三話
ライの部屋
その部屋には真面目に資料と格闘している魔族の女と適当に資料を読んでいる九尾の姿があった、まぁ実際は尻尾を一本にしているので一尾だが
「明日奈ちゃんと読んでるの?それ!」
「大丈夫だって、大した事は書いてないからさ」
一応読んではいるようだ
「もう!ちゃんと読みなさい!」
「えー、良いじゃんどうせ持って帰るんでしょ?下っ端の奴等に任せたら良いじゃん、なんで幹部の私がこんなめんどくさい事しなきゃいけないのよ」
明日奈はとにかくめんどくさいのだ
「駄目よ、私達が幹部だからこそこう言うのはちゃんと調べないといけないの!」
「はいはい、真面目なんだからリナは」
明日奈は先程とは違い真面目に読み始めた
そして三十分位が過ぎ明日奈とある資料に気になる名簿を見つけた
「ふぁ眠くなっちゃうよこんなの、おっこれは」
明日奈が見ている資料には協力者名簿と書いてある、どうやら各国のデスイーターについて調べている者達の名簿のようだ
「リナ!見てよこれ、協力者名簿だって」
「あら、良い物を見つけたわね」
リナは明日奈の隣にやって来て、名簿の名前を見る、リナが隣でブツブツ言っているが、明日奈は気になる名前を見つけた
「協力者48人目、アリシアフィリア・・・」
その名前を見つけた明日奈の顔に笑みが浮かぶ
「ふふふ、アリシアさん、組織の事を調べてるんだ」
「ん?アリシアフィリアってアースフィリアの国王だったわね、これには流石に手を出せないわ」
リナは首を振る
「まだ、でしょ?時が来れば私達全ての国に宣戦布告をして戦争をするんだから」
「ええそうね」
二人はお互いの顔を見つめ笑みを浮かべながら更に名簿を読み進めて行く
「グラン王国の国王に第一王子の名前もあるわね」
「それにクリスティ達の名前もあるよ」
名簿には明日奈のかつての仲間達の名前もあった
「どうやら、数国が協力して私達の組織に対抗出来る組織を作ろうとしてるんだね」
「えぇ、潰すか潰さないかは響が判断するのだけれど面白い事になりそうね」
二人は残りの資料を読み、特に重要な情報が無いことを判断すると、その資料の束を響に見せる為に持ち帰った
響の部屋
二人は屋敷の警備にバレないように抜けると、安全な場所まで移動し転移した、移動して転移する理由は相手に魔導師がいると転移した時の魔力で侵入した事がバレるからだ
「やぁお帰り、明日奈」
「うんただいま響、ほら見てよ響、良い物を見つけたんだよ」
響は明日奈の頭を撫でながらリナから資料を受け取る
「ほう、これは」
「どうやら私達に気付いた奴等が対抗出来る組織を作ろうとしてるみたいだね」
響は名簿を顎をさすりながら眺める
「これは本当に面白い、どうやら本当に俺達に対抗するつもりのようだ、俺が自ら選んだ幹部達や、俺が直々に育てた明日奈がいる、俺の組織に勝てるわけが無いのにね」
「そうだね、勝てる筈が無いのに向かって来る、身の程知らずな馬鹿な人間共には思い知らせてやらないとね?」
響は頷く
「あぁ、良いだろう、彼等が充分な力を得るまでは放置してもね」
「ふふふ、面白そうですわ、私達に勝てると思って必死に力を集めたのにあっけなく負ける彼等の様子が容易に想像出来て」
リナは笑う
「そうだねリナ、これで本当に面白くなる」
世界は暗黒の時代に移ろうとしている
 




