九話
天上界神狐の館
明日奈は身体強化をマスターしていた
「うむ、それならもう問題無いじゃろう、合格じゃ」
「本当?お母さん」
明日奈が少し首を傾げながら尋ねる
「うむ、暴走させる心配もなかろうて」
「そっか、教えてくれてありがとうお母さん」
神狐は明日奈の頭を撫でながら
「別に良いのじゃよ、愛する娘の為じゃ、それに今までお主に何も出来なかったからな、もっと教えたい事が有る位じゃよ」
「私ももっと教えて欲しいけどそろそろ下界に戻ろうと思ってる」
「そうか・・・それじゃ後で渡す物がある受け取ってくれるかのぅ?」
明日奈は嬉しそうに頷く、母からの初めての贈り物だからだ
「嬉しいよ、お母さん何なの?」
「それは家に戻ってからのお楽しみじゃ」
神狐の部屋
神狐は何か机をゴソゴソ弄っている
「あったあったこれじゃ、開けてみろ」
神狐は箱を明日奈に手渡した
「うわぁ、綺麗なペンダントね」
箱を開けると青い明日奈の瞳に合わせたペンダントが入っていた
「うむそれは魔力を流せばいつでもワシと話せる機能といつでもここに転移出来る機能を持った物じゃ、昔お主の為に作ったんじゃがのぅ今まで渡せんかった」
「嬉しいよ!お母さん、ありがとう!」
明日奈は早速首に付けてみた
「ねぇ?お母さん似合ってる?」
「うむ似合っておる、流石ワシの娘じゃ」
明日奈はとても嬉しそうな笑顔で
「えへへ、大事にするね?」
と言った
「それでのぅ、それも渡したかったのじゃが別にお主にやって欲しい事があってのぅ」
「えへへなぁに?お母さん」
今の明日奈はかなりご機嫌だ、恐らく裸になれ以外ならなんでもするだろう
「うむ、アシュレイを探して欲しいのじゃ」
「お父さんを?」
行方不明のお父さんの事である
「そうじゃこの前写真を見せたじゃろ?見つけたら一発腹を殴ってここに連れて来て欲しいのじゃ、奴もお主に渡したペンダントの色違いを持っておるからここに簡単に転移出来る筈じゃ」
「分かった身体強化のパンチを取り敢えずぶち込むね?そしてそのあとここに連れて来る」
この時アシュレイは変な悪寒を感じたそうだ
「頼むぞ、もう十五年も帰って来とらんからな、そろそろ会いたいのじゃ」
「分かった、待っててねお母さん」
天上界神狐の館の前
翌日明日奈は下界に戻るために神弧としばしの別れを告げていた
「明日奈寂しくなったら、尻尾が下がりきる前に帰って来るんじゃぞ?」
「うん、このペンダントがあるからね」
明日奈は首に付けたペンダントを触る
「風邪はひくなや?怪我はしちゃいかんぞ」
「分かってるよお母さん、じゃ行って来ます!」
「うむ行ってらっしゃい、愛しき娘よ」
明日奈は母の元から旅立った
天上界平原
明日奈は相変わらず広いなぁと思いながら平原を歩いていた
『ヘーイ!愛しのハニー帰り道はあっちだぜぇ?』
「またあんたか、生きてたのね・・・まぁ道を教えてくれてありがとう、そして死ね」
バキっ、また看板は蹴られたようだが
『フフフ、ヘーイヘーイハニー俺は主様に強化して貰ったんだ、これ位平気になったんだぜぇ?』
「その割りには凹んでるじゃない」
確かに少し凹んでいるし何故がホバークラフトで浮いている
『ヘーイ、だが壊れなかったぜぇ?しかも飛べる、俺も強くなってるのさ』
「ふふふ、そうねあなたも強くなったのね、でも私も強くなったんだよ?」
明日奈は身体強化を使う、さらに強くなった、足で看板を蹴り飛ばす
『ちょ待ってくれよ!ハニー!』
「知るか、馬鹿じゃないの?」
会心の一撃看板君mk-2は倒れた
「さてと、行きましょう」
そうして歩き始めた明日奈を泣きながら見ている妖狐がいた
「ヘーイ、看板君mk-2もやられたか、だがいつかきっと打ち勝ってやるぜぇ?」
妖狐族の里転送室
明日奈が戻ると明らかに慌てて集まった様子の妖狐たちが片膝を付いて座っていた
「はぁはぁ姫様、良くぞお戻りになられました!」
「・・・慌ててたのは分かるけど、少し息を整えなさい」
明日奈がそう言うと妖狐たちは尻を付いて休み始めた
「はぁ、全くこの人達は・・・あっ二人とも久しぶりね!」
「おう明日奈よく帰って来たなって言うと思ってんのか?お前三ヶ月も何してやがったんだ!」
明日奈はドヤ顏で答える
「えっ?何してたって、お母さんに甘えてたのよ?」
「お前なぁ・・・でも何か変わったなお前」
「そうですね、前も元気でしたけど、今はもっと元気ですね」
明日奈は少しムッとした顔をする
「あなた達って・・・何か私が馬鹿な子みたいじゃない、さて明日からは城塞都市を目指そっか?」
「あぁ次の目的地だからな」
「はい!頑張りましょう」
そして明日奈は思い出したように言う
「あっ!そう言えばクリスティ、私とあなた従兄弟同士だから」
「はぁ!?」
ペンダントには別の機能もあるのです




