十三話
南城門前
敵側から殺気立った気配を感じる、そろそろ攻撃を仕掛けて来るのだろう
「そろそろ来るわ」
敵の殺気を感じている為か耳がピーンとなり、尻尾の毛も逆立っている明日奈は剣を抜く
「あぁ来るな」
ウィリアムも明日奈の言葉に頷き剣を抜いた
「ねぇ皆、あのでっかい砲台、なんか光ってるよ?」
砲台の銃口が何やら光っているのを見付けた千智は、仲間にそれを報告する
「っ!撃って来るんだわ!ホワイトローズ、プラチナモード!」
『Yes』
あの砲台が巨大で強力なレーザー兵器ではないかと思った明日奈は白金の鎧を装備すると
「おい!明日奈!?」
城門の外へと駆けて行く
「プラチナローズ?全力でシールドを張るわよ!」
『Yes、ホーリーシールド出力500%』
プラチナモードとなった明日奈はホーリーシールドを普段の九尾としての状態の限界である200%から300%多い500%の出力で張る事が出来る
明日奈が強力なシールドを張り終えた所で巨大な砲台から青いレーザーが地面を焼きながら突き進んで来た
地面を焼きながら突き進んで来る青いレーザーは明日奈のシールドに当たると分裂し弾ける、弾けたレーザーは辺りに分散し地面に着弾すると爆発する
「くっ!くっ!プラチナローズ、シールドの状態は?」
敵のレーザーの余りの出力に少しずつ押されている明日奈はプラチナローズにシールドの状態を聞く
『シールドの方は問題ありません、ですが敵のレーザーの速度がかなり早い為、そのうちマスターの足が浮き弾き飛ばされてしまいます』
「そう、ならこうよ!」
明日奈は両手で張っていたシールドを左手だけで張る、そして鞘に戻していたプラチナローズを再び抜き地面に突き刺した、これなら弾き飛ばされる事は無いだろう
「っ!っ!」
明日奈は敵のレーザーの照射が終わるまでシールド越しにも伝わって来る、レーザーの熱量に耐え続けた
レーザーの照射へ止まった、ホーリーシールドを解除した明日奈は後ろの様子が気になりすぐさま振り返る
「これは・・・」
明日奈が守った南城門は多少分散したレーザーにより破壊されていたが大きな損害は無かった、だがその遠方に煙が見えた
「プラチナローズ、飛ぶよ」
『Yes』
明日奈はプラチナローズに飛ぶと伝え背中に羽を出現させる、そして空に飛び上がると上空から第十一世界の首都の様子を見る
「私が守った南門は無事そしてその直線上にある北門も無事みたいね、でも東から西は殆ど壊滅してる・・・」
敵のレーザー兵器は空から見て分かったが南と東にある、明日奈がシールドを張り敵のレーザー攻撃から何とか守った南と北はほぼ無傷だが東から西はレーザー兵器により焼き払われている、おそらく東と西の連合軍の兵士は全滅している筈だ
「これは駄目、こんなの皆死んじゃう」
明日奈は首都の余りにも酷い様子を見て思わず震えてしまう、そしてレーザー兵器を睨む
「次の攻撃が来る前に私があれを潰す!行くよ!プラチナローズ!」
『Yes』
明日奈は背中の翼を羽ばたかせると全走力でレーザー兵器へと向かって行った
明日奈は南へと空を駆ける、時折下から攻撃をかわし、反撃を返しながら南へと進んで行く
「くっ!っ!」
敵の攻撃は厚い、出来るだけかわそうと動いても敵の攻撃は命中し白金の鎧に傷が付いて行く
「プラチナローズ、プラチナブラスター準備しといて!」
『Yes』
プラチナローズにブラスターの準備を頼んだ所で、巨大な魔力の塊のような、爆発系の呪文がこちらへと飛んで来るのが見えた
明日奈は上昇し、それをギリギリの所でかわし既にブラスターモードへと変形させているプラチナローズで狙い撃った
明日奈に狙い撃たれた魔法は上空で大爆発を起こした
「あれに当たったらプラチナモードでも、危ないかも・・・」
明日奈は大爆発を起こした魔法に冷や汗を掻きながら飛ぶ、そしてレーザー兵器を射程に捉えましたとのプラチナローズからの報告があったので上空で止まりプラチナローズを構える
「プラチナブラスター!」
『Yes、プラチナブラスター』
ギュインと音と共にプラチナローズの銃口から銃口から徐々に太くなって行くレーザーが発射された、プラチナブラスターは明日奈に向けて飛んで来る魔法を飲み込みながらレーザー兵器へと突き進む
「さっきのお返しよ!」
明日奈のプラチナブラスターはレーザー兵器に当たる、レーザー兵器の装甲は暫く明日奈の砲撃に耐えていたがやがて耐え切れなくなり、明日奈のレーザーはレーザー兵器を貫通した
明日奈のレーザーが貫通したレーザー兵器は強い青い光を放った後、大爆発を起こした
「良し!次!」
レーザー兵器が爆発したのを確認した明日奈は今度は東へと向けて空を駆ける
明日奈は今度は東に向けて飛んでいる、方向転換し東へと飛び始めたばかりの頃は後ろからの敵の攻撃をかわすのに苦労したが、現在は森の上を飛んでいる為敵の攻撃は無い
そして明日奈は敵の攻撃の事も考え、レーザー兵器の後方から攻撃を仕掛けるつもりである
「プラチナローズ、またプラチナブラスターの準備、お願いね」
先程の南への飛行とは違い敵の攻撃も無く、かなり急いでいるが敵の攻撃が無い分落ち着いて飛んでいる明日奈は落ち着いた声でプラチナローズにプラチナブラスターの準備を頼んだ
『Yes』
プラチナローズも落ち着いた声色でYesと答える、敵のレーザー兵器を射程に捉えるまで後二分程度、敵のレーザー兵器のチャージが終わっていない事を祈りながら明日奈は飛ぶ
『マスター、この距離なら、攻撃可能です』
二分後明日奈は敵のレーザー兵器を射程に捉える事が出来る位置に到着した、そしてプラチナローズを構えるとプラチナブラスターを発射した
レーザー兵器は先程と同じく暫くはプラチナブラスターに耐えたがやがて爆発した
「これで、敵のレーザー攻撃は無くなったわね」
明日奈の活躍により敵のレーザー攻撃による脅威はなくなったのだが
『こちら側と敵側との兵力差がかなりついてしまいましたね』
そう南と東からのレーザー攻撃により連合軍の兵力はかなり減少してしまった、なので戦いはこちら側の圧倒的不利となってしまっている
「早く戻るわよ、プラチナローズ」
『Yes』
明日奈は圧倒的不利となっている、戦場へと空を飛び戻って行った




