五話
デルタムーザの城、城内
明日奈の胸に顔を真っ赤にして顔を埋めていたリナは急に離れると立ち上がる
「そ、それじゃ私はもう行くわ」
「えっ?私達と一緒にデルタムーザと戦ってくれないの?」
明日奈は何処かに行くと言うリナに一緒に戦ってくれないのか聞く
「デルタムーザ・・・あの人は裏切りとかそう言うことが大嫌いなの、だからもしあんたと一緒に上に登ったら集中的に狙われて真っ先に殺されるわ」
リナはもしデルタムーザに集中的に狙われて生きて居られる自身は全く無いなので殺される前に逃げておくのだ
「それに、折角あんたと、その・・・と、友達になったのに死んだら意味無いじゃ無い」
そう上に行って殺されれば折角明日奈と友達に慣れたのに何も出来ずに殺されるだけ、それなら友達になった意味が無いのだ
「それもそうね、また会える?」
「勿論、この戦いが終わったらあんたの家に遊びに行ってあげるわよ、だから頑張りなさい、あんたならあの人にも絶対に勝てるわ」
リナはそう言うと明日奈の肩を叩いた
「うん、必ず勝つわ、それじゃまたね?リナ」
「ええ、またね、明日奈」
リナは明日奈の暫しの別れの挨拶に返事を返すと背を向けヒラヒラと手を振りながら下に降りる階段がある方向に歩いて行った、明日奈達三人は上に登る階段に向けて歩き始める
デルタムーザの城、玉座前
明日奈達三人はデルタムーザの城の玉座に通じる扉の前に立っている、この扉を開ければ恐らくはデルタムーザか王座に座って明日奈達を待っている筈だ
ちなみに明日奈がC2の時に良く訪れていたデルタムーザの自室は王座の左側に扉がありそこから入る
「二人とも後から皆来てくれるだろうけど今は私達三人だけよ、覚悟は良い?」
「うん!大丈夫だよ!」
「ああ、覚悟は出来てる」
明日奈は二人に覚悟は出来ているか?と聞き二人は覚悟は出来ていると答えた
「そう、なら開けるわよ」
「あぁ、だけどなちょっと待て」
明日奈は扉を開けようとしたが、ウィリアムが引き止めた
「どうし・・・」
明日奈は引き止めるウィリアムにどうしたの?と聞こうとしたがウィリアムは全て明日奈が話し終える前に、明日奈を抱き締めた
「お前の覚悟はどうなんだよ?大丈夫か?怖く無いか?」
そう、明日奈は自分とレビィの事だけを心配して自分の事は何も言わなかった、ウィリアムはそれが心配になり明日奈を引き止め抱き締めたのだ
「うん大丈夫、私、大丈夫だよウィリアム、あなたとレビィが居て後で皆が必ず来てくれる、全然怖く無いわ、寧ろ今の私はね?凄く心が暖かくて自然に力が溢れて来るの」
今の明日奈は大好きな仲間達が居る、仲間達との暖かい思い出を思い出すたびに明日奈は自然に力が溢れて来るのだ
「そうか」
「うん、そうなの」
そしてウィリアムと明日奈はキスをした、レビィはそんな二人を微笑まし気に見つめている
「ふふふ、もっとやる気出て来ちゃった、それじゃ開けるわよ」
「おう」
そして明日奈は玉座に続く扉を開けた、三人はデルタムーザとの決着をつける為に中に入って行った
デルタムーザの城、玉座
扉を開けて中に入るとデルタムーザが玉座に座っていた、三人は武器を抜きながら彼の元へと歩いて行く
「良く来たな久城明日奈、どうだ?またC2として我の物となる気は無いか?」
デルタムーザは目の前にやって来た明日奈を見て再び自分の物になる気は無いかと聞いて来た
「無いわ」
明日奈はキッパリとその気は無いと答える
「フン、答えは聞かずともそう答えると思っていた、ではまずはお前を殺し、その次にあの忌まわしき初代天上神、桜を殺しに行くとしよう」
「そんな事出来ないわよ、だってあんたは私に倒されるんだから」
明日奈が勝てばデルタムーザが桜の元に向かうは無い逆に明日奈が負ければデルタムーザが桜の元に向かう事になるだろう
「フン、出来る物ならやって見せろ、この小娘が!」
「やってあげるわよ!」
そして明日奈はプラチナモードを発動させながらデルタムーザに斬りかかった
デルタムーザは斬りかかって来る明日奈を見て剣を抜く、そしてその剣で明日奈の剣を受け止め、剣を交える
「ほぅ、やはりあの男が施した強化、効果があったようだな、以前より力が強い」
「そうね、確かに私は強化でかなり強くなったわね」
明日奈はそう言うとデルタムーザの腹を蹴った、そして一度離れる、どうやら蹴りは余り効いていない
「私はどうせあんたの敵になる、それなら強化なんてしない方がよかったんじゃ無い?」
「フン、強化されて幾ら強くなったとしても、お前が我に追いつける訳が無い!」
デルタムーザはそう言うと今度は彼から斬りかかって来た、それを見たレビィとウィリアムが、二人でデルタムーザの剣を受け止める
「明日奈!今だ!叩き込め!」
「ええ!、プラチナブレイド!」
