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JKが神さまとか、幼馴染みが悪魔とか聞いちゃいない。  作者: 双葉
本当の事、これからの事
11/21

ディスク11「君の想ふ心。」

今日も雨で部屋にある窓の向こうは、朝にしては薄暗い。

雨は嫌いじゃないが気分はスッキリしない自分がいる。


「土曜日で学校もないのにどこにもいけないじゃんかよ」


俺がボヤいていると、どっかに行っていた皐月が帰ってきた。


皐月「おや、起きていたのかい?まぁ雨だし出掛ける気にはならないよね。わかるよ」


「いや出かけてたじゃないかお前」


皐月は自分のベッドに腰を掛け、足を組む


皐月「実は今日の夜は神城家のパーティーに呼ばれているのさ。そのための服を買ってきたのさ」


「パーティー?金持ちはやることがちがうな。ま、俺には関係ない話し出し。一日寝て過ごすかなぁ」


俺は布団にもぐる。すると皐月がドサッと俺の上に乗っかってくる


「ぐぉ!?ば、ばか離れろ!!」


皐月「おやおや、顔が赤いっ!ボクは男の子だよ?」


「知っとるわい!だからこそ離れろ!男が好きなのか?!」


皐月は馬乗りのまま話を続ける


皐月「男?嫌いだね。ボク自身男であることを嫌っているけど、薫は別腹だよ?ふふ」


皐月はぺろりと、俺を食べそうな顔で見てくる。


「離れないと腹殴るぞ、てか暑いわ!!!」


皐月を払い除けた。ほっぺたを膨らませるが


皐月「なんなら、来るかい?パーティーにさ。君なら彼女も喜ぶんじゃないかな?」


「そーかぁ?普段からあまりいい感じにはしてくれないからなぁ。」


沙玖夜はツンデレというか、ツンしかないような。まぁまぁ睨んでくるしさ


「てか、パーティーって招待状とかないとダメなんじゃないか?」


皐月「普通はね?だけど同伴者なら大丈夫だよ、どうだい?」


皐月の誘いに乗るか考える。パーティーなんて誕生日くらいで恐らく金持ちがやるパーティーなんて規模が違うはず。悩んだ結果。


「んじゃあ、せっかくだし参加させてもらおうかな」


皐月「そうくると思ったよ。服装は自由だから夕方まではゆっくりすればいいよ。ボクはちょっと出掛けるけど」


「またか、んじゃ俺も飯食うかな」


部屋を出た俺達、皐月は寮の玄関のある方向へ。俺は食堂へ向った、食堂に着くと魔子の姿を見つけた。


「お前も飯か?お前にしちゃ遅いじゃないか」


魔子は椅子に置いてあった紙袋をテーブルに出す。


魔子「今日パーティーに誘われたのー、それでパーティー用のドレスを買いに出かけててさぁ。魔子パーティー初めてだからわからないよー」


魔子はパスタをむさぼりながら嘆く。俺も厨房に頼んでいたオムライスを受け取り魔子の正面に座る。


「なんだ、お前もか。俺も皐月に誘われたんだよパーティー」


魔子はガタッと立ち上がる。


魔子「薫がパーティー!?ど、どこ!?私もそっちにいく!」


魔子がかなり近いです。顔近い近い!!俺は立ち上がった魔子を座らせる


「ほら、神城沙玖夜のとこだよ。よくわかんないけどな、金持ちのパーティーなんて」


俺はオムライスを頬張りながらそう話す。さっきも言ったがパーティーなんて誕生日の時くらいでかなり小規模で庶民的な感じのやつ。貴族様がやるパーティーなんてまずやったことも行ったこともない。


魔子「神城先輩のとこって、魔子が行くパーティーと一緒だっ!やった!これで話せる相手が見つかった!」


魔子はパスタをツルツルすすりながら喜んでいるが、気になったことがあった。


「お前って沙玖夜、神城と面識あったんだな。俺は保健室で知り合ったくらいだが」


魔子「あー、ほら。神と魔って仲悪いらしいからお互いを知ってるんだとか、昔の話だから今はそんなしがらみなんてないけどね。オムライスちょっとちょーだい」


勝手にスプーンを奪い取り、オムライスを食べる魔子。


………は?勝手にスプーンを奪い取る?


「お!?おま!!お前関節キスじゃねぇかぁ!!」


俺はガタッと立ち上がる。


魔子「はむっ。んー?別に幼なじみなんだからいいじゃなぃ?魔子のパスタ上げるしっ!はい、あーん」


「しねぇよ!つか幼なじみがまずそんな至近距離的なことしねぇよ!!恥ずかしい!もういいっ!先に戻るからな!」


オムライスを流し込み、俺は学食を離れた。



魔子「………はぁ。どんかん、だから彼女できないんだぞ。でも、魔子は薫を守るからね。……」



学食から部屋に帰ると、知らないドレス姿の女の子が居た


「あ、あのー。部屋間違えてません?」


紫色の短い丈のドレス。エロい……太ももが。じゃねぇよ!!


「ここ男子寮なんで、間違えてますけど」


皐月「間違えるもんか、ここはボクと薫の部屋じゃないか。」


「さ、皐月?まじで?」


皐月「マジ、かなりマジだよ」


「ま、まさか、パーティーの服って。」


皐月「どうだい?少し変な気がするんだが。まぁ気にしたらキリがないからね」


いやいやいや、ドレス着てるのに違和感を覚えない方で違和感を覚えたわ!てか、めちゃくちゃ似合ってるじゃないか。いやいやいやいやいや!男だから!こいつ男だから!


