一話
宿
明日奈は既に起きて尻尾の毛をといでいた
「ふふふーん」
ご機嫌な様子だ、明日奈が気分良く尻尾の毛を整えているとドアがノックされた
「はーい」
鈴はまだ寝ているので明日奈が出る
「えっと、どなたですか?」
「我々はアースフィリアの王都勤務の騎士団です、あなた方を迎えに来ました」
明日奈はこう言うしか無かった
「あぁそうですか」
馬車
明日奈はあの後仲間達を起こして、馬車に乗っていた
「ねぇ私達の中でこの国と王族と知り合いの人っている?フォード位?」
「いや、私もあったことは無い」
明日奈は考える、じゃあなんで王族に呼ばれるのかと、私か?とも思ったが無いなと思った
「まぁ会ってからのお楽しみだろ?王族に呼ばれるってのは嫌な予感しかしないけどな」
「そうですね」
三日後王都
アースフィリアの王都、真ん中に巨大な木が鎮座しておりその隣に城が立っている
「狼族や犬族、虎族に猫族にエルフ、本当に色んな種族がいるんですね」
「そうね、妖狐はいないけどね」
獣人やエルフはあちこちにいるが、人間はやはり余りいない
「しかし、人間いねぇなぁ」
「確かにな、この国では人間は肩身が狭そうだ」
四人は馬車の窓から国の様子を観察する
「王城が見えて来たわね」
白く美しい城が見えて来た
王城
明日奈達は騎士に案内されて、王の部屋に案内されていた
「ここが女王様の部屋です、あなた方はご友人と言うことなので特に気にせずお入りください」
明日奈はいつの間に知り合いになったんだろう?と思いながら王の間の扉を開けた
そしていきなり抱き締められた
「明日奈!久しぶりね!」
「アリシアさん!?」
そう、この国の王女はアリシアなのである
「ふふふ、驚いた?これが私の本業なの、あそこに転移ポータルがあるでしょう、あれは万屋に接続されてるの」
そう言ってアリシアが指をさした先には転移ポータルがある
「驚きました、アリシアさんまさか王様だったなんて」
「私もビックリしちゃった」
「あの双子も王女なのか・・・」
フォードは会った事が無いので、無言だ
「えぇあの子達も王族よ、アーシェが次の女王よ」
「へぇだからアーシェさんはあんなに頭が良いのね」
フォードはとにかく無言である、話に入れない
「あの子はリシアと違ってこの国で真面目に勉強してたからねぇ、リシアは勉強が嫌だからか良く万屋について来ていたわ」
「リシアさんは確かに勉強が嫌いそうです」
フォードはついに壺を見始めて騎士と語り始めた、話に入れないからである、背中が寂しい
「これは良いものだ!な」
「これはですね・・・」
壺を見ているフォードを無視して話は続く
「でもリシアは反面、私の剣の才能を継いだみたいでね、この国の騎士団長を十二歳で倒したわ」
「すげーな」
フォードは絵を見ている、騎士も同情しているのか着いて回り、絵の説明をしている
「それで、あなた達がこの国に来た目的は何なの?」
「うん、お父さんを探しに来たの」
行方不明のお父さんの事である
「この国にいるの?名前は?」
「アシュレイローグよ、このクリスティによく似た顔をしてるの」
アリシアはクリスティの顔をマジマジと見る
「そう、クリスティ君少し良いかしら、騎士に探させるからあなたの顔の絵を絵師に描かせたいの」
「おう」
クリスティは少し恥ずかしそうだが、了承した
「それじゃ、騎士に案内して貰ってくれる?」
「おう、それじゃお前ら行ってくるぜ」
クリスティはアシュレイの手配書作成の手伝いをするために出て行った
「それでそこのあなた、グラン王国の王子よね?こちらにいらっしゃい」
「すみません、女王様」
呼ばれたフォードは慌てた様子でアリシアの前に来ると片膝を付いた
「あらあら堅苦しいわね、楽にしなさいよ、あなたとは小さい頃にあったのだけれど、覚えて無いのかしら?」
「すみません、記憶にありません」
フォードはかなり申し訳なさそうだ
「本当、彼はあなたをちゃんと教育したのねぇ、次の王に相応しいと思うわよあなた」
「いえ、私は王になるつもりは無いのです、弟の方が向いています」
フォードはどうしても王としての座に付く気が持てないのである、グラン王国の国王もそれを理解しているので弟に次の王を任せるつもりだ
「あら、そうなの、あなたも立派な王に慣れそうよ?」
「いいえ、私は騎士団長になるつもりです」
フォードの目標は騎士団長になること、国の民を守る事なのだ、だから旅をして実力を付けようと思っている
「そうなの分かったわ、それじゃ下がりなさい、部屋は用意してあるからゆっくりと休みなさいね?馬車の旅は疲れたでしょう」
「うんありがとう、アリシアさん」
明日奈達は騎士に連れられ客室に案内された




