十話
神狐の館
現在時刻は九時二分、既にレビィ達は夕食を食べ終え、風呂も入り終え、寝るまでの空いた時間を楽しんでいた、そして玄関が開く音がした
「私、言っちゃった、言っちゃったの」
明日奈は居間に入って来るなりこう言いペタンと座る
「何を言ったのじゃ?」
「ウィリアムに好きって伝えたの」
明日奈のこの言葉を聞いたレビィは小さくガッツポーズしていた、そしてアシュレイの瞳が怪しく光った
「なっ!?・・・それでどうなった?」
「どうなったって・・・」
明日奈は家族に事の結果を話し始めた
時間は明日奈がウィリアムに告白した瞬間に巻き戻る
「えっ!?いや無いだろ?マジ?」
明日奈から告白されるとは全く思っていなかったウィリアムは思わず立ち上がり本当かと聞く
「うんマジよ、私はあなたの事が好き、もう!何回も言わせないでよ、恥ずかしいわ」
確かに恥ずかしいのか明日奈の顔は真っ赤である、そしてウィリアムの隣に立つ
「そ、そうか」
「そうなの、それで?オッケーしてくれるの?」
明日奈は不安気な表情で彼にオッケーしてくれるのか聞いた
「そりゃ勿論オッケーだぜ?でもさ俺で良いのか?」
「やった!、うん良いの、私は本当にあなたの事が好きだから、今はあなた以外好きになれないわ」
明日奈はまず喜んでからウィリアムの自分で良いのか?と言う質問に答えた
「そうか、ありがとう、俺もお前の事好きだ、だからこれから改めてよろしくな、良い彼氏になれるよう頑張るよ」
「うん私も改めてよろしく、私も良い彼女になれるよう頑張るわ」
明日奈はこう言った後、ウィリアムに抱き付いた
「えへへ、好きな人と付き合えるのってこんなに嬉しいのね」
「そうだな」
ウィリアムはこの後明日奈が離れるまでその柔らかい髪を撫でていた
「と言う訳なの、改めて考えると抱き付いた後の私、恥ずかし過ぎるわ!」
明日奈はそう言うと座布団を一つ掴みそれに顔をうずめる
「なぁに恥ずかしがる事は無いぞ、好きな男と付き合えることになった女子なら誰でもその男に抱き付きたくなる物じゃ」
神狐はそう言うとアシュレイを見る、神狐に見られたアシュレイは今は抱きつかないでくれと言う事だろう手をブンブンと振っている、そんな彼に腹が立った神狐はとりあえず彼に座布団を投げておいた
「そうなの?」
「全く!・・・そうじゃ、のう?玲狐」
神狐は今度は玲狐に話を振る
「えーと・・・」
玲狐は微妙な反応だ、しかし神狐のお付きである玲狐は何も言えないので有る
「なっ!?お主までそんな反応じゃと?ならレビィ、お主はどうじゃ?」
「うーん、私まだまだ分かんない」
レビィは確かにウィリアムと明日奈が付き合うと聞いて小さくガッツポーズをしていた筈で分かっていそうなのだか、レビィは分からないと答えた
「ムゥ、・・・まぁ!この話は終わりじゃうん終わりじゃ、それにしても良かったのう明日奈」
「うん、良かった、本当に良かったわ」
そして明日奈は泣き始めた、そんな明日奈を神狐は泣き止むまで抱きしめていた
この後、母だけではなく妹や父親、そして玲狐に泣き顔を披露してしまった明日奈の必死の言い訳が見れたり見れなかったりした
翌日、神狐の館
この日は明日奈達二斑は前日に続きお休みである、しかも別の支部が天空城にポータルを設置する任務に当たっている為地球支部全体が現在暇である
「ふふふ、良かったね、お姉ちゃん」
目を覚ましたレビィは隣で眠る姉の頭を撫でてから布団をキチンと畳み部屋を出て行った
明日奈が起きたのはこの三十分後であった
「ふぁ」
と欠伸をしながら明日奈は起き上がるそして隣を見るとレビィは居ない
「もう起きてるのね、早いわね」
そう言うと枕元に置いてある、ケータイを取る、ウィリアムからのメールが来ていないか期待したが彼はどうやら余りメールをするタイプでは無いらしくメールは来ていなかった、なので明日奈からお早うのメールをした
「ふふふ、これで良しっと、下に・・・下に」
明日奈はケータイを寝巻きのポケットに入れ下に降りて行こうとしたが昨日の事を思い出し、恥ずかしくなり降りれない
そして降りようか、降りまいか悩んでいた所で
「明日奈様?起きていらっしゃいますか?起きていらっしゃるのなら朝ご飯出来てますよ?」
玲狐が入って来た
「そ、そう朝ご飯出来てるの、ええ行くわ、朝ご飯食べさせて貰うわ」
と言いながら明日奈は少しカクカクした動きで部屋を出る
「はい、今日の朝ご飯は、お味噌汁と卵焼きです」
「そう」
明日奈は短く返事を返すと足早に一階に降りて行った




