一話決戦前日
明日奈の自宅
ウィリアムが明日奈をデルタムーザから取り返し結婚の約束をしてから数日が経った、この日はデルタムーザの城への侵攻作戦が開始される前日である
「フフ、フフーン」
などと鼻歌を歌いながら明日奈は楽しそうに朝食を作っている、その美味しそうな目玉焼きが焼ける匂いに釣られレビィは布団から抜け出し起きて来た、レビィは何時も通りキッチンに立ち朝食を作る姉を見て泣きそうになってしまうが泣かない
「お姉ちゃん、おはよ」
そして涙を堪え笑顔でレビィは姉に朝の挨拶をした
「おはよう」
妹の朝の挨拶を聞いた明日奈は振り返り、こちらも笑顔で朝の挨拶を返した
そして朝食を食べ終わり掃除洗濯も済ませた朝の何もすることが無い時間、ピンポーンとチャイムの音がする
「はーい」
のんびりとファション誌をコーヒーを飲みながら読んでいた明日奈は来客を知らせるチャイムの音に従い、玄関に向かう
「よう、明日奈」
どうやらチャイムを鳴らしたのウィリアムだったようだ
「ウィリアム!」
明日奈は特に用も無くうちに来てくれたウィリアムに嬉しくなり抱き付いた、ウィリアムも嬉しそうな明日奈を嬉しそうに受け止める
そして二人で家の中に入りドアを閉めてから二人はキスをした
ウィリアムと結婚を約束してからの明日奈は以前にも増してウィリアムに甘えるようになった、ウィリアムにしてもそんな明日奈が可愛くて仕方ないので彼としても文句は無いので受け入れている
「ふふふ、ウィリアム?来たんならお昼ご飯食べるわよね?何食べたぁい?」
ウィリアムに抱き付いて甘えている明日奈はウィリアムに昼食は何を食べたいのかを聞く
「そうだなぁ、お前が作る物なら何でも良いぜ」
「そう、ならホットドッグね」
明日奈はウィリアムが何でも良いと言うのなら自分の好きな物を作る事にする、そしてリビングでテレビを見ているレビィに近付くと
「レビィもお昼、ホットドッグで良い?」
「うん、良いよ」
レビィも昼はホットドッグで良いと言ったので現在時刻は朝の十一時前、まだお昼には早いので明日奈はもう少し時間が経ってからホットドッグを作り始める事にする
「それで明日奈、体に何か問題があったりしないか?」
明日奈は強化改造カプセルで強化された、なので体に何か問題があったら心配なのでウィリアムは明日奈に体に何か問題は無いかと聞いてみる
「うん大丈夫」
ウィリアムとレビィのお陰で記憶を取り戻した明日奈はその日のうちに二人とワールドセイバーに向かい地球支部の病院で診察を受けた、その結果何も体に何も問題無しとの結果が出た
だが問題が無いと言われても他のどんな物よりも大切な明日奈に何かがあっては心配なウィリアムの気持ちは理解出来る、なので明日奈は笑顔で大丈夫と答える
「そうか、でも何かがあってからは遅いんだぜ?体に何か違和感を感じたらすぐに言うんだぞ?」
「そうだよ?お姉ちゃん、ウィリアムさんの言う通り何かがあってからは遅いんだから言わなきゃダメだよ?」
二人は何故だか最近明日奈に対してとても過保護である
「うん」
明日奈としても少し過保護過ぎる気しかしないが心配してくれる二人の言葉はとても嬉しいなので、素直に頷く
「そうです、言わなきゃ駄目です」
そこでいきなり見知らぬ女性の声がして明日奈達三人は声がした方を見る、すると明日奈によく似た金色の髪を持った女性が居た
「だ、誰だ?」
ウィリアムが一番最初に女性が誰なのかを明日奈に聞く
「初代天上神様よ・・・」
と言った所で明日奈の視線は窓の方に向いた、すると外は大荒れの天気となっており物凄い豪雨と雹が降っている、レビィがテレビを付けてみるといきなりのこの大荒れの天気がニュースとなっている、その原因は明らかにこの目の前に立っている初代天上神様である
