十三話王子との出会い
馬車
明日奈は試合を終え、鈴とクリスティの元に戻ろうとしたが、急に左右から現れた者達に両脇を掴まれ馬車に押し込められていた
「・・・それで?どう言うことなのかしら」
「申し訳ありません、主の命令なのです」
明日奈はかなり怒っている、いきなり連れ去られたらいい気分では無いだろう
「その主って誰よ?」
「この国の王子でごさいます、玉藻神狐様の娘、明日奈姫」
明日奈は驚いた、なんで自分が神弧の娘であることをこいつらが知っているのかと
「何故私がお母さんの娘だと言うことを知ってるの?」
「我が王国には妖狐族の里出身の妖狐が数人います、確かに数は少ないですが里から出て国に所属する妖狐はいるのです」
妖狐族は里から余り出ない、だがたまに里から出て旅をしているものもいる
「前も聞いたわねそんな話、じゃあその人に私の事を聞いたのね?」
「そう言うことになります」
明日奈は要件が気になった
「私の事を何故知っているのかは分かった、要件を言ってもらえるかしら?」
「要件は王子が話します、それにもう城に着きましたよ」
明日奈が窓から外を見ると、広大な城が見えた
城塞都市行政区
明日奈は執事に続いて行政区の中を歩いている、顔は全力で不満顔である、尻尾も機嫌が悪そうに揺れている
「ここでお召し物を着替えて下さい」
「なんでよ?」
執事が説明する
「明日奈姫様、あなたがこれから会うのは王子です、いくらあなたが妖狐族の姫であっても、それなりのお召し物を着て頂かないと不敬罪になります」
「ふーん分かったわよ」
そう言うと明日奈は部屋に入って行った、明日奈が入った後執事はガッツポーズをしていた
「あぁ良かった、本当は着替える必要は無いのですが着替えてくれて」
そう今回明日奈を拉致したのは王子が明日奈に一目惚れして、どうしても会いたいと言ったからなのである、王子はどうしてもドレスを着た明日奈を見たいと言うのでここで明日奈を着替えさせたのである
「王子後はあなた次第ですよ」
王子の執務室
ドレスを着た明日奈は王子の執務室の前に来ていた
「本当にお似合いですよ明日奈姫様」
「ありがとう、さらってくれた人に褒められても余り嬉しくないわ」
執事はご機嫌斜めの明日奈に若干冷や汗をかいたが、王子の為に耐えた
「それではお入り下さい」
明日奈が部屋に入ると王子が椅子に座り何か机の上にある紙に何か書き込んでいた
「王子、明日奈姫様がお越しになられました」
「あぁありがとうリチャード、お前は下がっていい」
そう言ってリチャードを下がらせると、王子は明日奈の前に来て片膝を付き明日奈の手を取った
「御無礼をお許し頂きたい妖狐族の姫、私はグラン王国の王子グリフォードグランと言う、フォードと読んでくれ」
「初めまして王子様、私は明日奈久城よ、それで私をいきなり拉致して何の用なのかしら?」
王子は明日奈の手を引き、執務机の前の椅子に案内した後自分の椅子に座った
「そうだな要件を言おう、私を君達の旅に同行させて貰いたい」
「えっと一緒に連れて行けって事?」
王子は頷く
「あぁそうだ」
「何故私達なの?騎士団と旅した方が安全じゃない」
王子の目的は明日奈に着いて行き告白することだが、あらかじめ考えておいた言い訳を言う
「親父にな今回の闘技大会で気に入った者に旅の同行を頼みその者達と一緒に旅をしろと命令されたんだ、それで一番気に入ったのが君だと言うことだ」
「拒否権は?」
王子は首を振る
「無い」
「・・・分かったわよ、勝手にしなさい、ただ死んじゃっても知らないわよ!」
王子は嬉しそうに言う
「それじゃ許可してくれるのか?」
「うん」
明日奈は頷く
「よし!それじゃ君はもう下がるといい、私はこれから色々手続きをせんとならんからな、後君の仲間もここにいる」
「二人も拉致したのね・・・分かったわ、これからよろしくね?フォード」
王子フォードは名前を呼ばれたのが嬉しくて仕方なかったが答えた
「あぁこちらこそよろしく頼む、明日奈」
こうして王子が仲間になった
客室
「二人ともいる?」
「明日奈さん!・・・綺麗です」
「よお、明日奈お前もやっぱり拉致されたのか」(つか何でドレスなんだ・・・なんだ?俺に対する挑戦状か?)
クリスティも鈴も急に現れた者達に拉致されたのだ
「あなた達も拉致されたのよね・・・二人に言っておくことがあるわ、新しい仲間が出来た」
鈴が首を傾げながら尋ねる
「誰ですか?」
「この国の王子よ」
「はぁ!?」
クリスティの驚きの声が響いた
王子は明日奈にベタ惚れです
ただ告白する勇気がないヘタレですが