明日奈はウィリアムとレビィに攻撃を受け止められたデルタムーザに向けて接近する、だが
「ハッ!」
デルタムーザは闇の波動でウィリアムとレビィを弾き飛ばすと、こちらに向けて接近して来ている明日奈の顔を掴むと壁に向けて放り投げた
「クゥゥ!」
壁に思いっきり体を叩きつけられた明日奈は一度地面に倒れたがすぐに立ち上がる、もうデルタムーザが側まで近付いて来ていたのだ
デルタムーザは倒れた明日奈を踏み潰すように足を振り下ろしたが、明日奈が慌てて立ち上がっていた為不発に終わる、明日奈はその隙を見逃さず剣による一撃を加えた
「ムゥ、我に傷を付けたか」
デルタムーザは腕に付いた傷を眺めている明日奈はその隙にその場を離れて距離を取ろうとしたが
「逃がさん」
突然何も無い空間に魔法陣が現れたと思うとそこから赤いレーザーが落ちてきた、プラチナローズのおかけで魔法陣の事を知った明日奈は魔法陣を避けるように横に飛んでいた為当たらずに済む
「ククク、もっと踊って見せよ」
デルタムーザはそう言うと魔法陣を明日奈達三人の周りに連続して出現させた、魔法陣からは先程と同じ赤いレーザーが発射される
「くっ!二人とも当たっちゃ駄目よ!」
「分かってるよ!お姉ちゃん!」
「俺も分かってる!」
明日奈は動いてレーザーを紙一重でかわして行きレビィは明日奈と同じように動いてかわしながらかわせない物はダガーで弾く、ウィリアムは動かず双剣で叩き落す
「小僧は動かぬからつまらんな、やはり狙い目は小娘だ」
デルタムーザはそう言うと一気にレーザーを明日奈に集中させた、今までウィリアムやレビィを狙っていたレーザーは急にカクンと屈折すると明日奈を囲むように明日奈に殺到する
「多いけど!」
明日奈はかわせるものはかわして当たりそうな物はレビィと同じく弾いて行く、その様子は外から見ると華麗に踊っているようだ
まずは上から落ちてくるレーザーは体を捻ってかわすと斜め左下から飛んで来るレーザーを横向きに飛んでかわす、そして下と左斜め上から飛んで来たレーザーは空中に浮かびながら回転斬りを放ち同時に弾くと着地し今度は斜めに回転斬りを放ち同時にレーザーを弾いた
「抜けれる!」
そして明日奈はレーザーの隙間を見つけレーザーの網から抜け出しただが、そのすぐ横にデルタムーザが現れ剣を振り下ろす
「させねぇぜ!」
デルタムーザが振り下ろした剣はウィリアムが受け止めた、それを見た明日奈は光を纏わせた剣で突きを放つ
「ヤァァ!」
そして突かれた事により傷は出来てはいないが怯んだデルタムーザにレビィが明日奈が突いた腹と場所と同じ場所にクロス斬りを放ち、デルタムーザの腹に軽い切り傷が出来た
「ククク、やるではないか、小童どもめ」
デルタムーザはよっぽど自身に傷を付ける程度の敵が現れたのが嬉しいのか、笑ながら巨大な闇のオーラを放つ、その力はこの場の空気を振動させる程だ
「行くぞ」
そしてデルタムーザは明日奈達の目の前から消えた
「何処行った!?」
「ウィリアム!後ろ!」
このデルタムーザの動きが見えていた明日奈はウィリアムに敵が後ろに居ることを伝えた、ウィリアムは慌てて後ろに振り向こうとしたが、デルタムーザに蹴られ壁に激突する
「ウィリアムさん!」
「他人の心配をしている暇があるのか?小さき小娘よ」
デルタムーザは今度はレビィの目の前に現れると上から圧力を加えるように闇のオーラをレビィに叩きつけた
「レビィ!」
明日奈はレビィに闇のオーラを叩きつけるデルタムーザにそれをやめさせようと後ろから斬りかかるが剣は空を斬る
「後ろだ」
「ッ!」
そしてデルタムーザは明日奈の真後ろに現れた、明日奈は振り向いている時間は無いと背中にシールドを張り剣を防ぐと、追撃を避ける為すぐに光の翼で地面から離れるが
「上だ、小娘」
デルタムーザは宙を飛ぶ明日奈の上を取っており、剣を振るった、明日奈は何とかそれを剣でガードしたが、デルタムーザの剣の威力は凄まじく地面に叩きつけられた
「こんな物か?」
デルタムーザはそう呟くと手を上げると小さな闇の塊を手に発動させる、どうやらそれを明日奈に向けて投げるつもりのようだ
「させません!」
だがそこで女の声がしたと思うと、デルタムーザの闇の塊が弾けた
「ほぅ、増援か」
「鈴・・・」
どうやらデルタムーザの闇の塊を撃ったのは鈴だったようだ、その後ろにはフォードとクリスティ、そしてアリシアと飛鳥と愛奈が居た
「明日奈さん大丈夫ですか?」
「ほら、立ちなさい」
鈴と愛奈が明日奈を引き起こす、ウィリアムはクリスティ、レビィは飛鳥が引き起こしている
「ありがと皆、かなりヤバかったわ」
「はい、間に合って良かったです」
新たに加わった六人と明日奈とウィリアムとレビィの九人による第二ラウンドが始まる