「あらあら、凄いですねぇ」
女性はのんびりと窓の方に近付くと外を見て頬に手をやり困った顔をしてあらあらと言っている
「・・・」
このままでは更に天候が荒れに荒れニューヨークが壊滅すると思った明日奈は無言で初代天上神様に近付き手を引くと
「ちょっとこの天上神の私のお祖母様を天上界に返しに行って来るわ、ご飯は帰って来てからね」
とウィリアムとレビィに行ってから転移した
「お、おう」
「う、うん、い、行ってらっしゃい」
二人は少し言葉に詰まりながら返事を返した、そして二人が転移した後外の異常過ぎる天候はすぐに収まり空は晴れた
天上界
「何処よ?ここ」
明日奈は何時も通り地上から転移した場合に必ず転送される天上界の中心部に転移して来たと思っていたのだが、目の前には神狐の家によく似た見知らぬ屋敷がある
「私のお家です、明日奈ちゃんは私と一緒に転移しましたからね、私と一緒に転移した場合はここに転移するようになって居るのですよ」
「へぇー」
明日奈は初代様のこの言葉にへぇーとしか言えない
「それにしても凄かったですねー、まさか力を抑えるペンダントを付けて来るのを忘れるだけであんな事になるとは思いませんでした」
天上神とされる者達はそのままの力のまま下界に行けば先程のような天候が酷いことになってしまう、なのでそれぞれを力を抑えるペンダントを持って居るのだがこの初代様は忘れて下界に行ったようである
ちなみに神狐か夫探しをする為に地上を旅していた時はこのペンダントと同じ機能を持った指輪を持っていた為、何も問題は無かった、だが神狐が指輪を忘れたとしても先程までのように物凄い天候になったりはしない、精々雨がずっと降るようになる程度で有る
「ちゃんと付けて来てよもう・・・それでお祖母様?一体今日はどうして私の所に来たの?」
明日奈は家の中に入って行く初代様の後に続き、家の中に入ると何の用か聞く
「まぁそれは後で良いでしょう、明日奈ちゃん、あなたは私の名前を知っていますか?」
初代様は居間に入ると二人分の座布団を取り出し畳の上に敷く、そしてその上に座りながら自分の名前を知っているのか?と聞いて来た
「えぇっと・・・知らないわ」
明日奈は数秒記憶を探ってみた後、初代様の名前は思い浮かばなかったので知らないと答える
「やっぱり知りませんか・・・正直あなたが何代目の孫かは分かりませんが孫に名前を知られていないのはおばあちゃんとしては悲しいので教えて起きます、私の名前は桜です、おばあちゃんの名前覚えて下さいね?」
明日奈も桜も知らない事で有るが、明日奈は神狐の親、神狐、明日奈で二代目の孫である
「分かったわ、桜おばあちゃん」
明日奈に桜おばあちゃんと言われた桜は明日奈に自分の名前とおばあちゃんと呼んで貰え嬉しくなったようだ、ギュッと抱きしめて来た
「おばあちゃん、苦しいわ、それでさっきの質問なんだけど・・・」
最近良く抱き締められるなぁと思っている明日奈は再び何故桜が明日奈の自宅にわざわざ来たのかを聞く
「あぁ、そうでしたね、あなたが可愛くて忘れる所でした、明日奈ちゃんあなたはこれからデルタムーザと戦いますよね?」
「うん」
「なら確実に彼を仕留めて下さい、今の私ではまぁ地上に降りて戦えば世界が一つか二つ潰れてしまうのであなたに頼むしか有りません、お願い出来ますか?」
どうやら桜へデルタムーザを確実に仕留めて欲しいと言う為に明日奈の自宅に来たようだ
「うん、任せておばあちゃん、私が絶対にやってみせるわ」
「お願いします、お菓子食べます?」
その後は他愛も無い話をし、明日奈は桜に見送られながら自宅に向かって転移した
この翌日ワールドセイバーや様々な世界から派遣される連合軍とデルタムーザの軍の最後の戦いが始まった




