五話
デルタムーザの城
ワールドセイバーの侵攻作戦開始まで後十日、白衣の男による体の診察を終えたC2はデルタムーザの部屋を目指し歩いていた
そして後二つ階段を上がればデルタムーザの部屋に着くと言う所で目の前からリナが歩いて来る
「明日奈・・・」
リナはC2を見てC2には聞こえない程度の声で彼女の以前の名を呟き複雑な表情を浮かべる、リナとしては明日奈と戦いいつかは殺すつもりで居たのに明日奈は記憶を消されしかもこちら側の仲間となった、なのでその心境は複雑なのである
「あっ、おはようございますリナさん」
一定の間隔ずつにある窓から魔界の様子を眺めつつ歩いていたC2は、ふと正面を向きこちら向けて歩いて来るリナを見ると挨拶をする
「ええ、おはようC2」
リナも挨拶をされたので挨拶を返す、それを聞いたC2は少し微笑んでから会釈を返すとそのまま歩いて行こうとするが
「待ちなさい」
リナはそのまま歩いて行こうとするC2を引き止めた
「はい、なんでしょう?」
リナに呼び止められたC2は振り返り何故リナに引き止められたのか分からないのでキョトンとした顔をしている
「あんた本当に私の事覚えていないの?」
リナは本当にC2が自分の事を覚えていないのかを確認する為この質問をする
「はい、覚えていません、もしかしてリナさんは強化される以前の私と会ったことが有るのですか?」
そして強化装置により明日奈としての記憶を全て消去されたC2は覚えていないと答え、逆に強化される以前の自分の事を知っているのか?と質問を返す
「はぁ・・・知らない、知らないわ、ごめんなさいね変な事聞いて」
リナは少し怒った様子でC2に背を向けると足早に去って行った
「・・・行ってしまいました、なんだったのでしょう?」
C2はそんなリナの背中を見つめ首を傾げていた
そしてC2はデルタムーザの部屋にノックをしてから入り、彼の机の前に行く
「診察結果はどうだったのだ?問題は無いか?」
デルタムーザは部屋に入って来たC2を見て診察結果を聞く
「はい、問題無しです」
「そうか、なら良い」
デルタムーザは自身の質問に問題無しと答えたC2の頭を撫でた
「それでマスター、今日も任務ですか?」
「うむ、任務だ」
C2にこの日も任務が有るのか?と聞かれたデルタムーザは頷いた
「C2、お前には今からアースフィリアに向かい適当に暴れて貰う、良いな?」
デルタムーザはアリシアが他の国々と協力して連合軍のような物を作っているのは知っている
なのでその組織の恐らくは本拠地のアースフィリアでC2を暴れさせ組織が何処まで準備を済ませているのか確かめるつもりなので有る
「お前は敵側の兵士が出て来て二十分程度たったら戻って来たら良い」
C2が二十分間、暴れて居る間に他の兵士が組織の様子を観察しデルタムーザに報告する手筈である
「分かりました、マスター」
デルタムーザからの命令を受けたC2は彼に背を向けるとアースフィリアに向けて転移した
アースフィリア
エルフの国は相変わらず美しい、美しい城、美しい街並み、全てが優美な装いをしている
そんな美しい首都に転移して来たC2は近くの屋根の上へと登り街の様子を眺める
「うわー凄いですね、綺麗です」
目覚めてからまだ数日のC2はまだまだ見たことが無い物が多い、この数日で無骨な都市に任務で行ったがアースフィリアのような美しい首都には来たことが無かったので街の様子を見て喜ぶ
「こんな、綺麗な街を壊すのは勿体無いですが、任務ですから仕方ありません」
C2は少し残念そうな表情を浮かべながらレーザーガンを抜き、狙いを付けず適当に撃った
適当に撃ったレーザーは家に着弾し大きな穴を作る、やがて家は燃え始めた
「あらら、燃えてしまいました」
C2はのんきにこう言うと屋根から飛び降り、他の家にレーザーを撃って行く、レーザーが大きな穴を作り着弾するたびに家は燃え、火はどんどん広がって行く
