ディスク8「幸福指数、不幸指数」
やぁ、元気かい?ところで皆は幸福と思うときと不幸だと思う時はどんな時だ?
人によって様々なんだが例えば……ほらあのお姉さんとか
お姉さん『あぁん!最悪ぅ!!服にワインがぁ、シミになっちゃうじゃない!』
ほらほら、あっちの男性とか
男性『やった!ラッキー!500円拾った!タバコ代浮いたなぁ』
人には幸せと感じる時と、不幸せだと感じる時と差がある。
しかし、それを幸せにしたり不幸にしたりするには理由がある。
その理由が『人生』さ。人生には幸せ、不幸があってできている。それを与えるのが神と悪魔。さぁ、当時の俺はどうしてたっけな?
昨日の学食依頼気になったあの言葉
竜胆『君は何者だ?』
何者だって、俺は普通の人間だってば。俺自身ちゃんと自分を理解しているかと言われたらしてはいないけど。
ちなみに今から朝風呂に入るつもりだ。佐々木皐月の姿は見てないんだが。
待て、今風呂場からシャワーの音が聞こえるぞ……アニメ的展開なら間違いなく中だ。なら行かないのが妥当。
俺はゆっくり風呂場から離れるつもりだったのに、無残にも風呂場の扉が開く
皐月「おや、おはよう薫。君も風呂かい?」
こいつは男こいつは男こいつは男こいつは男こいつは男こいつは男こいつは男
皐月「どうしたんだい、怖い顔をして」
しかもさりげなく胸元辺りまでタオル巻やがってぬっころすぞ!!
「あぁ、いやなんでもない。うん。俺やっぱいいや」
皐月「ラッキーだったかい?僕の身体を見れて」
「男の身体を見て喜ぶやつがおるか!!!」
言葉を投げてから風呂場から離れた。結局風呂には入れずに
学園へ、佐々木皐月も一緒にだが
皐月「幸せと不幸ってなんだと思う?」
「いきなりなんだよ、気持ち悪いな」
皐月「質問に答えてよ。で?どうだい?」
幸せと不幸………んー
「お金を拾ってラッキーとか、お金を落として最悪だとかじゃないのか?」
皐月「半分あたりで半分はずれだよ」
「そもそも、幸せや不幸って人によりけりだろう?正解とかあるのかよ?」
幸せって感じたり、不幸って感じたりって様々だろ
皐月「まず幸せは誰が幸せにしていると思う?」
またわけ分からんことを……
「んなもん自分が決めるんじゃないのか?」
皐月「残念!はずれぇ、幸せは神様が上げている。じゃあ不幸は?」
「知らん。わかるわけないだろう」
幸せは神様とか、それじゃおかしいだろう
「じゃあ悪魔か?」
皐月「正解!よくわかったねっ」
よけいわからんわ、思わず頭を抑える
「で?それ二つは理由があるんだろ?」
皐月「もちろん。でも話しても今日のボランティアでわかるんだよ?」
ボランティアねぇ。一体なにすんだろ
「それでも前もってわかったら楽だろう」
皐月「仕方ないな、ミルクココアで手を打つよ」
「金というか物取るのかよ!?」
皐月「当たり前じゃないか、タダなんてダメダメ」
ちくしょぅ…不幸だ。その時入学してから付けていた腕輪のレンズが光っていたのを俺は気づかなかった。
通学路途中のコンビニでミルクココアを奢って、幸せそうにストローでちゅーちゅー飲みながら
皐月「そもそも、幸せと不幸せは対等に並び立つものなんだよ。それを幸福指数、不幸指数って言うんだ」
「なんだそりゃ、よくわからん。」
皐月「まず幸せと不幸せが対等と言うのはその人が1日で受ける一定量を指すんだ。例えば、薫が今日財布を拾った。もちろん嬉しいの半分罪悪感半分のはずだよ。拾った、貰っても大丈夫だけどあとを考えると怖い。この時点では拾ったことに対して不幸になる。しかし、見つからなければ問題ないというとこで幸せになる。まだこの時は幸福指数と不幸指数は対等なんだ。」
要するにどっこいどっこいか。
皐月「そして、それをそのまま持ち去ると薫の幸福指数は不幸指数を上回る。そこを修整するのが悪魔。その悪魔が上回った分の幸福指数を減らして対等にするために何かしらの不幸を与えるんだ。わかるかい?」
「所謂ネコババしたからバチが当たるって訳か」
皐月「まぁそう言う事だね、そしてその財布を持ち去らずに交番に届けたとしよう。その後薫は届けるんじゃなかったな、あーあってなる。そこで不幸指数が幸福指数を上回ってしまう訳さ。それを修整するのが神様さ、不幸指数を減らして対等にするためにね。」
それなら皆同じことになるのか?落とし主は落としたことに不幸になるが、どこかで幸せになると。なるほどな
「なんとなくわかったけど、それとボランティアに関係があるのか?」
何となくそれを聞いてみた。
皐月「その神様や悪魔の手伝いをするのが所謂僕ら研修生の役割って奴さ」
は?待て、俺もそれをやるのかっ!?
