十五話天空城5
五階
天空城のダンジョンは所々にある水晶に触れる事で外に出る事が出来る、明日奈達はその水晶を無視し長い廊下が続いた四階を歩き終え五階にやって来た
五階に登って来た明日奈達が目にしたのは巨大な広場であった、かなり遠くの方に六階に登る階段が見える
「何にもなさそうだよな?」
広場は見た感じ罠は無さそうである
「確かに何も無さそうだけど、何か嫌な予感がするのよねぇ」
明日奈はそう言うと銃を抜き、魔法弾を床に撃ってみたすると、簡単にヒビが入り割れる、レビィがそおっと下を覗いてみたが通常なら四階が見える筈だが見えない不思議空間となっている、落ちたら不味い事になりそうだ
「これは少しでも衝撃が入っても割れるし」
明日奈は近くにあった壺を広場の床に置いてみる
「やっぱりね、重さでも床が抜けるのね」
壺は余裕で持ち上げられる程度の重さだが、床は簡単にヒビが入り割れた
「走って抜けるのは・・・無理だな」
壺を置いただけでヒビが入り割れてしまうのだ、走って抜けようとするともれなく床下の不思議空間に落ちてしまうだろう
「うーん、上のシャンデリアにどうにかして飛び乗ってみるとか?」
天井にはシャンデリアがある、それに飛び乗れれば向こうまで行けそうであるが
「確かにそれで行けるかもしれないけど、レビィ、あなた届くの?」
そう天井はかなり高く、明日奈なら身体強化をかなり無理して限界以上まで使えば届くかもしれないが、ウィリアムとレビィは全力でジャンプしても届かず床下の不思議空間行きになるだろう
「無理だね・・・ならどうするの?」
「こうするしか無いわね」
明日奈は床に板状のシールドを張った、それを向こうの階段まで伸ばして行く、そしてシールドが向こうまで行ったのかをホワイトローズに聞き、ホワイトローズがYesと答えたのでまずは自分が上に乗ってみる
明日奈は自分が張ったシールドの上に乗ると飛んだり叩いたりして強度を確かめる
「行けるわよ、でもシールドを張ってる範囲は結構狭いから私の後ろについて来てね」
もしシールドの範囲外に出ると床下行きである
「分かった、ありがとな明日奈」
「良いのよ、その変わり、帰ったらたっぷりと甘えさせて貰うわ」
「ヘイヘイ」
そして明日奈達はシールドに乗り向こうの階段まで歩いて行った
明日奈はウィリアムとレビィが渡り終えたのを確認すると、振り返りシールドに触れシールドを解除する
「明日奈?魔力は大丈夫か?」
「そうだよ、大丈夫?お姉ちゃん、お姉ちゃんは燃費悪いんだしあんな事したらもう魔力が無いんじゃない?」
あれだけ長いシールドを張った為、明日奈の魔力はかなり減ってしまっているだろう
「大丈夫、回復剤持って来てるから」
明日奈はバックパックから魔力回復剤を取り出し、二人に見せた
「そっかなら大丈夫だね」
「うん、二人にとも心配してくれてありがとう、はぁこれマズイのよね」
明日奈は暫く回復剤を睨んでいたが意を決して飲む、そして余りの不味さに噎せながら全部飲む、ウィリアムは噎せる明日奈の背中を撫でている
「大丈夫か?」
「うん・・・大丈夫、次行きましょ」
不味い回復剤を飲んだ事でかなりテンションが低い明日奈と、そんな明日奈の背中を撫でるウィリアム、そしてそんな二人を後ろで見ているレビィは六階に登って行った
六階
六階、登って来るなり大きな扉が見える、ウィリアムが扉を開けて三人は中に入った
「ババス!あっ・・・間違えた」
「いきなりどうしたの?お姉ちゃん?」
レビィはいきなりババス!と叫んだ明日奈に何事か聞く
「いやぁだってあれ・・・」
明日奈は前方を指差す、そこには肌色をしたロボットが鎮座しておりその近くには何故かサングラスが落ちている、それはまさにあれである
「なんなの?」
「ん?あれはね巨・・よ、あれ?・・・よってなんか・・・言えないわね?」
明日奈は何かを言おうとしているが言えないようである
「なんで言えないんだ?・・・、マジ言えねぇな」
「・・・、でしょ?」
明日奈はこの後も暫くどうにかして言えないか為してみたが言えなかったので、この研究施設らしきフロアを見て回って見る、そしてまた明日奈が見たことが有る物が鎮座してあったので明日奈は喜んで尻尾を振りつつ近付く
「これ、ア・・・・・じゃない!ってこれも言えないのね」
そこには赤い塗装と一部が金色をしたパワードスーツが鎮座してある、どうやら天空城の技術者達も訳が分からないものだったようで、沢山の資料が机の上に放置されている、字は煤けて読めないが
「これはなんなんだ?」
「ん?これ?手からビーム撃ったり、飛んだりするヒーローよ!本当かっこいいんだから!」
「そ、そうか」
ウィリアムは興奮してスーツの事を語る明日奈に少し引く
「これ本物なのかしら?本物なら少し着てみたいわ、それに・・・」
明日奈は何やらブツブツ言いながらスーツを弄くり始めた、明日奈は暫く色々と触っていたがスーツは本物のようだが強固なセキュリティがかけられているらしい、身に付ける事は出来なかった
「・・・無理ね」
「もう良いだろ?次行こうぜ」
「うん」
この後も、明日奈が好きな物達が置いてあり明日奈はずっと尻尾を嬉しそうに振っていた
「あー楽しかった!さて帰りましょか」
あらかた見て回り満足したらしい明日奈は水晶に近付いて行き触れようとする、どうやら本来の目的を忘れたようだ
「おーい、何言ってんだ、次行くぞ、次!」
ウィリアムはそんな明日奈を横抱きに抱き七階に連れて行く
「えー、私としてはもう満足なんだもん」
「ハイハイ」
嬉しそうにウィリアムに横抱きに抱かれしがみ付いている明日奈とそれをまた後ろで見ているレビィと明日奈を横抱きに抱いているウィリアムは七階に登って行った
 