「火を消すのが大変そうですね」
C2は後方から何かが飛んで来る気配を感じ振り返る、すると矢が飛んで来て自動でボディスーツが張るシールドに当たって弾かれる
「効いていないぞ!、次は魔法を放て!」
どうやら先程の矢は少し遠方の家の上に立っている何やらお揃いのマークが入った服を着ている者達が撃ったらしい、C2はボーとその者達を眺める
「あれが兵隊さん達でしょうか、分かりませんけどマスターは兵隊さんが現れてから二十分と言っていましたね、頑張りましょう」
C2が頑張りましょうと言った所で今度はリーダーらしき男の命令通り火やら氷やらの魔法が飛んで来た、勿論シールドが防ぎ意味は無い
「私に遠距離攻撃は意味が無いのですが・・・まぁ初見では分かりませんよね、だからこっちからあなた達の側に行ってあげます」
遠距離からの撃ち合いだとこちらからのレーザーガンの攻撃は敵に通じるが、敵の攻撃は何の意味は無い、それではC2にとっては何の面白味が無い、なのでこちらから接近してあげるのだ
「おはようございます、私はデルタムーザ様の兵器のC2と言います、あなた達はこの国の兵隊さんですか?」
そして敵のすぐ側まで歩いて来たC2はのんきに自己紹介をすると、お揃いのマークが入った服を着た者達にこの国の兵隊かどうか聞く
「違う、俺達は第57世界連合軍だ、まぁ一様この世界全ての軍だから、この国の軍と言っても問題無いかもな」
「連合軍さんですか?でもあなたが言っている通りならマスターの言っている条件に会いますので攻撃させて貰いますね」
デルタムーザは敵の兵が現れたら二十分間戦った後に戻って来いと言った、なのでこの連合軍の兵士達を二十分間相手に戦っていれば良い筈だ
C2はグッと踏ん張ってから飛ぶ、そして七人居るうちの一人の後ろに現れると後ろから剣を突き刺した
「まずは一人、ふふふ手加減してあげますから、頑張って下さいね?」
C2は一瞬で殺した一人目の男から剣を引き抜くと、残り六人にへと向けて微笑んだ
仲間を殺された事に怒った兵士達は一斉にこちらへと斬り掛かって来る、C2はその連続した斬撃を軽くかわすとまずは一番遅く斬り掛かって来た男の背中を斬る
「グァァ!」
「えい」
C2は抜けた掛け声と共に背中を斬った男の横っ腹を蹴って屋根から落とした、そして残り五人となった敵に今度はレーザーガンを真っ直ぐ発射する
「当たるなよ!」
真っ直ぐ放たれたレーザーに当たる馬鹿はいない、なので五人の兵士達は余裕でかわしたが、かわすことだけに集中し過ぎていた、C2はレーザーしか見ていない一人の女の目の前に現れると
「えい」
また抜けた掛け声と共にC2は女の腕を掴み背負い投げをした、その投げる速さは恐ろしく速く女の体は屋根を突き抜け、女は家の中に落ちていく
「後四人ですか」
C2はこの後も軽く敵を排除し、現れる増援も苦戦すること無く余裕で仕留めて行った
デルタムーザが示した二十分のうち十二分が過ぎた、C2の強さに警戒してか敵の増援も無くなりC2は少し困り顔をしていた
「さっきまでは沢山の兵隊さん達が来ていたのに全く来なくなってしまいました、しかも残り時間は後八分も有ります・・・暇です」
C2は敵が来ないかと辺りをキョロキョロと見渡して見るが敵は来ないし居ない
「ふむ、やはり居ません、もう帰りましょうか、でもマスターに何故八分も早く帰って来たのかと怒られそうです・・・」
C2は怒られるのは嫌いだ、なのでここで八分間ボーとして居ようと思った所で魔法が飛んで来た
「皆の報告通り聞かないのね」
C2に得意の魔法を放ったアリシアは魔法による攻撃が効かないのを見るとすぐに剣を抜く
「あなたも兵隊さんなのですか?」
近付いて来るアリシアにC2はこう質問する
「まぁそうよ」
実際は万屋オーナー兼、一国の王女様である
「そうですか、なら戦いましょう」
C2はアリシアが兵で有ることを確認すると斬り掛かった




