに二人で座って待つ私と菫。

 菫はずっと下を向いたままで、私も何も言えず、ただ黙々と待っていた。

 そしてどれくらい待っただろう、創真さんが扉を開け、やっと病室から出てきた。

 私と菫が近づくと創真さんは「本当に……、自分を一人前だなんて思っていたことが、恥ずかしい……」と小さくつぶやいた……。


 あれからパパと創真さんは毎日のように会っていた。


 あのとき何を話したのかはしらないけれど、二人の様子を見てみると、むしろ今までよりもずいぶんと仲良くなったように見える。

 まるで本当の親子みたいに。


「よくパパは、私たちのこと許してくれましたよね」

 もしかしたら創真さん、病院やめさせられたりとか、しちゃうのかと思っていた。


 ……でも、創真さんは、

「許してなど……くれていないさ……」


「え、でも……、パパは……」

「……だから私は今、あの人の期待に応えたい。そう思っている」


 ……私には意味がよくわからなかったけど、でも確かなことは、最近の創真さんは今までよりずっと、大きく見えていた。





 ふと見ると、前を歩いていた菫は、いつの間にかずいぶんと離れていた。

 菫は今も夢中になって道と遊んでいる……。


「……菫は夜、まだ……?」

「……ああ、昨日も…、うなされていた……」

「そう……。むりも…ないよね……」


 菫はあの日から、夜寝てるとき、よくうなされているらしい。

 時には夜中ずっと、ベッドの上で泣いていることもあったって……。

 菫は表にあまり出さないけれど、心はとても辛いのだと思う。


「何とか……ならないのかな?」

 創真さんはどこか遠くの方を見るように……、

「……たぶんこれは、菫がこれから一生涯背負っていかなければならないもの、なんだと思う」

「一生……こんな……」

 そんな、だって……、それじゃあまりにも……。


「もしかしたら、菫は捕まって処刑された方が……、これから辛い思いをしなくてすんだかもしれない」

「えっ……」

 処刑……? 

 そう…だよね。捕まったら……、そうなんだよね……。


「……あのとき、椿を埋葬するとき、菫は、あの菫は…、見ているだけで辛かった……」

 創真さんは普段あまり見せない、険しい顔をした。


 あの林に椿を埋葬するとき、私はパパの看病をしていたから、その場にはいなかった。

 公にできないことだったから、子どもが横になれるくらいの普通の木箱を少しだけそれっぽくして、椿を埋葬したらしいけど……。


「特に、椿に土をかけるとき、あのときの菫は、とても…。私は菫のことを途中から見ていられなくなった……。彼女…の心が、癒されるのは…、いや…………〝あれ〟が癒されることなんてあるのか……でも、」

 でも創真さんはそれ以上続けずに、今度は私の方に顔を向けて……、


「私は…、これからもずっと菫のそばにいてあげようと思う」

 創真さんの目は、とても力強くて、そして……とても暖かかった。

「……私も、そばに、椿ちゃんにはおよばないかもしれないけど、菫のそばに…、ずっと一緒にいようと思いますっ!」




「ソウマぁ、キャミぃ、どうしたのぉ!」

 私と創真さんが自分の後ろにいないことに気づいたみたい、

 菫が口に手をやって私たちを呼んでいる。

「菫……」

 そんな菫を見て、


「なんでもないよ!」


 創真さんはそういって、

 優しく微笑んだ。





 菫が背負ったもの、

 これからずっと、背負い続けていかなければならないもの……。

 それがどれだけ重たくて、

 どんなに辛いものか、私にはわからないけど……、

 でも私たちがずっとそばにいれば、

 その涙ぐらいは、ぬぐってあげられるかもしれないから……。



 冬は始まりをむかえ、一段と寒くなっていくベニーナの街。


 木枯らしが吹いて時折凍えてしまいそうなときもあるだろうけど、

 たぶん私たちは、これからもきっと……、

 大丈夫。



おわり




あとがき



修正は最小限と書きましたね……。

あれはうそです!


我慢が……できなかったんです……。



遅くなってしまいましたが、

ここまで読んでいただいてありがとうございました!



