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JKが神さまとか、幼馴染みが悪魔とか聞いちゃいない。  作者: 双葉
本当の事、これからの事
12/21

ディスク12「薫と約束」

「は?殺されたって、そりゃどういうことなんだよ?理解が追いつかないんだが?」


黛「すみません、言い方が悪かったかもしれませんが。数年前、私達家族はこの屋敷に雇われ給仕として来ました。母と私はメイド、兄はもちろん執事として。最初はなんの問題もなく過ごせていましたが、ある時私達家族が魔族であることがバレました。」


沙玖夜の家は神族、魔族だとバレたらそりゃヤバイだろう。だがそれと兄の死になにが関係あるんだ?黛は話を続ける


黛「私達は少しの間、部屋に監禁されていましたが兄だけは働かされました。理由はわかりませんが、沙玖夜様の母上が兄を気に入っていたからだそうです。しかし旦那様がそれを気に入らないとし、兄に体罰を働きました。私はもちろん母もそれを辞めるように言いましたがそれはエスカレートしました。」


薫「なんてひでぇこと、警察には言わなかったのかよ」


黛「人間とは違うんです、神の力をすればなんでも打ち消せる。体罰は無くなりましたが、ある日私達がこの屋敷を去るために準備をしていた時でした。兄が車に轢かれたと報告が入りました。轢いた車はこの屋敷の乗り物でした、犯人もわかっていました。しかし、母はなんとも思っていませんでした。」


黛は写真立てを抱き締め、俺の正面に立つ


黛「母の記憶から、兄が居た存在を消されてしまったのです。旦那様の手によって」


薫「…………そうだったのか」


沙玖夜はそのことを知っているんだろうか?俺は黛の目線に合わせてしゃがむ


薫「確かにどれだけ辛いものか俺にはわからない。だけど、お前ん中では兄貴は生きてんだ。元気出せとか簡単に言えないけどさ、お前がここにいるのは沙玖夜を恨んだりしてないからだろ?」


黛「そんなのわからないじゃないですか、私が沙玖夜様を殺すかもしれません、作戦をずっとずっと練り続けて今日にでも殺すかもしれませんよ?」


ちょっと黛は息を荒立てる。だから俺は言った


薫「お前じゃ無理だよ、人を殺すだなんて。」


黛「私の何がわかるっていうんですかッ!!」


薫「わかるよ、今すぐ殺せないやつが。なんで兄貴が殺られたあとに殺らなかった?それはお前が母親の顔を潰せないからだ。お前は人を大事にしたいからだろ?だったら、お前はお前らしく生きてお前が兄貴を覚えておいてやれよ、それにさ」


黛は涙を流しながら俯く、俺は黛の頭に手を乗せる


薫「俺も覚えておいてやるよ、お前の兄貴。全然知らないけどさ、共有くらいならいいだろ?」


黛「!?兄様………」


黛は突然そんなことを呟く、待て幽霊とかやめてくれよ?!


黛「兄様も、頭にこうやって手で撫でてくれました。掌が兄様とそっくりで……」


薫「そ、そっか。黛がしてほしいならたまにならやってやんよ、うん。」


我ながら恥ずかしい事を言っておる。爆発したい、マジで。黛は少し笑顔になる


黛「あんまり、調子に乗るなら紅蓮剣(レッド・バースト)で八つ裂きにしますよっ?」


笑顔だけど言ってることは中二病かよ……いや、まぁいいけどさ。黛は写真立てを元の棚に戻しながら


黛「薫さま、さっきの言葉は約束ですよ?忘れませんから。」


薫「さっきの言葉?なにか約束したか?」


黛はこちらに振り返り、とびきりの笑顔で


黛「なんでもないですっ!」


薫「なんだよ、気になるじゃないか。」


会話も終にして、パーティーの準備を再開した。他の客間も清掃していき、俺と黛のペアの任務は終了した。一度屋敷の玄関ロビーに戻ると


沙玖夜「ん、居たの薫。千夜もお疲れ様ね」


薫「俺はついでかよ、それよりパーティーって何時からだ?」


沙玖夜「あと1時間くらいね、まーそれまでは好きにしてれば?私はまだやることあるから」


沙玖夜が俺達の前から去ろうとしたが


薫「ちょっと待て、沙玖夜に言わなきゃいけないことがあるんだよ」


黛「か、薫さま?!まさか」


俺は黛の頭に手を置く、そして


薫「こいつ、今日から俺の友達になったんだ。たまには友達と遊んでも問題ないよな?」


黛は考えていたこととは違ったセリフが出てきたらしく、びっくりしていた。沙玖夜は


沙玖夜「そう、友達なら仕方ないわね。千夜も休みなさい、薫?変なことしたら天罰だから!神様は簡単に天罰を下すこともできるんだからね」


薫「わかってるよ、と言うわけだしパーティーまでどこか行こう黛」


黛「へ?あでも!」


沙玖夜は黛の言葉を無視して手をひらひら振りながら歩いていった。


黛「あくまでも私は沙玖夜さまのメイドなんです。仕事がなくなったらやることが……」


薫「よしわかった、今からパーティーが始まるまで俺がご主人様になってやるよ」


ニコッとする俺、うん、イケメンだ!決まったぜ!


黛「断罪しますよ、気持ち悪い。こんなご主人様は死刑ですね極刑です。」


薫「お前酷い奴だな本当に、んじゃどーすんだよ」


俺がある気だそうとすると、手を握られる。黛の手は小さく弱々しい手。


薫「なんだ?いきなりさ」


黛「庭にある花壇に行きましょう」


薫「あ、あぁ。わかった。花壇な」


時間も勿体無いので早速花壇へ行くと。花は一切咲いていない、土だけだった。


薫「花壇っていうか、砂場?なんもないじゃないか」


花壇を見ながらそう呟くと黛は、俺より一歩前に出る


黛「まだこれからなんです。この花壇だけは好きにしていいと沙玖夜さまが仰ってくださいました。ですから、私と一緒に花壇をお花一杯にしませんか?」


なんだ、新手のプロポーズか?思わず照れる俺は


薫「お、おういいぞ!花一杯にしてやる。約束するよ!」


ぎこちない返事だが、ストレートに伝える方が人は理解しやすい筈だ


黛「はい、破ったら。極刑(デス・ロウディ)ですからっ」



小さいくせに、でかい事は言うんだよな。この中二病は。

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