「あ、あぁ。てかまだ夕方まで時間あるのに早いな。」


皐月「パーティーの準備も手伝うのさ。君もこい。」


突然の手伝い。いや、まぁ暇だったし構わないけどさ。俺はとりあえず制服に着替えた。


皐月「パーティーの服じゃないのは残念だけど。学生服の薫も素敵だよ」


「や、やめろ。さ、寒気とか色々やばいから」


本当に男と言われないと一生女だって思う。詐欺師め。俺と皐月は寮の玄関に向かうと、あの黒いリムジンが止まっているのが見えて、後部座席の扉が開くと。メイド服を着た幼女が……


「あれ、まさか。黛さん?」


黛「さん、は要りません。黛でお願いします。」


なんだか前とは違って丁寧だ、メイドだからか?よし、試しに


「なぁ、邪気眼」


黛「…………コロス(めっちゃくちゃ小声)」


「ごめんなさいもうしません」


やめよう、不用意に弄るのは。皐月が俺より一歩前に出ると


皐月「では、今日のパーティーのお手伝いをさせて頂きます。佐々木皐月です。」


すっごいお姉さんみたいな喋り口調。うん、こいつ女だ。


黛「はい、皐月様ですね。お嬢様から聞いています。」


「あー、俺はむらび――」


黛「紹介はいいので、行きましょう。……はよ乗れ」


もうやだ、帰りたい。なんで黛こんなツンツンしてんだよ……車に乗り込んだ俺達は学園から近い沙玖夜の屋敷へと向った。その道中


「黛って沙玖夜のメイドだったんだな。聞いてはいたがビックリだよ」


黛「別に隠してはいません、聞かれたりしていないので。というか、あまり探るなら紅蓮の火焰(ヘル・ブレイズ)の餌食にします」


あ、いつもの黛だ。ちょっと安心した俺がいるがやっぱ、人は自分を出さないとな、うんうん。俺は1人納得していると


皐月「どうだい黛さん。学園は慣れたかい?」


まぁ普通な会話だけど、なにか引っかかる。黛は俺たちと同級生で入学式は一緒のはずなんだが


黛「普通です。」


冷たいような一言で返される。


「友達はできたか?彼氏とか」


黛「潰しますよ」


「すみませんでした」


下手なこと言えないじゃないか、まぁ変わった奴だし友達とかできそうな………感じはないか


黛「もう屋敷に着きます」


車は屋敷の正門を潜り抜け、玄関前で停車した。運転手が扉を開けて、黛が屋敷の玄関扉を開ける。


「な、なんちゅう豪邸なんだよ………眩しい」


赤い絨毯やらシャンデリアやらなんやらで、とにかく場違いな感じがする。浮いてる


黛「皐月様はあちらのメイドと、村人さんは私と来てください。」


「あぁ、それと別に薫でいいぞ」


一人だけ『さん』とかあれだし。


黛「…………………………………わかりました」


めっちゃくちゃ長い間を有難うございます。俺と黛はパーティー会場とは別の客を待たせる部屋の掃除を始める。黛は無言の作業、俺は窓拭き。


「あのさ、黛って沙玖夜と一緒に住んで――」


黛「……………」


無視っすか…いや、諦めるな。神様は努力している人間には必ず手を貸してくれるはず!


「あのさ、お前なんでそんなに素っ気ないんだ?いつもだったら『ふふ、私の死神鎌(デス・サイス)で首を狩りますよ』とか平気で言うのに」


黛「今は作業に集中してください。蹴りますよ」


んー、なんか違う。初めて会った時となんかなぁ。俺は窓を拭くのをやめてソファーにドカッと座る。


黛「職務怠慢とは良くやりますね、私の前で」


「やってられん。何でも楽しくなくちゃ長続きなんかしない」


俺はあえて悪ぶってみる。黛も手を止めたみたいだ


黛「さっきから、私に何を喋らせたいのですか?」


「なんでも喋ればいいじゃないか、それになんで元気ないんだよ?」


黛は少し俯く。数秒後に口を開く


黛「貴方にはわかりません。話しても、貴方はただの人間。神や悪魔と言った部類ではありませんし」


「話して見なくちゃわからないだろ?最初から諦めるやつは最初からゴールなんか見えねぇよ」


黛は少しイライラした表情を見せ始める


黛「貴方に私の何がわかるんですかっ!!」


「わかるよ。お前が何かに落ち込んでることくらいなら。それが関係あるんだろ?」


そう、客間に飾られた写真立ての中に男性の写真。黛は何度もその写真立てを見ていた。


黛「だからなんですか、別に関係ないじゃないですか」


「顔、よく似てるよな。」


黛「な!?なんでお兄ちゃんってわかるの!?」


「うぉ!あてずっぽだったんだけど………」


黛「え?あてずっぽ?…………」


黛はあたふたした顔を見せるが、すぐに落ち着く


黛「そうです、この写真は兄です、たった一人の家族。心を許せた、唯一無二の存在。」


「なら兄貴と話せばいいじゃないか、家族なんだろ?」


たった一人の家族をあえて聞かなかった。なにかあるからだ、聞くのはマズイと思ったが


黛「話せたら苦労しませんよ。兄は、神城家。神に殺されたんです」



………………



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