あらすじでも書いたとおり、この物語は私が22・3歳位の頃、小説の新人賞へと賞金目当てに出品するために、身の程知らずに書き始めた、私の処女作になります。

始めて書いた小説ということで、思い入れも深く、出来、評価がどうあれ、とても大切に保管していました。

 でも、誰かに読んでいただいてこそ小説ですよね。最近になり、この物語を思いだし、あの四苦八苦しながらも、一つの作品を書出した日々を思い出し、たいしたものではないと思いつつも、また誰かに読んでもらいたいなという想い、それがふつふつと、そしてがまんしきれなくなって、とうとうこうして全ての章を、投稿することとなりました。ほんの少しでも楽しんでいただけたでしょうか?


(※以下、内容の薄い裏話となります。ご注意ください)


それにしても……、正直なところ、本当は、もう一度程度、誤字のチェックだけして、ほぼワードのデータをコピペするつもりで投稿し始めたのです。

ですが…、読んでいると、誤字の他に、書き足したいこと、無駄だと思う表現過剰な文、ましてや自分で読んでも意味がわからない表現や描写まであって……。

さすがにこれは、さすがにこれは、と、ちょっとずつ修正範囲が広がり、最終的に、1段落を8段落に分割したり、最後の章に至っては台詞を丸々カットし全く違うものに差し替えたり……。

……でも、いいんです。

大切なのは読んでくれている人が、楽しんでくれることですもんね!

特に段落を分けて見やすく編集することは、もっとはじめからした方が良かったと、反省しています。

そう考えると、序章などはほぼ当時のまま、ほとんど編集することなく出してしまったと、そのことの方が、非常によくなかった気がしてきました……。


ところで、久しぶりにこの物語を自分で読んでみて、ちょっと気がついたのところがあるのです。このお話の中で、少々言い訳させていただきたいところというか、突っ込みどころというものが、少なく甘く見積もっても、2つほどあります。

……それ以上見つけた方は、とりあえず……申し訳ありません。

ちなみにその2つの突っ込みどころの原因なのですが、私がどうにも、物語中に設定を書き忘れていたようです。

……申し訳ありません。

その2つは何かというと、1つはまず「椿と菫、強すぎね?」ということ。

設定はあったのです。あったけど、書かなかったのです。というのも、何が起こったかというと、元々、過去という章、あれは3人称視点でエイクリット時代の椿と菫の二人を書く予定でした。そのなかで詳細ではありませんが、強さの秘密を書くつもりだったんです、その設定を!

でも、予定は変更されました。その過去が長すぎたのです。

考えていた過去の物語の、3割ほどの話を書いたのですが、特にこの後のストーリーに対して重要でもないということに気がつきオールカット。あのように鳴原の一人語りという形にしました。

そして、いつしか忘れ去られてしまたのです。椿と菫の強さのその秘密を……。

そもそも、その設定を書くと、別の物語になってしまいそうなので、あんまり書きたくもなかったのですけどね。

ちなみにですが、6歳の時の〝あの事件〟は、その秘密に関係したものでした。


そしてもう一つ、最大の突っ込みどころ、それは「創真? こんな男いねえよ!」というもの。

ソウマの最初に考えたコンセプトは、少女漫画に出てきそうなイケメンでした。

ホント……一番書くのに苦労したキャラクターだったんです……。

私がこれを書いたのが22とかその程度の歳の頃。そんなしょーもない22程度の輩が27歳のパーフェクトイケメンを書こうとしたのが間違いだったのです。

そこで考えました、ない頭をひねったのです、ソウマはなぜあんなイケメンになったのかを。そしてできたのは二つの設定、この設定でソウマの存在の現実味を少しでも確保したつもりではありました。その1つは物語上でも書いた、妹のサクラのこと。幼き日に、実の妹を亡くし、その責任を感じて生きてきたことです。そしてもう一つ、これを物語中はっきりと書くのを忘れていたというか、書いたつもりで、書いてなかったというか……。実はソウマと妹のサクラは小さな頃、老夫婦に引き取られた養子でした。だからあんなにソウマはまじめなのです。だから創真・ソレイスという名前なのです。だから今は一人であんな大きな家に住んでいるのです。ちなみに、その設定を考える前の名前は、沢村創真でした。ガチイケメンネームですねっ! ホストではないです!


そう考えると……、

こんな設定を書き忘れているような、未熟な作品を最後まで読んでいただき、本当にありがとうございました!


こんな、序章で8・9割の方がブラウザバックしそうな作品を、最後まで読んでくださるなんて……。

 でも……読んでくれている方、……なんて、本当にいるのかな……。一人もいなかったりして……。ま、まさか…ね……。


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