「俺はまだ悪魔やら神やらの何かすらわからんのだが?」
皐月「それを見つけるためにやるんだよ。ま、薫なら悪魔に向いてるかも?」
皐月はねっとりした目で見てくる。
「最近頭が痛くて不幸指数上がってるんじゃないか俺は」
皐月「おや、それなら早く修整してもらわないとね?」
ギャグか?お前が半分以上頭痛の原因なんだけどな。
話しているうちに学園に着いた。クラスに入らずに保健室にいくと
竜胆「なんだ君か。おはよーさん」
デスクにうつ伏せで手だけ振ってきた。
「先生仕事してくださいよ、保健室でしょ」
竜胆「怪我人とかいないし、仕事なんかない。なんなら怪我する?」
駄目だこの人なんとかしないと。俺が入った後に続いて
沙玖夜「ん、なんだ薫かつまんない顔してるからわからなかったわ」
こいつらな。ぬっころすぞ!!てかファーストネームかよ、もう諦めたけど………
「今日はボランティア見たいだし、神城は本当に参加しないのかよ」
沙玖夜「私は優秀だし、もう神様だから問題ないし。あんまり言うなら頭禿げるようにするわよ」
まだ禿げたくないわ。高1で禿げとか
竜胆「まぁまぁ、とにかくボランティアには私もいくから、君はちゃんと参加するよーに。放課後に行うからな」
「わかりました。じゃあそれまでは――」
竜胆「肩もんでよ肩っ!」
もうやだこの保健室………とかいいながら肩を揉み始める
竜胆「あぁ…いいぞ村人ぉ…はぁん!」
「変な声ださないでくださいよ!!学園っすよ!?」
竜胆「ば、ばかな。君は今興奮している……んあ!?いたたたた!!!わか、わかったからやめてくれぇ!」
「次変なこと言ったら下痢ツボ押しまくりますんで」
やっと真面目に肩を揉みを受け始めてくれた。俺はふと気になったことを聞いた
「先生は悪魔なんすか?神なんすか?」
たったそれだけのことなんだが
竜胆「それを聞いてどうするんだい?何かあるのか?」
「あ、いえ。気になっただけっす」
なんだか、聞いちゃいけないことだったみたいだ。その後時間はすぐに過ぎていき、放課後にはなる。グランドに生徒が集まり、フェリーに乗り込み本島に向けて出発した。フェリーにいる間にボランティアでやることを説明をしていく先生達。
担任「ボランティアは本島各地に在中する神様や悪魔のお手伝いをする。神様や悪魔も人手不足だからな、しっかり仕事するように!幸福指数や不幸指数を知るにはその腕輪を人間に向けるだけでわかるからな!以上だ!」
話が終わると、隣に座っていた魔子が話しかけてくる
魔子「楽しみだよねっ!薫はどっちをやるの?」
「わからん、適当にするわ。まだよくわからないし」
俺はフェリーが目指す本島を見てから、腕輪を見る。
「本当に妙なとこに来ちまったよ……これは不幸なのか?それとも……幸せなのか?誰か教えてくれよ」
呟くだけ呟いたら、俺は深呼吸をして。晴れた空を見つめた。